いま見てもスタイリッシュ! 1980年代のミドルクラスハッチバック車3選
くるまのニュース / 2021年10月13日 6時10分
クルマのボディタイプにはさまざまな種類がありますが、かつては数多く存在したのに激減してしまったボディタイプのひとつとして、3ドアハッチバッククーペが挙げられます。そこで、1980年代に登場したミドルクラスの3ドアハッチバッククーペを、3車種ピックアップして紹介します。
■スタイリッシュなフォルムが特徴の3ドアハッチバッククーペを振り返る
クルマのボディタイプにはさまざまな種類があり、時代によって人気となるボディタイプも異なります。そのため、かつては数多くラインナップされていたにも関わらず、近年はほとんど見られないようなボディタイプも存在します。
そんなボディタイプのひとつが、3ドアハッチバッククーペです。なかでも1.8リッター前後のエンジンを搭載したミドルクラスのモデルは比較的リアシートの居住性も良好だったことから、若い世代からファミリー層まで、幅広いユーザーがいました。
とくに1980年代には、各メーカーがラインナップしていたほどの人気ぶりでした。
そこで、1980年代に登場したスタイリッシュなフォルムが特徴の、ミドルサイズ3ドアハッチバッククーペを、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「アコード ハッチバック」
2代目にして最後の3ドアハッチバッククーペだった「アコード ハッチバック」
ホンダは1972年に、新たな世代のFFベーシックカーとして初代「シビック」を発売し、コンパクトなボディに広い室内、優れた走りと経済性によって大ヒットを記録しました。
そこでホンダはさらなる車種の拡充を開始して、1976年にはシビックの上位モデルにあたる初代「アコード」が誕生。ボディは発売当初3ドアハッチバッククーペのみでしたが、翌1977年には4ドアセダンが追加されました。
その後、1981年には2代目にフルモデルチェンジしました。ボディタイプは初代から変わらず3ドアハッチバッククーペと4ドアセダンで、ボディサイズはひとまわり大型化し、デザインも直線基調へと変貌を遂げました。
また、この2代目から、他メーカーに先駆けてアメリカ工場での生産も始まり、本格的な北米進出を果たしました。
ハッチバックの外観は初代よりも各部がエッジの効いたシャープな印象で、フロントフェイスは初代のイメージを受け継いだ逆スラントノーズながら、異型ヘッドライトによってモダンなデザインとなっていました。その後、1983年のマイナーチェンジで、より精悍なイメージのスラントノーズへと替えられました。
搭載されたエンジンは1.6リッターと1.8リッターの直列4気筒SOHCで、1.8リッターでも最高出力は97馬力(グロス、以下同様)に留まり、高性能化は次世代まで待つ必要がありました。
一方で、ハッチバックには、日本初の2P・4Wオートレベリングサスペンション(2段階車高調整機構、4輪自動・車高制御装置)を標準装備し、さらに全車クルーズコントロールを装備するなど、各種電子制御化が加速。
ほかにもメーカーオプションで、世界初のナビゲーションシステム(自車位置の測位は非GPS)を設定するなど、まさに新たな時代を象徴する先進的なモデルでした。
なお、1985年発売の3代目では、3ドアハッチバッククーペの代わりに「エアロデッキ」が登場しました。
●日産「オースターJX/スタンザFX ハッチバック」
欧州車をイメージさせるデザインを採用した「スタンザFX ハッチバック」
1980年代の日産車というとFF化が一気に進み、小型車の「サニー」だけでなくミドルクラスの「ブルーバード」もFFに移行することになります。
そうした流れを先駆けるように、1981年には「パルサー」に続く日産第2のFF車でミドルクラスのモデル、「オースターJX」「スタンザFX」「バイオレットリベルタ」の3兄弟車が登場。前世代のモデルはFRでしたが、次世代のモデルとしてFF化を果たしました。
ボディタイプはオースターJXが4ドアセダンと3ドアハッチバッククーペ、スタンザFXが4ドアセダンと5ドアハッチバック、バイオレットリベルタが4ドアセダンと5ドアハッチバックと住み分けられていましたが、1983年のマイナーチェンジでスタンザFXは5ドアハッチバックに代わって3ドアハッチバッククーペをラインナップ。
FF化とともにこの世代からは、欧州車を思わせる快活なイメージのミドルクラス車に進化を果たし、デザインも直線基調のスマートな印象です。
また、搭載されたエンジンも先代の「L型」「Z型」から次世代の「CA型」SOHCとなり、1.6リッターと1.8リッターを搭載。上位グレードの「1800GT-EX」では電子制御燃料噴射装置を備えた「XA18E型」で、最高出力110馬力を発揮しました。
その後、登場からわずか1年ほどの1982年にバイオレットリベルタは「リベルタビラ」に統合されパルサーの兄弟車となり、1985年には「スタンザ」と「オースター」は次期型へとフルモデルチェンジしますが、この世代で歴史に幕を下ろしました。
●三菱「コルディア」
三菱初のミドルクラスのFF車として開発された「コルディア」
三菱は1978年に、同社初のFF車として初代「ミラージュ」を発売しました。洗練されたデザインのコンパクトなボディに、後にクラス初のターボエンジンをラインナップするなど、三菱のエントリーカーとしてヒットしました。
そして、次の一手として、ミラージュと「ギャラン」の間に位置するFFモデルとして、1982年に「トレディア」と「コルディア」が誕生。
トレディアとコルディアはプラットフォームを共有する兄弟車ですが、トレディアが4ドアセダン、コルディアが3ドアハッチバッククーペの別車種として展開されました。
両車とも当時のトレンドである直線基調のデザインですが、コルディアは同じく3ドアハッチバッククーペの「スタリオン」よりも長めのルーフとFFの恩恵により、良好な居住性を確保しつつスタイリッシュなフォルムを実現。
エンジンは日本初の1.6リッター直列4気筒SOHCターボに、1.6リッターと1.8リッターの自然吸気を搭載し、1.6リッターターボでは最高出力115馬力を誇りました。
また、外観ではターボモデルのボンネットにエアスクープが装着されるなど、見た目にもスポーティに演出。
ほかにも、電子制御式3速ATの搭載や、世界初の液晶式デジタルメーターを採用するなど、技術的にも先進的なモデルであることをアピールしていました。
その後、マイナーチェンジでターボエンジンは1.8リッターにスイッチし、4WDモデルもラインナップされましたが、1987年に一代限りで生産を終了しました。
※ ※ ※
昭和の時代は2ドアクーペや3ドアハッチバックでも、ファミリーカーとして十分に活躍していました。当時でも決して使い勝手が良かったわけでないのですが、とくに不満の声は上がらなかったといえます。
しかし、1990年代になってミニバンが急激に普及すると、もはや2ドアのクルマがファミリーカーとして使われることはなくなり、急激に淘汰されてしまいました。
近年では2ドア車というと趣味のクルマやパーソナルカーとして需要がありますが、かつてのように増えることは二度と無いでしょう。
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