街中で「フォグランプ」は必要? 眩しすぎる「バックフォグ」に要注意! 正しい活用方法とは
くるまのニュース / 2021年11月26日 14時10分
SUVに限らず、「フォグランプ」を装着するモデルがありますが、市街地で使用する必要性はほとんどなく、使ったことがないという人もいるでしょう。フォグランプを使うべきシチュエーションとは、どんなときなのでしょうか。
■フォグランプにはどんな規定がある?
かつては一部の車種のみでしたが、昨今ではSUVやミニバンなどに「フォグランプ」が標準装着されることが増えています。
しかし、ヘッドライトだけでも十分な光量があることから、市街地や高速道路などで使用する必要性はほとんどなく、1度も活用したことがないという人も多いかもしれません。
さらに市街地での使用は対向車や歩行者にとって意外と眩しかったり、使い方を誤ると前走車から「あおり運転」と誤解されたりするケースも多そうです。
フォグランプにはどのような役割があるのでしょうか。
フォグランプの正しい名称は「前部霧灯」といい、道路運送車両法第33条の2に記載された内容を要約すると「霧などで前方の視界が制限されている場合に、前方の照度を増加させ、かつほかの交通を妨げないもの」と記載されています。
また明確な規定があり、取り付け位置は「照明部の上縁が地上800mm以下、下縁が地上250mm以上」、色は「白色、または淡黄色」、同時に3つ以上点灯しないもので、さらに色も統一されたもののみという車検保安基準が設けられています。
ちなみに2006年以前の保安基準では「1万カンデラ(1000ルクス)以下」という明るさの規定もありましたが、現在は撤廃されています。
明るいフォグランプをロービーム代わりに点灯させた状態で走行するクルマも見られますが、これは道路交通法第52条に違反しています。あくまでヘッドライトの補助的な役割を果たすものだということです。
では、なぜフォグランプは「白色、または淡黄色」のみと定められているのでしょうか。
本来であれば、霧や雨などの悪天候で視認性が高く、かつ透過率(遠くまで届く)が高いのは赤色ですが、赤色灯はすでにテールランプや警光灯(いわゆるパトランプ)に使用されているため、その次に透過率が高いといわれる単色光の黄色が多く採用されていました。
しかし単色光は錯覚を起こしやすかったり、距離感が掴みにくかったりすることが判明しています。
またフォグランプのバルブ自体も、以前のハロゲンから近年では光度(明るさ)が高いHIDやLEDが主流となったこともあり、透過率は高くても光度が低い黄色より、より明るさを感じる白色系のフォグランプが主流になってきています。
■バックフォグランプの使用には注意が必要
昔は標準装着率も低く、バンパにステーを設置して後付けする黄色タイプのフォグランプが主流でした。
現在では衝突安全性と空力を考慮したボディ形状のため、後付けするケースが減っていると神奈川県で整備工場を経営しているBさんはいいます。
霧や雪などの悪天候の際にフォグランプを使用する
フォグランプはどんなときに使用すべきなのでしょうか。
名前の通り、霧や雪といった路肩などが見えにくい悪天候のときにフォグランプを点灯させます。
悪天候では手前の停止線やセンターライン、段差のある路肩などが見えなくいケースも多く、とくに雪だと路上の障害物が雪で隠れてしまい、ホアワイトアウトのときはその傾向も顕著になることから、ヘッドライトでカバーできない手前を照らす補助灯として使うとされています。
フォグランプはヘッドライトと違って「補助灯」なので、装着義務はありません。また、照射距離は30m程度と定められており、前方の遠くというより、手前の左右を見やすくしてくれる、近距離専用ランプとして機能します。
霧のなかでも乱反射を防ぐためにかなり手前しか照らさないように設計されていますが、LEDの明るい光が雨などで濡れた路面に反射して周囲のクルマが眩しく感じるケースも考えられます。
現在は純正装着されているケースも多く、普段から使用しても問題ないといえますが、街灯とロービームだけでも十分な明るさがある場合は使用しなくてよいでしょう。
ただし、注意が必要な場合があると整備士のBさんはいいます。
「新車でも純正フォグは光軸調整がされていない、つまり光軸がズレているケースが多々あるのです。またLEDの採用などで光量自体も上がっていて眩しく感じることが増えてるので、悪天候時以外で使用する場合は周囲への配慮が必要でしょう」
※ ※ ※
前方のフォグランプ以上に注意して使用したいのが、後方に照射される「バックフォグランプ(リアフォグランプ)」の使用方法です。
欧州車などを中心に装着されているバックフォグランプですが、テールランプなどに組み込まれており、透過率が高い赤色灯が備わります。
かなり遠くからでもクルマの位置を把握しやすい反面、取り付け位置も高いことから、後続車から見ると眩しく感じるケースもあるようです。
吹雪など悪天候で自車の存在を遠くの後続車にまで知らせる必要がある場合は非常に有効ですが、一般的な走行では使用しないほうがよいでしょう。
このバックフォグランプを市街地でも点灯させているクルマを見かけることもありますが、これは主にステアリングの付け根付近にあるフォグランプ関係のスイッチを消し忘れているケースが多いようです。
自分のクルマが無駄にフォグランプやバックフォグランプを点灯させた状態になっていないか、確認してみることをお勧めします。
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