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700キロ走って分かったアルファ ロメオ「ステルヴィオ・ヴェローチェ」のGTカー的要素とは

くるまのニュース / 2021年10月4日 8時10分

クルマは長距離をドライブしてこそ分かることがたくさんあります。アルファ ロメオ「ステルヴィオ・ヴェローチェ」を700kmほど走破して見えてきたのは、GTカーとしての資質でした。

■たまにはのんびり「ステルヴィオ・ヴェローチェ」で旅に出てみよう

 世にこれだけSUVが増えてくると、さすがにこのカテゴリーの中に様々な個性を持った様々な性格のクルマが存在することを、ちょっとクルマが好きな人ならお解りであることだろう。

 僕はアルファ ロメオ「ステルヴィオ」が2018年に日本に導入されて初めて試乗したときから、“SUVのカタチをしたスポーツカー”というふうにお伝えしてきた。でも、一部訂正するべきかも知れない。このクルマは“SUVのカタチをしたスポーツカーでありグランツーリスモ”なのだ。これまでたっぷりと距離を走らせてもらってきたし、今回と似たような使い方もしてきたけれど、あらためて意識しながら走らせてみたことで、もうひとつの素晴らしい側面をたっぷりと実感することができたのだ。

 僕はずっとステルヴィオのスポーツカー然とした“走らせる楽しさ”の鮮やかさにばかり気をとられていた、ということか。考えてみると、それはそれで凄いことだとも思うのだけど。

 いや、どういうことか。実は今回、都内の目黒のはずれにある僕の自宅から神奈川県の大磯経由で長野の大町市にある「界 アルプス」まで行き、その周辺を風景の中を走り、同じルートを逆になぞるようにして帰ってくる約700kmの道中、僕は一度たりともステルヴィオのアクセルペダルと強く踏みつけるようなこともしていなければ、コーナーを攻めるようなこともしていない。

 ひとりで走っていたなら誘惑に駆られることもあったかも知れないが、大人の男3人+撮影機材を満載しての1泊2日ロケの旅である。必要とされるのはアグレッシヴな走りではなく、エレガンス薫るジェントルなドライビング、なのだ。

●「クアドリフォリオ」と「スプリント」の真ん中が「ヴェローチェ」

 ドライバーである僕に委ねられたのは、2021年7月に導入された「ステルヴィオ・ヴェローチェ」。2.0ターボのガソリンと2.2ターボ・ディーゼルの2種類の直4エンジンがラインナップされるうちの、ガソリンを搭載する方のモデルだ。正式名称を“アルファ ロメオ・ステルヴィオ2.0ターボQ4ヴェローチェ”という。

 先刻御承知の方も多いと思うけど、“ヴェローチェ”とはイタリア語で“速い”を表す言葉。導入と時を同じくして日本仕様のラインナップがシンプルに整理され、ヴェローチェは2.9リッターV6ツインターボを積む「クアドリフォリオ」と2.2ディーゼル・ターボを積む「スプリント」のちょうど中間に置かれることになった。つまりガソリンの2.0ターボは、ステルヴィオではこのヴェローチェだけで選ぶことができるパワーユニット、ということになる。

ヴェローチェは、ホイールアーチ・サイドスカート・リアバンパーがボディ同色となるヴェローチェは、ホイールアーチ・サイドスカート・リアバンパーがボディ同色となる

 ヴェローチェがスプリントとどう違うのかというと、もっとも判りやすいのはそのエクステリアだろう。フロントの盾の部分とリアのエキゾーストのフィニッシャー、サイドウインドウのモールがブラックアウトされ、ホイールアーチとサイドスカート、リアバンパーがボディと同色にペイントされていることで、グッと引き締まった印象を見せている。それだけでSUVっぽさがやや薄くなってスピード感が増したように感じられるから不思議だ。

 パフォーマンスに関わる部分では、235/60-18サイズのスプリントに対して、ヴェローチェは255/45-20サイズのタイヤを履き、4輪にメカニカルな減衰力自動調整機構ともいうべきFSDバルブ付きのダンパーを備えている。ヴェローチェ=速い、の理由のひとつはここにあるわけだ。

■「ステルヴィオ・ヴェローチェ」の望外に素晴らしい乗り心地のヒミツ

 しかし、今回のロングツーリングでは、ヴェローチェの真髄を味わうことはできないわけだ。そう思い込んでいたのだけど、走りはじめて少ししたら気づいた嬉しい誤算。このタイヤとダンパーの組み合わせ、確かに引き締まってはいるのだけど、実は望外に乗り心地がいいのだ。

 ステルヴィオが日本に導入されたときの「ファーストエディション」も、実は20インチを履いていた。が、今にして思えば締まってる印象ばかりが強調されて、それはそれで悪くないと思いはしたものの、乗り心地がいいとまでは感じられなかった。

1810kgの車体を静止状態から5.7秒で100km/hまで加速させる2.0ターボエンジン1810kgの車体を静止状態から5.7秒で100km/hまで加速させる2.0ターボエンジン

●ゆっくり走ってこそわかる「よさ」とは

 ところがヴェローチェは──ある意味では先代にあたる似た仕様のアシを持ったスポーツ・パッケージでもそうだったのだが──充分に快適といえるレベルにあるのだ。2日間で700kmというのは僕達のような仕事をしてる人間にとってそれほど長いものには感じられないものだが、それでも疲れ具合の多寡ははっきりと判る距離ではある。

 仮に激しめのコーナリングを試みたとしても、ドライバーの望みをすんなり受けとめ綺麗でシャープなターンへと変換してくれることはこれまでの経験で解っているが、そのときの引き締まりっぷりから考えたら、サイドウォールの薄いタイヤが吸収しきれない路面の凹凸をガツガツ伝えてこないしなやかさなど、よくチューニングされてるな、とあらためて感じさせられた。

 2.0ターボのエンジンもそうだ。最高出力280ps/5250rpm、最大トルク400Nm/2250rpm。ダウンサイジング系ターボといえるエンジンにしてはサウンドもリズミカルで小気味よく、回転を上げていくにつれて勢いを増しながら素早く吹け上がっていく気持ちよさとスピードの伸び具合が気持ちいいファンなエンジンで、1810kgの車体を静止状態から5.7秒で100km/hまで加速させる実力の持ち主。

 けれど、今回のような走らせ方では、パワーやシャープさよりも、2000回転辺りから4500回転あたりまで最大値の400Nmもしくはそれに近いトルクを湧き出し続ける逞しさに、あらためて感銘を受ける。

 高速道路で巡航しているときに右足の踏み込みを微かに深くするだけでスルッと速度を上げようとするし、左側のパドルを引いてアクセルを開けば前車をあっさりと追い越すことができる。トルクの美味しいゾーンが広いから、ドライバーはリラックスしていられる。これも疲れの少なさに大きく貢献してくれてるのだと思う。

 そして、ADASだ。運転支援システムは日本車とドイツ車の独壇場だと思ってる人も少なからずおられるようだけど、イタリア製もなかなかのもの。高速道を走行中、僕は一部の区間をハイウェイアシストシステム(アダプティブクルーズコントロール+レーンキーピングアシスト)を使って巡航したのだけど、おそらく同乗していたふたりは、全くそのことに気づいてなかったと思う。追従も減速も、車線内に車体を収めるための自動修正も、それくらい作動が自然なのだ。もっとも、ゆったり巡航でもステルヴィオを走らせるのは存分に気持ちがいいから、僕はいつもわりとすぐに“自分運転”に戻しちゃうのだけど。

 こうして僕にしては珍しく(?)アルファ ロメオでゆったり走ってみたわけだけど、ステルヴィオは実に見事なグランツーリスモでもある、ということがあらためて体感できて嬉しい気分だ。

 人も荷物もたんまり乗せて疲れ知らずでロングも気持ちよくこなせる。それってGTカーとしての、ある意味、王道だ。そのうえひとりのときにはスポーツカーばりのドライビングを堪能することだってできる。この万能感!

 今回のロングツーリングを終えて、ステルヴィオが欲しいという気持ちがまた一段階膨らんだ気がして、実はちょっと困っていたりする。

ヴェローチェでは、質感とホールド性に優れたスポーツレザーシートを採用しているヴェローチェでは、質感とホールド性に優れたスポーツレザーシートを採用している

●ALFA ROMEO STELVIO 2.0 TURBO Q4 VELOCE
アルファ ロメオ・ステルヴィオ2.0ターボQ4ヴェローチェ
・車両価格(消費税込):720万円
・全長:4690mm
・全幅:1905mm
・全高:1680mm
・ホイールベース:2820mm
・車両重量:1810kg
・エンジン形式:直列4気筒マルチエア16バルブ インタークーラー付ツインスクロールターボ
・排気量:1995cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:4輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:280ps/5250rpm
・最大トルク:400Nm/2250rpm
・公称燃費(WLTC):10.9km/L
・ラゲッジ容量:525L
・燃料タンク容量:64L
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)255/45R20、(後)255/45R20

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