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パワーやスピードなんて関係ない! アイデアや企画力で勝負した車3選

くるまのニュース / 2021年10月6日 16時10分

1980年代はターボエンジンやDOHCエンジンの普及によって、国産車の性能が一気に向上した時代です。そのため、各カテゴリーではパワー競争が勃発しました。しかし、そんなさなかでもパワーやスピードを主張することなくヒットしたモデルも存在。そこで、アイデアと企画力や勝負したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

■優れたアイデアや企画でヒットした1980年代のクルマを振り返る

 現行モデルのクルマは、ターボエンジンやDOHCエンジンを当たり前のように搭載していますが、普及したのは1980年代です。

 1979年に日産「430型 セドリック/グロリア」に、日本初のターボエンジンが搭載されると、大型車を中心にターボエンジンの普及が始まり、次第に排気量の小さいモデルへと広まって、軽自動車もターボ化されるようになりました。

 また、深刻な大気汚染問題から1973年に「昭和48年排出ガス規制」が施行されると、高性能なDOHCエンジンの多くが消えてしまいましたが、1980年代には新たなDOHCエンジンが数多く誕生しました。

 そうした状況からスポーティなモデルだけでなく大衆車でも高性能グレードが設定されるようになり、市場ではメーカー間のパワー競争が勃発。

 一方で、パワーやスピードを主張することなく、ヒットしたモデルも存在しました。そこで、アイデアや企画力で勝負した1980年代のクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「Be-1」

クラシカルなデザインがむしろ新鮮だった「Be-1」クラシカルなデザインがむしろ新鮮だった「Be-1」

 日産は1982年に、次世代のベーシックカーとして初代「マーチ」を発売しました。初代マーチは日本のみならず欧州でもヒットを記録し、日産は次の一手としてマーチをベースにした派生車を開発。

 そして、1987年に限定1万台で発売されたのが「Be-1」です。

 Be-1の最大の特徴は内外装のデザインにあり、外観はローバー「ミニ」をオマージュしたような張りのある曲面を多用したスタイルで、クラシカルな面とモダンなデザインエッセンスを見事に融合していました。

 内装もフルトリム化がアピールポイントだった時代ながらあえて鉄板むき出しとし、シンプルながら安っぽい印象はありません。

 また、トレー状のインパネにはドライバーの正面に大型のスピードメーターを配置し、左に小ぶりなタコメーター、さらに空調の吹出口もすべて丸にすることで、ポップな印象となっています。

 エンジンはマーチと同じ1リッター直列4気筒SOHC自然吸気を搭載。最高出力はわずか52馬力でしたが、700kgほどの車重には十分なパワーで、Be-1のキャラクター的にもスピードとは無縁でした。

 Be-1が発売されると1万台を超える受注が殺到して、購入者を抽選で決める異例の事態となり、中古車市場では新車価格を上まわるプレミア価格で販売されるなど、社会現象に発展したほどです。

 このBe-1の成功によって、1989年に「パオ」と「エスカルゴ」、1991年に「フィガロ」を発売し、同じくヒット作となって「パイクカー」というジャンルを確立しました。

●ホンダ「トゥデイ」

軽ボンネットバンの常識を覆したデザインが秀逸な「トゥデイ」軽ボンネットバンの常識を覆したデザインが秀逸な「トゥデイ」

 ホンダは1967年に同社初の軽乗用車「N360」を発売し、大ヒットを記録。続いて「Z」や「ライフ」といった新世代の軽自動車が誕生しましたが、初代「シビック」をはじめとする登録車の開発・生産に注力するために、1974年に軽トラック以外の軽自動車生産から撤退しました。

 その状態が11年続きましたが、1985年に軽ボンネットバンの初代「トゥデイ」を発売。乗用タイプの軽自動車生産が復活しました。

 トゥデイは、ホンダが提案する次世代の軽自動車として開発され、極端に短いフロントノーズと、ボンネットのラインから後端までつながるロングルーフ、そして低く伸びやかなフォルムが特徴です。

 また、新開発のサスペンションによって、タイヤをボディの四隅にレイアウトするショートオーバーハング化したことから、室内の前後長を長くして広い居住空間を確保。こうした手法はそれまでの軽自動車にはないアイデアでした。

 搭載されたエンジンは最高出力31馬力(グロス)の550cc直列2気筒SOHCで、ボンネット高を抑えるためにシリンダーを水平に配置。ローパワーながら550kg(MT車)の軽量な車体をキビキビと走らせました。

 初代トゥデイの斬新なデザインとレイアウトは高く評価され、ヒットを記録。ライバルメーカーがパワー競争によって高性能なターボエンジンを次々と投入するなかでも、パワーを追い求めなかったホンダの戦略は間違っていなかったということでしょう。

●スズキ「エスクード」

スタイリッシュなクロカン車という新ジャンルを築いた「エスクード」スタイリッシュなクロカン車という新ジャンルを築いた「エスクード」

 1980年代には各メーカーから数多くのクロカン車が誕生し、後のRVブームへの下地をつくっていました。

 当時のクロカン車というと機能を優先した無骨なフォルムの大型モデルが主流で、重い車重に対応するために大排気量エンジンを搭載するのが定番でした。

 そんななか1988年に登場したスズキ初代「エスクード」は、クロカン車ながらコンパクトボディの都会的なモデルとして誕生。

 スズキが「ジムニー」で培った技術によって車体はラダーフレームにボディを架装する構造を採用し、リアサスペンションにリジッドアクスルを採用するなど、本格的なクロカン車と同等のメカニズムです。

 発売当初は3ドアのハードトップとソフトトップのショートボディみで、異型ヘッドライトのフロントフェイスや前後をブリスターフェンダーとしたスタイリッシュなフォルムは、それまでのクロカン車とは一線を画するものでした。

 1990年にはロングホイールベースの4ドアモデル「エスクード ノマド」を追加ラインナップし、使い勝手の良さを向上。

 駆動方式は全車パートタイム式4WDで、エンジンは当初最高出力82馬力の1.6リッター直列4気筒ガソリンのみでしたが、後に経済性に優れた2リッター直列4気筒ディーゼルターボや、余裕あるトルクの2リッターと2.5リッターV型6気筒ガソリンをラインナップしました。

 初代エスクードは洗練されたデザインによって、クロカン車をシティユースする新たなユーザー層を開拓し、現在のクロスオーバーSUVの原点だったといっても過言ではありません。

※ ※ ※

 今回、紹介していないモデルとして、ホンダ初代「シティ」や、「赤いファミリア」のキャッチフレーズで大ヒットしたマツダ5代目「ファミリア」もアイデアや企画力の賜物といえるモデルでした。

 しかし、時代の流れから両車ともターボエンジンのスポーティなグレードを展開しており、当時の高性能化は販売戦略上で必須だったといえるでしょう。

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