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常識を大きく覆した? コンセプトが凄かった車3選

くるまのニュース / 2021年12月3日 6時10分

各メーカーとも新型車の開発をおこなう際に、最初にコンセプトを明確にします。コンセプトは各クルマの個性にもつながりますが、そのコンセプトが非常に際立っていたモデルも存在。そこで、それまでの常識を覆したほどコンセプトが凄かったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

■とにかくコンセプトが明確かつ秀逸だったクルマを振り返る

 世界中の自動車メーカーに共通することですが、新型車の開発をスタートする際には、そのクルマのコンセプトを決め、デザイナーやエンジニアと共有します。

 なぜなら、そのコンセプトの実現に向けて開発チームが一致団結する必要があるためで、コンセプトがブレてしまってはゴールにたどり着けません。

 それぞれのクルマで分かれるコンセプトは、そのクルマの個性につながりますが、かつてはコンセプトが明確かつ秀逸だったクルマも存在。

 そこで、それまでの常識を覆したほどコンセプトが凄かったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●スズキ初代「アルト」

驚異的な低価格を実現して軽自動車の新ジャンルを確立した初代「アルト」驚異的な低価格を実現して軽自動車の新ジャンルを確立した初代「アルト」

 スズキは2021年11月25日に、公式ウェブサイトで9代目となる新型「アルト」のティザーページを公開しました。

 近年、軽ハイトワゴン/トールワゴンが軽自動車市場を席巻していますが、かつてアルトは、スズキの主力車種として販売されていたモデルです。

 このアルトの初代は1979年に誕生しましたが、まさに革新的な軽自動車として語り継がれる存在といえます。

 当時、自動車には物品税が課せられていましたが、アルトは物品税が免税される商用バンとして開発されました。

 実際は乗用に使われることを前提としており、「軽ボンネットバン」という新ジャンルを確立。さらにアルトは装備も極力簡素化して徹底的なコスト削減をおこなうことで、47万円からという驚異的な低価格を実現。

 ボディタイプはシンプルに3ドアハッチバックのみで、加飾も最小限に留め、まさにベーシックカーの王道をいくコンセプトでした。

 エンジンは既存の2サイクル550cc直列3気筒(1981年以降は4サイクルに換装)をフロントに搭載するFFで、最高出力は28馬力(グロス)と決してパワフルではありませんでしたが、わずか545kg(MXグレード)という車重には十分なパワーといえました。

 初代アルトの低価格路線は見事にユーザーのニーズを捉えて大ヒットを記録し、これに他メーカーも追従したことから、1980年代は軽ボンネットバンが軽自動車市場の主流となりました。

 なお、その後、政府は税制を改定して軽ボンネットバンにも物品税が課せられるようになりましたが、スズキは2シーター仕様のアルトを追加ラインナップして物品税を回避。47万円からという価格を維持しました。

●ホンダ初代「シティ」

今も語り継がれるほど相当なインパクトを放ちながらデビューした初代「シティ」今も語り継がれるほど相当なインパクトを放ちながらデビューした初代「シティ」

 ホンダは1972年に新時代のベーシックカーとして初代「シビック」を発売し、国内外でヒットを記録しました。

 そして、1979年にはボディを大型化してワンランク上のモデルとした2代目が登場し、シビックに代わるより小さく安価なエントリーカーとして、1981年に初代「シティ」を発売しました。

 初代シティは、全長3380mm×全幅1570mmのコンパクトなボディで、いかに室内空間を大きくするかというコンセプトを明確にし、それまでのコンパクトカーの常識を覆すほどの全高1470mmというトールボディを採用しました。

 全高を高くすると空気抵抗の増加や、重心高が上がってコーナリング性能や横風に対する操縦安定性などに影響がありますが、ホンダはそれらの問題を解決しつつ、全体のフォルムも視覚的に安定感のあるデザインとなっていました。

 搭載されたエンジンは最高出力67馬力(「R」グレード、MT)の1.2リッター直列4気筒SOHCで、出力的には平凡でしたが、665kg(同)という軽量な車体によって十分な動力性能と、低燃費を達成。

 さらに広い室内による積載性の高さをアピールするために、シティのトランクに格納可能な原付バイクの「モトコンポ」を同時発売しました。

 初代シティは異色のモデルといえましたが、コンセプトがユーザーから支持されて大ヒットを記録。

 その後も高性能なターボエンジンを搭載した「シティターボ」と「シティターボII」、オープンモデルの「シティ カブリオレ」、よりルーフを高くした「シティ ハイルーフ」などバリエーションを拡大して、常に注目される存在でした。

●日産「R32型 スカイラインGT-R」

レースでも公道でも天下を取ることを目的に開発された「R32型 スカイラインGT-R」レースでも公道でも天下を取ることを目的に開発された「R32型 スカイラインGT-R」

 日産の現行モデルのなかで、途切れることなくもっとも長寿なクルマが「スカイライン」です。

 これまで64年にも及ぶ歴史のなかで大きな転換期は何度もありましたが、なかでも「技術の日産」の集大成といえたモデルとして注目されたのが、1989年に登場した8代目の「R32型」です。

 ラグジュアリー路線だった7代目から大きくコンセプトを変え、デザインの刷新とともにボディをダウンサイジングし、スポーティなスカイラインに回帰。

 そして、最大のトピックスだったのが、8代目スカイラインをベースにした高性能モデルの「スカイラインGT-R」の存在です。

 R32型 スカイラインGT-Rは3代目にあたり、1969年に登場した初代と同じくレースで勝つこと、さらに公道での絶対的な走行性能を確立することをコンセプトに開発されました。

 ボディは2ドアクーペをベースに前後ワイドフェンダーを採用してフロントフェイスを専用のデザインとし、リアに大型スポイラーを装着。

 エンジンは新開発された2.6リッター直列6気筒ツインターボ「RB26DETT型」を搭載し、最高出力はすでに自主規制上限だった280馬力を発揮。トランスミッションは5速MTのみです。

 また、駆動方式はFRを基本とする駆動トルク可変型のフルタイム4WDシステム「アテーサE-TS」を採用し、新開発の4輪マルチリンク式サスペンションと相まって高い運動性能を実現しました。

 ツインターボエンジンやフルタイム4WDといったメカニズム自体はすでに珍しくありませんでしたが、すべてレースで圧倒的なパフォーマンスを発揮することを目的に開発されていたのは、驚異的なことでした。

 スカイラインGT-Rは1990年シーズンから「全日本ツーリングカー選手権」に参戦しましたが、デビューウインを飾った後、1993年にレースが消滅するまで26戦全勝を記録し、まさに無敵でした。

※ ※ ※

 コンセプトが明確なクルマは、近年ではだいぶ少なくなった印象があります。いい換えれば、あまりにも個性を強く主張することを避けているともいえるでしょう。

 かつて、トヨタのつくるクルマは「80点主義」といわれましたが、完璧で個性的なクルマよりも売れるということを、令和の今、改めて証明しているのかもしれません。

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