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なぜ「新宿」「東京」ナンバーは存在しない? 県庁所在地の採用多くも都庁所在地がない理由

くるまのニュース / 2021年11月11日 7時10分

クルマのナンバープレートには「札幌」「名古屋」「大阪」など県庁所在地の地名が採用されることが多いです。しかし、東京都の県庁所在地である「新宿」やエリアの総称となる「東京」などは存在しません。ナンバープレートの地名はどのように決まるのでしょうか。

■「新宿ナンバー」がない理由とはなんなのか?

 クルマのナンバープレートには、「品川」「横浜」「札幌」「名古屋」「大阪」などの「地名」が表示されています。

 多くの場合、都道府県の県庁所在地名のナンバープレートが存在しますが、東京都の都庁所在地である「新宿」というナンバープレートは存在しません。

「新宿」だけでなく、「東京」といった地名も存在しませんが、それはなぜなのでしょうか。

なぜ東京都の都庁がある新宿区を示す「新宿ナンバー」はないのか(画像は編集部加工)なぜ東京都の都庁がある新宿区を示す「新宿ナンバー」はないのか(画像は編集部加工)

 ナンバープレートの地名は、クルマの登録・届出などをおこなう都道府県にある運輸支局・登録事務所に基づいて決められます。

 例えば神奈川県の場合は、川崎自動車検査登録事務所・横浜自動車検査登録事務所・湘南自動車検査登録事務所・相模自動車検査登録事務所と、県内に4つの登録事務所が存在しています。

 そして、ナンバープレートには、その各登録事務所の地名部分をとって「川崎」「横浜」「湘南」「相模」が採用されています。

 一方、この地名標示によって、クルマの使用者のおおよその「使用の本拠地」はわかりますが、正確な市町村がわかるわけではありません。

 例えば、神奈川県の県庁所在地となる横浜市には、「横浜」が存在します。

 この名称は横浜市だけでなく、近隣に位置する鎌倉市、逗子市、横須賀市、三浦市、三浦郡葉山町も含まれています。

 さらにいえば、「湘南」は主に平塚市や藤沢市近辺のエリア全体の総称となっており、市町村としては存在していません。

 こうした事例を踏まえると、東京都の場合、都庁所在地の「新宿」やエリア全体の総称ともいえる「東京」という名称があってもおかしくはありません。

 2021年11月現在の東京都のナンバープレート名称は、「品川」「練馬」「足立」「八王子」「多摩」「世田谷」「杉並」「江東」「葛飾」「板橋」が存在します。

 このうち、「世田谷」「杉並」「江東」「葛飾」「板橋」は、通称「ご当地ナンバー」として後から追加されました。
 
 では、なぜ「新宿」は地名として登録されていないのでしょうか。

 前述のように、ナンバープレートの地名標示は、大前提として、登録事務所などの所在地によって決定されますが、新宿区に登録事務所などがないため、「新宿」が存在しないというのがひとつの理由として挙げられます。

 一方で、2004年からは登録事務所がない地域においても、前述の「ご当地ナンバー」として地名を登録できるようになっており、「江東」や「板橋」などがそれにあたります。

 ご当地ナンバーの登録には、地域側からの申請が必要ですが、国土交通省自動車局の担当者によると現在までに「新宿区からの申請はありません」といいます。

 新宿区から申請がない理由には、国土交通省が定める、ご当地ナンバーの登録に関する規定が関係していると考えられます。

 申請可能な基準として「行政区画や旧国名などの地理的名称であり、当該地域を表すのにふさわしい名称であること」、「当該地域名が全国的にも認知されていること」「読みやすく、覚えやすいものであるとともに、既存の地域名と類似し混同を起こすようなものでないこと」などが定められており、これらには該当すると考えらます。

 一方、ご当地ナンバーの登録条件として「地域特性等について一定のまとまりのある複数の市町村の集合であること」、「登録されている自動車の数が10万台を超えていること」、「都道府県内の人口、登録自動車の数等に関して極端なアンバランスがないこと」などが挙げられます。

 新宿区単体では、登録条件である「登録されている自動車の数が10万台を超えていること」をクリアできていません。

 新宿区は交通量が多く、甲州街道・靖国通り・明治通りなどの幹線道路が集中しており、時として容量を上回る通行量があります。

 しかし、実際に新宿区に在住している住民はそれほど多くはないため、使用の本拠地を新宿区としているクルマは意外と少ないのが実情です。

 関東運輸支局が公表する「市町村別車両数統計」によると、新宿区のクルマの登録台数は、個人所有と事業用をあわせても5万5260台(2021年4月現在)となっており、10万台には程遠いことがうかがえます。

 前出の国土交通省担当者は、今後の「新宿」誕生の可能性について「もちろん、新宿区が条件を満たし、ご当地ナンバーの登録申請をおこなえば、今後新宿ナンバーが誕生する可能性は十分にあります」と話します。

 ちなみに、現在は、使用の本拠地が新宿区であるクルマは、練馬区にある練馬自動車検査登録事務所が管轄となっているため「練馬」で登録されています。

■「新宿」がダメなら「東京」「渋谷」ならOK? ありそうでないワケ

 県庁所在地の「新宿」が条件を満たしていない場合でも、「湘南」のような総称を付けることは出来ないのでしょうか。

「東京」や「渋谷」など、東京都にはご当地ナンバーの基準に当てはまりそうでも、実際に存在していない地名はさまざまあります。

 例えば、「東京」が存在しない理由としては、まず登録事務所などがないこと、そして、「東京」と表されただけでは、想定される範囲が広く、そもそも市区町村を示す地名として機能しないことが考えられます。

エリア総称の「湘南ナンバー」があるなら「東京ナンバー」があっても良い?(画像は編集部加工)エリア総称の「湘南ナンバー」があるなら「東京ナンバー」があっても良い?(画像は編集部加工)

 また「渋谷」の場合は、新宿区と同様に、登録されているクルマが5万4220台となっており、10万台に届いていない状況です。

 ご当地ナンバーは、近隣の市区町村との連携でも申請することができるため、基準や条件の観点からは、渋谷区と新宿区で合わせて申請することも不可能ではありません。

 ただし、その場合では、どちらの区名で申請するかが争点となることが予想され、区民から反対の声が挙がる可能性も考えられるため、実現は難しいのかもしれません。

※ ※ ※

 なお、国土交通省の担当者は「ご当地ナンバーの申請は、不定期的に受け付けをおこなっています」と話しており、次にいつ申請できるかはまだ決まっていないようです。

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