ついに「タイムマシン」完成!? 公道走れる映画仕様の「デロリアン」が色々とスゴイ!
くるまのニュース / 2021年11月2日 7時10分
世界で唯一「日本の公道」を走れるタイムマシン仕様のデロリアン次元転移装置を装着してついに完成!
■次元転移装置を装着し、神棚を設置して完成式を実施
今なお世界中で愛されるSF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」。
第一作目の公開から35周年を超え、シリーズすべてに登場するデロリアンはこの映画の主役ともいえる存在です。
そのデロリアンを自ら改造し、映画に登場するタイムマシン仕様に仕立て、さらにナンバープレートを取得して日本の公道を走らせられるといいます。
デロリアンは、映画用に作られたクルマではなく、イタリアを代表するカーデザインの巨匠ジョルジェット・ジウジアーロ氏がデザインし、1981年から1983年に「DMCデロリアン」として製造販売されたガルウィングとステンレススチールのアウターボディパネルが特徴的なクルマの名前です。
バック・トゥ・ザ・フューチャーにタイムマシンとして登場するデロリアンはこのDMCデロリアンをベースに改造されました。
映画史に残る名作に印象深く登場したことで世界中に多くのデロリアンファンが生まれることになりました。
しかし、デロリアンのファンは世界に多く存在していても、実際にデロリアンを購入してそれを映画と同じ仕様に改装し、さらにはナンバープレートも取得し、公道を走れるデロリアンは非常にレアなケースです。
レア、というより、日本ではただ1台だけの存在です。
兵庫県に住む津和敏夫さんは、2年の月日と数百名にも及ぶ世界中の仲間たちの熱意と応援によって公道を走れるBTTFデロリアンを作り上げました。
筆者(加藤久美子)が取材に伺ったのは2021年9月上旬でしたが、その後タイムマシンの要となる「次元転移装置」の取り付けが完了。
津和さんの大学時代からの友人でもある神主さんによって祭壇を設置して完成式がおこなわれました。
津和さんのデロリアン以外に、数台のBTTFデロリアンが日本国内には存在しています。
今もイベントなどで全国をまわっている個体もあるようですが、いずれも公道を走れる仕様ではなく、ナンバーもついていません。
確認のため、BTTF仕様にできるキットを取り付けている会社や、イベントなどで封鎖された道路を走らせている会社にも聞いてみましたが、いずれも「車検は取得していない」という答えでした。
高知県香南市にある「四国自動車博物館」にもBTTF仕様のデロリアンが展示されていますが、こちらもナンバーを取得した形跡はなく、TV番組の企画として番組内で作られた車両を買い取ったとのことでした。
津和さんの愛車こそが、世界で初めて日本の公道を走れるタイムマシン仕様のデロリアンであることは間違いなさそうです。
そして津和さんのデロリアンは、単に公道を走れる仕様になっているだけでもスゴイことなのですが、その改造の度合いやこだわりに圧倒される完成度の高さがすさまじいのです。
BTTFデロリアンについて、津和さんは次のように話しています。
「タイムマシン仕様に仕立てるためのパーツの数(約300)と同じ数の仲間が世界中に存在しています。
実現できたのもその仲間たちのおかげです。
私自身よりも仲間たちの方がアツくなっていたかもしれません(笑)。
私は仲間たちの情熱に引っ張られる形でナンバー取得までの2年に及ぶ道のりを歩んできたように思います」
■BTTFデロリアンでもっとも苦労したのはどこ?
津和さんはベースとなるデロリアンを手に入れて、最初からタイムマシンを作ろうと思っていたわけではありませんでした。
始まりは、2017年1月に発売されたデアゴスティーニの分冊百科「週刊バックトゥザフューチャー デロリアン」でした。約2年半でデロリアンの1/8模型を完成させるものです。
「プラモデルといっても高額(トータルで23万円以上)なものですから、最初はおとなしくノーマルで作っていました。
でも、あるときにデアゴスティーニデロリアンのコミュニティで楽しそうに改造しているのを見て自分もやってみたいと思うようになりました。
『改造がうまくいかなかったら?』『失敗して壊してしまったら?』などと思いながらも、妻に相談したところ『愛が試されるんじゃない?』といってくれて(笑)、改造を決意。改造をスタートしました。
そのうち、自作でカスタムパーツを作るようになり海外にも多くの仲間ができて『パーツを売って欲しい!』にはじまり、だんだんと『こんなパーツ作れない?』などの問合せも増えてきました。
そのうち私が実車のデロリアンを手に入れたことを仲間に伝えたところ、プラモデルから実車のデロリアンを改造して『BTTFデロリアンを作ろう!』という流れに変わってきました。
2019年2月に実車のデロリアンを手に入れたことを仲間に伝えたところ、『実車を改造してBTTFデロリアンを作ろう!』仲間内で盛り上がってきました。車検の厳しい日本では外装までは絶対に無理だと思ったので、最初は内装だけのつもりだったのですが…。
気づいたら、パーツ探しやパーツ作りに協力してくれる仲間たちに囲まれていました。300のパーツひとつひとつに思い出、思い入れ、仲間たちの存在があります。
なかでもたくさんの相談に乗ってくれて、何回も自宅に通って手伝ってくれたデロリアンオーナーズクラブの副会長である橋本さんにはとくにお世話になりました」(津和さん)
日本のナンバーを取得した唯一のBTTFデロリアン
そして約2年間、津和さんは運輸支局に数か月おきに通ってついに車検適合までのすべての作業を終えて2021年8月に構造変更を完了しました。
その際に撮影された写真がSNSに上がることになり、非常に多くの人々が公道を走れるBTTFデロリアンの存在を知ることになったというわけです。
では、保安基準適合のためにもっとも苦労した点はどこだったのでしょうか。
「ボディの周りに這わせるフラックスバンドですね。
これは、苦労したというよりこのバンドを取り付けるためにはボディに穴を開けないとダメなのでまずは『その勇気が出せるのか?』と、そこから悩みました。
ステンレスのボディやもう二度と手に入らない純正フロントバンパーなどに穴を開ける行為はとても緊張しました。穴を開けたらもう戻ってこられませんから(笑)」(津和さん)
※ ※ ※
最後に津和さんにタイムマシンで行ってみたい時代について聞いてみたところ、答えは「30年後」でした。
「30年後、私のデロリアンがまだ走っていて現在小学生の息子に受け継がれているのか見に行きたいです。そしてそのとき、クルマがちゃんと空を飛んでいるか確認しに行きたいです」(津和さん)
30年後、津和さんのデロリアンが空を飛んでいる姿を見てみたいものです。
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