あおり運転対策「ドライブレコーダー」は死角の少ない360度カメラが常識!? メリット・デメリットとは
くるまのニュース / 2021年12月11日 18時10分
あおり運転や交通事故の記録・証拠として、また防犯対策としても有効として、ドライブレコーダーの装着率が上がっています。周囲を360度録画できる「全方位タイプ」が主流になってきているといいますが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
■トラブルや事故の証拠としてクルマの側面の録画が必要
あおり運転の厳罰化などで以前より減少傾向とはいえ、急な幅寄せや割り込み、交通事故、または車上荒らしなど、クルマに関わるトラブルや事件に遭う可能性は依然としてあります。
そんなときの状況証拠となる映像を残せる「ドライブレコーダー」の装着率が、近年上昇しています。
以前は価格の安さが魅力の「フロント(前方)カメラ」タイプ、またはあおり運転にも有効として後方も録画する「前後2カメラ」タイプが主流でしたが、最近はクルマの周囲をぐるりと全方位で撮影できる「360度カメラ」タイプを選ぶ人が増えているようです。
数多のドライブレコーダーが販売されているなかで、どれを選べばいいのか悩ましいところでしょう。とくに通販サイトでは「ドライブレコーダー」と検索するだけでも百種類以上がヒットし、何を基準に選べばいいのでしょうか。
ドライブレコーダーの各種類「フロントカメラ」「前後2カメラ」「360度カメラ」は、それぞれにメリットとデメリットがあります。
フロントカメラタイプの最大のメリットは価格の安さです。通販サイトでは5000円以下の商品も販売されており、電源も12Vソケットを繋ぐだけのシンプル構造となっています。
モニターとの一体型が多く、その場で録画した映像をチェックできるというメリットもあります。
ただし前方しか録画されていないので、後方や側面からの追突や嫌がらせなどは記録できないというデメリットがあります。
このデメリットの解決策として登場したのが前後2カメラタイプです。後方からの映像も記録されることで、死角をだいぶ減らすことができます。
リアカメラが標準で装備されている場合は配線処理さえできれば有効活用することもできますが、かなり高度な技術が必要になります。
また側面が死角になってしまうため、幅寄せや横からの追突、防犯対策としても十分とはいえない部分もあります。
そして現在、装着率が高まっているのが360度カメラタイプです。その名の通りぐるりと周囲を録画でき、側面からのアクシデントにも対応可能です。
ただしモニターが装備されていないモデルがほとんどで、記録媒体に録画した映像はパソコンなどで確認する手間がかかります。
※ ※ ※
もうひとつの判断材料は、カメラの性能です。
「視野角」と「画質」が重要で、できるだけ死角を減らすべく視野角は100°以上、画質はフルHD以上、さらに「画像補正」や「夜間モード」など悪天候や夜でも必要な情報を記録できる性能が求められます。
■「360度カメラ」実際に装着してみた!
カメラの画質向上などを受け、主流となりつつある360度カメラタイプのドライブレコーダーです。しかし、完全というわけではないのも事実です。
そこで、都内で輸入車を中心に中古車を販売しているショップのK店長に、「360度カメラ」のメリット、デメリットを教えてもらいました。
最初は邪魔に思えたカメラ位置もしばらく走行すると気にならなくなる
「クルマを販売したお客さま以外からも、ドライブレコーダーの装着を依頼されるケースが増えています。弊社では、これから装着されるお客さまには360度カメラをお薦めしています。
360度カメラのメリットは、全方位を撮影できるということで死角が少ないことです。近年問題視されているあおり運転も前後からだけとは限りませんので。
前後2カメラタイプですと取り付け工賃も(カメラを2台設置するぶん)割高になってしまいます。その点、360度カメラであれば、フロントカメラタイプと同等の工賃で済むのもお勧めしやすい理由です」
ただし、この360度カメラにも多少なりともデメリットがあるようです。
「基本的に設置はフロントガラス中央あたりに設置するケースが多いのですが、カメラ一体型がほとんどのため、録画も車内からになります。
つまりボディサイドに近い部分はどうしても死角になりやすいというデメリットもあります。
また設置に関しても、法令ではフロントウインドウの上部20%以内に取り付けなければならないのですが、全体をバランス良く録画するためのポジション決めがけっこう難しいんです。
運転の視界を遮りすぎてもいけないですし、かといってルーフ(天井)に設置してしまうと周囲が上手に撮れないので、この辺りの位置決めが難しいです」(中古車店 K店長)
そしてこの360度カメラを、クルマの買い替えをきっかけに筆者(金田ケイスケ)が装着してみましたが、まるでプラネタリウムの本体を取り付けたかのような存在感に最初はびっくりしました。
以前乗っていたクルマにはフロントカメラタイプを装着しており、前方をしっかり映すためにルームミラー脇に設置していたのですが、360度カメラは前後左右のバランスを考慮することから、ルームミラーの下、つまりフロントウインドウのほぼ中央に設置。
「これでは前方の視界に影響がありそう」と思ったのも事実ですが、配線処理まで含めてショップにお願いしていたこともあり設置場所はそこで良かったようです。最初は邪魔に感じた本体も、30分も走行しないで慣れました。
まだ録画映像は確認していませんが、前述のように360度カメラにはモニターが装備されていないので、その場で確認できないのがデメリットともいえます。
録画した映像は記録メディアを抜き出してパソコンなどでチェックする必要がありますが、そもそもトラブルがなければ確認することもない映像ですので、モニターがないことによる不便さは今のところ感じていません。
それよりも、全方位を録画している安心感と、ドライバーも含めて車内を録画しているということを意識させられ、無茶な運転を控える自制心も働く作用もありそうです。
その反面、360度カメラのレンズ位置(下方向に配置されています)によって車両上部、たとえば信号機などが記録できないデメリットもあります。
また車内も同時撮影するということは、どうしても車両後方の映像はインテリア越しになってしまい、細かい撮影が厳しいところがあります。
「360度カメラタイプの弱点である後方視界の見えにくさをカバーする方法としては、バックカメラと連動するルームミラーモニターなどで別に後方のみを記録しておくというのが現状では最良の策でしょう。
ただカメラによる後方映像ではなく、通常のバックミラーのほうが視野角も広く(自分が動くことでさらに広がります)、どちらを選ぶかは好みの問題ともいえます」(中古車店 K店長)
予算としては、配線などの工賃込みで3万円弱でした。フロントカメラタイプの3倍近い費用は決して安いとはいえませんが、側面までカバーできる性能さを考えると価格的にも納得でしょう。
※ ※ ※
もちろんドライブレコーダーの映像が必要になる状況が起きないのが理想ではありますが、防犯だけでなくさまざまなトラブルへの自衛策として、性能が良くなるべく死角が少ないドライブレコーダーを装着するのが安心でしょう。
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