自転車はジャマな存在!? 事故を避けるためにドライバー側が気をつけるべきポイントとは
くるまのニュース / 2021年10月22日 14時10分
健康ブームや長引くコロナ禍で、世界的にも自転車、とくにスポーツ系のものが人気となっています。ただし自転車には免許がいらないこともあり、最近はクルマと自転車との事故件数が多くなっているといいます。万が一事故になっても、クルマ側の過失がゼロとなることはほとんどありません。こうした事故を避けるためにクルマのドライバーはどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
■自転車が走るべき場所は車道? それとも歩道?
長引くコロナ禍で、“密”を避ける移動手段である「自転車」が世界レベルで人気となっています。
とくに手軽なフィットネスにもなるスポーツ自転車は、あまりの需要増により部品の生産が間に合わなくなり、ニューモデルの入荷が半年単位で遅れたり、壊れても修理できないという状況も発生しています。
そして日本においても、そうしたスポーツ自転車の利用が急増しています。ただその一方で、同じ道路を使う交通機関であるクルマと「どう共存すべきか」が課題となっています。
そもそも日本では、自転車は軽車両として扱われ、基本的には「車道を通行する乗り物」であり、1952年に施行された道路法にも「自転車専用道路」の規定がありました。しかしその整備は遅々として進まず、1960年代のモータリゼーションの急速な進展下で、車道を走る自転車とクルマとの事故が多発しました。
そのため1970年の道路交通法改正で、「二輪の自転車は(略)公安委員会が歩道又は交通の状況により支障がないと認めて指定した区間の歩道を通行することができる」との規定が盛り込まれます。
さらに1978年の同法改正では、普通自転車(車体の大きさ及び構造が総理府令で定める基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両を牽引していないもの)は「道路標識等により通行することができることとされている歩道を通行することができる」が追加され、「自転車は歩道を走っていいもの」という認識が広がったのです。
こうした対策は、たしかにクルマと自転車との事故を抑制するには効果的でした。しかしその一方で、歩行者は歩道を走る自転車の脅威にさらされることになり、交通事故全体に占める歩行者と自転車との事故のウエイトは大きくなってきます。
そのため2007年の道路交通法改正、そしてこの法改正に合わせ定められた「自転車安全利用五則」では、「自転車は、車道が原則、歩道は例外」を再確認したものの、自転車の条件付きでの歩道走行は残されることとなりました。
さらに自転車同士の事故を防ぐため、2012年にはこれまで両方向認められていた「路側帯内通行」が、進行方向左側に限られることとなりましたが、その周知も十分ではない状況です。
■自転車との事故を防ぐためにドライバーが注意すべき点とは
その一方で、自転車が守るべき交通規則についても、クリアとはいいがたい状況です。
自転車は左側通行ですが、それもきちんと守られているとはいえません。
自転車専用帯が用意されている場所でも、このように駐停車されていることもある
自転車は基本的に車道の信号に従うとされていますが、車道用とは別に「自転車歩行者用信号」も多く設置され、個々の交差点でどの信号を守るか、自転車利用者が判断するのは困難なのです。
自転車について、クルマのドライバーからは、「歩道を走ったり車道を走ったり、ちょろちょろして邪魔」「逆走が危険」「信号を守らない」といった意見が多く聞かれます。しかしその原因の根底には、交通政策のブレやインフラの整備遅れ、またルールの周知不足が影響していると考えられるのです。
ではクルマのドライバーは、こうした自転車との事故を避けるために、どのように走ればいいでしょうか。
それは「自転車の利用者が見ているもの」を推察し、動きを判断することです。
たとえば自転車の進行方向に路上駐車の車両があった場合、駐車車両だけを見て、後方に注意を払わずその右を通過する自転車利用者は少なくありません。
また住宅地などの一方通行が交差する十字路では、非優先道路でも“逆走側”には「止まれ」の標識も停止線がなく、自転車利用者は「止まらなくてもいい」と考えて交差点に進入します。
そうした自転車との出会い頭の事故を防ぐには、できるだけ徐行して自己防衛するしかないのです。
スマホホルダーが付いている自転車では、利用者がスマホを見ているかもしれません。クルマで自転車を抜いたあと、すぐ左折するため減速すると、前方不注意の自転車に追突される可能性もあるのです。
※ ※ ※
たしかに「ルールを守らない自転車に、どうしてクルマのドライバーが配慮しなければならないんだ」という意見はもっともです。
しかし万一事故になった場合、自転車側に信号無視などの重大な違反がない限り、クルマ側の過失がゼロとなることはありません。
そして自転車が転倒するなどすると、ほぼ間違いなく人身事故となり、ドライバーは行政処分、刑事処分で大きなペナルティを被る可能性があります。
そうなると「どっちが悪いか」という論争は意味がなくなります。つまり自転車に注意を払うことが、最終的には「自己防衛」につながるのです。それをぜひ頭に入れ、ゆとりある運転を心がけましょう。
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