かなりの優等生なのにニーズが低下? 消えた高性能スタイリッシュワゴン3選
くるまのニュース / 2021年10月18日 16時10分
1990年代にはちょっとしたブームになったステーションワゴンですが、近年ではニーズの変化から国内メーカーのラインナップから著しく減少してしまいました。そこで、かつて販売されていた高性能かつスタイリッシュなステーションワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。
■高性能かつスタイリッシュなステーションワゴンを振り返る
1989年に、スバルは初代「レガシィ ツーリングワゴン」を発売しました。高性能なエンジンとフルタイム4WDシステムを搭載し、アウトドアレジャーブームをキャッチアップして見事にヒットを記録。
また、レガシィ ツーリングワゴンはそれまでのライトバンのイメージを払拭する、スタイリッシュなフォルムだったこともヒットの要因でした。
その後、レガシィ ツーリングワゴンに続けとばかりに、各メーカーから次々と新たなステーションワゴン(以下、ワゴン)が発売され、ちょっとしたブームにまで発展したほどです。
しかし、その後ミニバンが台頭し、ニーズの変化からワゴンブームは急速に沈静化し、ラインナップも大幅に減少。国内メーカーでは生産から撤退したメーカーも散見されます。
そこで、かつて販売されていた高性能かつスタイリッシュなステーションワゴンを、3車種ピックアップして紹介し、振り返ります。
●ホンダ「アコードツアラー」
スタイリッシュなボディにちょうどいい性能だった「アコードツアラー」
ホンダ初代「アコード」は1976年に「シビック」の上位車種として誕生。当初3ドアハッチバッククーペのみでしたが、すぐに4ドアセダンが加わりました。
そして、1991年にはシリーズ初のワゴンである「アコードワゴン」が登場しました。アコードワゴンはアメリカホンダで開発・生産された輸入車で、好景気とワゴンブームという背景に加え、洗練されたデザインよってヒット作となりました。
その後、アコードワゴンは代を重ね、2008年には車名を「アコードツアラー」に改められた5代目が登場。
誕生以来、アメリカナイズされた印象だったアコードワゴンでしたが、アコードツアラーは欧州テイストのスポーティなワゴンに仕立てられていました。
搭載されたエンジンは全グレードが2.4リッター直列4気筒で、最高出力206馬力を発揮。トランスミッションは5速ATのみです。
2011年のマイナーチェンジでは、2リッターエンジン車が追加されるとともに、2.4リッターエンジン車には「タイプS」グレードが登場しました。
タイプSは専用セッティングのスポーツサスペンションに、17インチの大径フロントディスクブレーキを装着。外観も専用デザインのフロントグリルやヘッドライト、空力性能に優れたフロントスポイラーやサイドシルガーニッシュなどが採用され、走りだけでなく見た目もスポーティでした。
しかし、アコードツアラーが登場した時にはすでにワゴンの人気は下火だったため、2013年に国内向けモデルの生産を終了。この代をもって、アコードのワゴンは海外も含め歴史に幕を下ろしました。
●トヨタ「アルテッツァ ジータ」
希少なコンパクトFRスポーツワゴンだった「アルテッツァ ジータ」(画像は欧州仕様車)
1990年代には、コンパクトセダンといえばFFが常識でした。しかし、1998年に発売されたトヨタ「アルテッツァ」は、コンパクトセダンながらFR車として登場。
デビュー前から話題を独占し、発売と同時に人気となり、走りも高く評価されました。
さらに2001年には、スポーティなワゴンの派生車「アルテッツァ ジータ」が誕生しました。ボディはセダンのデザインを継承しつつ、ショートルーフのクーペスタイルというスタイリッシュなフォルムを採用。
搭載されたエンジンはセダンと異なり4気筒モデルは存在せず、最高出力160馬力の2リッター直列6気筒と、アルテッツァ ジータ専用に220馬力を誇る3リッター直列6気筒が設定され、どちらも自然吸気です。
2リッターモデルは6速MTも選択できるなどスポーティ路線で、3リッターモデルはスムーズかつトルクフルな走行フィーリングによりツアラー的な味付けと、キャラクターが分けられました。
一方、セダンと共通の4輪ダブルウイッシュボーンの足まわりによって、優れたコーナリング性能と高い走行安定性を両立し、それでいてセダン以上のユーティリティを誇りました。
しかし、日本で2005年にレクサスブランドが展開されると、アルテッツァは「IS」にスイッチされ、ワゴンは設定されず一代限りで生産を終了しました。
●日産「ステージア」
高性能なラージサイズワゴンとして貴重な存在だった2代目「ステージア」
日産は1996年に、次世代のラージサイズワゴンとして初代「ステージア」を発売。主要なコンポーネンツは「R33型 スカイライン」と共通で、優れた走りとスタイルからヒット作となりました。
そして、2001年には2代目が登場すると、コンセプトは初代から継承しつつボディはより大型化し、かつ洗練されたデザインへと変貌。外観はワゴンの王道というべきロングルーフの伸びやかなスタイルを採用していました。
エンジンは初代の直列6気筒から全車V型6気筒にスイッチされ、「250t RS FOUR V」にはステージア専用に開発された最高出力280馬力を発揮する2.5リッターV型6気筒ターボを搭載していました。
さらに、コーナリング性能を高める4輪操舵システム「電動SUPER HICAS」を搭載した「250t RS FOUR V/HICAS」がラインナップされるなど運動性能も向上。
また、2003年には特別なモデルとして、オーテックジャパンが開発した「ステージア アクシス350S」が登場しました。
最高出力280馬力を誇る3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載し、トランスミッションは6速MTが組み合わされるなど、シリーズ最強となる自然吸気モデルでした。
しかし、すでにワゴン人気も陰りをみせており、次第に販売は低迷。2代目ステージアは2007年に生産を終了して後継車はなく、日産は後にワゴン市場から撤退してしまいました。
※ ※ ※
近年、トヨタ「カローラツーリング」が好調なセールスを記録し、スバル2代目「レヴォーグ」は2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど高く評価されています。
また、スバルは2021年10月に新型「レガシィ アウトバック」を正式発表(発売は同年12月)するなど、ワゴン人気復活の兆しもあります。
しかし、SUVはすでにブームに移行したといっても過言ではなく、その人気はまだまだ続きそうな勢いです。
高速安定性やコーナリング性能といった走りの点ではSUVよりも優れ、高いユーティリティ持つワゴンが売れない理由は見当たりません。最新の国産ワゴンがどれほど販売台数を伸ばせるかが、ワゴンの未来を左右しそうです。
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