「カーラッピング」で車をイメチェン! 塗装と何が違う? いま人気のラッピングカスタムとは
くるまのニュース / 2021年10月31日 11時50分
クルマのボディカラーを変えると印象が大きく変わります。ボディを塗装するのは大変ですが、そんななか最近人気を高めているのが「カーラッピング」です。カーラッピングとはどのようなものなのでしょうか。
■下地を傷めずにカラーチェンジ可能! 小傷防止としても有効
クルマのイメージはボディカラーによっても大きく左右され、ボディやパーツの一部をカラーチェンジするだけで印象がガラリと変えることが可能です。
しかし、色を変えたいと思ってもこれまでは再塗装しか方法がなく、塗装する面積によっては保険上で「事故車」扱いになってしまうことがあるなど、敷居の高いカスタムでした。
その状況が一変したのは「カーラッピング」の普及が大きいでしょう。ボディ全体はもちろん、ルーフやスポイラー、ボンネットといったパーツだけでも手軽にカラーチェンジでき、さらに特殊な保護フィルムは飛び石などからボディを守る役割もあるため、超高額スポーツカーのオーナーもこぞってカーラッピングしているといいます。
カーラッピングとはどのようなものなのでしょうか。
カーラッピングは塗装とは違い、圧着と加熱によって粘着する特殊なフィルムを使ってクルマのボディやパーツのカラーチェンジをする方法です。
いくつかの手法があり、クルマ全体にフィルムを施工する「フルラッピング」、パーツだけに施工しイメージ変化を楽しむ「パーツラッピング」、ロゴやキャラクターなどがプリントされたフィルムを使用する「デザインラッピング」、クリアな材質で飛び石やスクラッチ傷からボディを守る「プロテクションフィルム」があります。
もともとは1990年代に再剥離性(剥がしても下地を傷めない)があるフィルムが誕生し、海外のセレブやクルマ好きがドレスアップやデコレーションの素材として活用するようになったことで注目を集めるようになりました。
日本では、2000年に東京都の都バスや路面電車といった公共交通機関などの収支改善策として、当時の石原慎太郎都知事の肝いりでスタートした「ボディを使った広告表示」方法として採用されたことで、一気に認知が広まりました。
たとえば艶を抑えたマットブラックなど国産車にはないカラーに憧れても、クルマを全塗装するのはかなり勇気のいるチャレンジでしたが、それがカーラッピングなら純正色にはないカラーにチェンジすることができるようになるというわけです。
さらに塗装では表現しにくいカーボンの質感や金属剥き出しのような粗めのアルミ感、複雑な造形や細かいイラストなどのデザインにも強く、現在のレーシングカーのボディを彩るチーム名や企業のロゴマークなどはほぼラッピングとなっています。
そしてカーラッピングのメリットとなるのが再剥離性でしょう。容易に剥がすことができ、かつ下地を傷めず元の状態に戻せるというのがポイントです。
カーラッピングは特殊なフィルムで耐候性にも優れており、走行パターンや駐車状況などにもよりますが、標準的な環境での使用なら約3年は耐久性があるとされています。
※ ※ ※
ボディ全体ではなく、パーツだけの施工が可能なのも魅力のひとつでしょう。
パーツラッピングでは、スポイラーやリアウイングなど外装パーツの一部に施工したり、ボンネットのみ「マットブラック」に施工するのも人気だといいます。
さらにはSUVのフェンダー部分をブラックアウト化したり、逆にボディ同色化するパターンもあるようです。
しかも塗装とは違い、ラッピング自体に表面保護フィルム層が追加されており、小傷がつきにくいというのも大きな特徴。
樹脂パーツなどに施工すれば直射日光(紫外線)による日焼けをカーラッピングが吸収してくれるメリットもあります。
■カーラッピングの費用や施工時間はどれくらい?
カーラッピングを施工するには、ボディ表面の汚れを落とし、フィルムを適度な大きさにカットしてパネルごと貼っていく作業になります。
そのときに、いかに下地をキレイにするか、そして正しい手順で作業をしていくか、最後にフィルムの折り返しなどの処理によって仕上がりに差が出てくるといいます。
カーラッピングの施工も手掛けるベテラン整備士H氏に、施工における注意点などを聞いてみました。
トランクリッドのラッピング施工例(BMW「Z4」)
「弊社(整備工場)では補修だけでなくカスタムとしてもパーツの再塗装なども手がけているのですが、最近はカーラッピングを使ったカラーチェンジの依頼も増えています。
やはり短時間で作業できることや、剥がせば元のボディカラーに戻せる再剥離性、塗装よりも割安な料金などで選ばれる人も増えています」
たとえばボンネットは、メタリックのボディにブラックなどを組み合わせると、一気にスポーティな印象に変更することが可能です。
また耐久性こそ3年程度ではあるものの、ボディを小傷からフィルムで保護する目的で施工するケースも多いのだそうです。
「色なし透明のプロテクションフィルムを希望されるお客さまもいらっしゃいますが、どうせなら別の色をと希望される人も多いです。
またフィルムもさまざまなカラーや、マットやメタリックなど質感の違うタイプも数多くあります。
フィルムの厚さは粘着剤を含めて0.1mmから0.2mm程度と薄いので、複雑な形状のグリルなどに施工を希望される人もいます」(整備士H氏)
とくに艶消しのマットを塗装でおこなうと、塗装面の美しさをキープさせるのが非常に難しいのですが、その点カーラッピングであれば表面の保護フィルムのおかげで小傷にも強く、何よりムラがないのは大きなメリットとなります。
「昔から販売されているカーボン調のカッティングシートなどと比べると値段は張るものの、仕上がりも雲泥の差です。そう考えるとボディはもちろんですが、ダッシュボードなどインテリアの一部にカーラッピングを使用しても面白いかもしれません」(整備士H氏)
カーラッピングは個人で施工することも可能だそうですが、フィルムを均一に貼るのは技術やヒートガンなど専用機材が必要になります。
また、キレイな仕上がりには不可欠なキレイな下地にするのもかなり大変な作業とのことで、ここはやはり仕上がり重視でプロにお任せしたいところです。
では、気になる費用や施工日数はどれくらいなのでしょうか。再塗装と比較すると大きな違いはあるのでしょうか。
「車種によって差がありますが、普通車ならフルラッピングで60万円からくらいでしょうか。ちなみに塗装ですともう少し高くなって80万円からといったところです。
作業日数は、下地処理やカーラッピングの施工などを含めて1週間程度見てもらうようにしています」(整備士H氏)
やはりフルラッピングともなると、気軽にチャレンジできる金額ではないようですが、パーツラッピングなら数万円程度で施工できるといいます。
「パーツラッピングの代表的な例としては、グリルやモールなどのメッキパーツをブラックのラッピングを施して、高級感のあるイメージから高品質のスポーティなイメージに変えるラッピングです。
またルーフのみを別のカラーに変更して、2トーンカラーにするラッピングも可能です。
お手軽かつカスタム感あふれるラッピングとしては、ストライプがあります。メーカーオプションで設定されているような太いストライプなどを、ボンネットやトランクリッドにアクセントとして入れることもできます」(整備士H氏)
なお、カーラッピングは圧着と加熱によって粘着するため、高温になりやすいマフラーやホイールなどには施工できません。
※ ※ ※
クルマのカスタムは、その時代ならではの流行を取り入れて進化させていく傾向があるので、デザインされたラインや絵柄などを変更しやすいカーラッピングを採用するケースが増えているのだそうです。
自由度の高さもカーラッピングの魅力のひとつだといえそうです。
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