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ひらがなで「わたるな」標識デザインをなぜ刷新? 歩行者への意識付け施策とは

くるまのニュース / 2021年11月6日 9時30分

歩行者の横断トラブルに関する報道が度々ありますが、近年では「横断禁止」の標識が新たなデザインを採用したといいます。そのデザインには「わたるな」と書かれていますが、なぜ「平仮名」で表記しているのでしょうか。

■「わたるな」は子どもが内容を理解できるように

 歩行者に横断禁止を示す「歩行者横断禁止」の標識には、「横断禁止」の4文字が表記されています。

 最近では「わたるな」も表記可能となりましたが、その理由は一体どこにあるのでしょうか。

 クルマには、進入禁止や一時停止などあらゆる交通ルールが定められている一方で、歩行者にも道路を通行する際のきまりがあります。

 なかでも、道路交通法第13条では「横断の禁止の場所」が示されており、「車両等の直前又は直後」や「道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分」での道路の横断は禁止されています。

 この13条に記載のある「道路標識」としては、赤枠で四角く囲われた「歩行者横断禁止」の標識が挙げられます。

 歩行者横断禁止の標識には、帽子をかぶった人が道路を渡ろうとしているイラストが描かれており、その下には「横断禁止」という文字が表記されています。

 とくに交通量が多い道路に設置されている歩行者横断禁止の標識ですが、実は2020年からデザインに変化が見られます。

 東京都杉並区上荻4丁目の青梅街道の歩道に新設された歩行者横断禁止の標識には、「横断禁止」ではなく、「わたるな」の4文字が表記されています。

 このことについて、警察庁の交通規制課の担当者は「2020年に平仮名の『わたるな』の文字を用いることができるよう、『標識令』を改正されたため」と説明します。

 実際に標識令を見てみると、「『歩行者横断禁止』を表示する規制標識の標示板の文字には、図示の『横断禁止』に代えて『わたるな』を用いることができる」とされています。

 つまり、いままでの「横断禁止」の文字に加え、「わたるな」も選択することができるようになったわけですが、どうして文字表記のバリエーションが増えたのでしょうか。

 この標識令の改正について、警察庁では以下のように理由を説明します。

「滋賀県大津市で発生した歩行中の未就学児を被害者とする交通死亡事故など、子供が犠牲となる交通事故が相次いで発生しています。

 その状況を受けて2019年6月18日に『未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策』が取りまとめられました。

 これに基づき関係省庁が連携して各種対策を推進するなど、子供を交通事故から守るための安全・安心な歩行空間の整備に向け、政府一丸となって取り組んでいるところです」
 
 2019年5月8日、大津市では、右折車と直進車の衝突に巻き込まれ、歩道で散歩していた保育園児と同伴していた保育士、計16人が死傷する痛ましい事故が起きました。

 こうした事件を受けて、まだ漢字が判読できない子どもへの安全配慮のひとつとして、「わたるな」の表記が追加されたといえます。

 これまでは、都道府県や自治体が独自の対策として、子どもでも標識の意味が理解できるように、歩行者横断禁止の付近に「わたってはいけません」といった旨の看板などを設置している場合もありました。

 今後はそうした独自の対策をとらずとも、子どもへ横断禁止の旨を伝えることができるようになったといえるでしょう。

※ ※ ※

 前出の警察庁担当者は、今後のこうした標識の変化について、「今後とも、道路標識等が広く、道路利用者にとってわかりやすいものとなるよう努めてまいります」との意思を示しています。

■問われる歩行者の通行マナー 運転者からは「ルール守って」の声も

 ちなみに、歩行者の横断のルールについては、道路交通法第12条にも規定があります。

 第12条では「横断の方法」として、「横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない」「交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない」と定められています。

 歩行者は普段から横断歩道が近くにある場合は、横断歩道を優先的に利用する必要があり、斜めに道路を横断することも基本的には違法になるといえるでしょう。

 ルールに則った正しい横断方法をとっている人が多い一方で、歩行者の道路の横断マナーについて、SNSでは「横断歩道あるのに使わない人いるよね」「なんで横断歩道使わないの?」といった声が挙がっており、街中ではルールを守らない人も見受けられるようです。

歩行者とドライバーが共に交通ルールを守ることで、安全な交通社会の実現に近づく歩行者とドライバーが共に交通ルールを守ることで、安全な交通社会の実現に近づく

 運転者は、常に周囲の安全に配慮してクルマやバイクを運転しているものの、突然の歩行者の飛び出しには対応するのが困難な場合もあります。

 歩道がある場所では、道路交通法第38条により「当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない」とされており、運転者は横断歩道付近では停止あるいは、速度の低減をおこなう必要があります。

 しかし、横断歩道がない場所においては、そのように速度を落とす必要がないため、歩行者と接触してしまった場合には、被害がより大きくなることが予想されます。

 違法かどうかの前に、危険性があるということを認識し、横断についての規定をしっかりと守るように心がけましょう。

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