「体調急変→車が運転」実現間近の機能を公道で試してみた マツダ先進システムの実力は?
くるまのニュース / 2021年12月9日 17時10分
マツダの先進運転支援機能「CO-PILOTコンセプト」を、筆者が東京の公道で体験。システムはドライバーの「異常」を受けて、安全な場所にクルマを無事停止させることができたのでしょうか。
■3つの状況を想定 「緊急時」にクルマはどう動く?
マツダが2022年に実用化する「CO-PILOT(コ・パイロット)コンセプト」を、筆者(桃田健史)が公道で体験しました。
CO-PILOTコンセプトは、先進的な運転支援機能(ADAS)のひとつです。運転中にドライバーが急な体調異常や強い眠気に襲われた場合などに、クルマのシステムが運転を引き継いで安全な状態で停止する仕組みです。
筆者はすでに、広島県三次市のマツダ三次自動車試験場で試験車を運転し、CO-PILOTコンセプトを体験しています。
その際、試乗がテストコース内であったことから、運転中に故意に運転姿勢を大きく崩したり、両目を閉じたりして、ドライバーの異常状態を模擬しました。
今回は、試乗の場所を東京・お台場の公道に移し、CO-PILOTコンセプトがリアルワールドでどのような“振る舞い”をするのかを体感しました。
なお、このときの試乗は警察庁による高度運転支援システム公道実験でのガイドラインに従うなど、道路交通法を順守するため、運転はマツダ関係者がおこない、そのマツダ関係者が車内の緊急ボタンを押すことでCO-PILOTのシステムを作動させる形としました。
そうした操作の様子と、CO-PILOTシステム作動後のクルマの“振る舞い”を、筆者は助手席から見ることになりました。
CO-PILOTコンセプトの作動は、3つの状況を想定しておこないました。
最初は、基本動作(車線変更を含む路肩退避)です。
片側2車線の直線路で緊急ボタンを押すと、左斜め後方に車両がいないことをシステムが確認し、左へ車線変更し、それからさらに減速して路肩に寄り、前方の軽貨物車の手前で完全に停止しました。
車内には、ヘルプネットに接続するというアナウンスが流れました。
次に試したのは路肩駐車車両の側方通過(他車の外乱)です。しかしこれは、想定とは違う結果となりました。
片側2車線の直線路を進み、青信号の交差点の手前で緊急ボタンを押しました。交差点内には左折車線に二輪車がおり、システムが二輪車を検知して徐々に減速し、車線内で停止する旨のアナウンスが流れて、交差点内を過ぎた横断歩道手前で停止しました。
当初は路肩駐車車両の横を通過するシナリオでしたが、現実は二輪車がいたことでシステムの行動が変わったのです。
マツダのエンジニアによると、「今回は二輪車がいたため、システムが同一車線での停止を優先させた」と説明します。マツダの開発ポリシーとして、できるだけ安全な状態で車両を停止させることを優先しているのです。
■カーブ手前で緊急ボタンを押すと…?
最後は、より安全な場所への駐車(幹線道路を避けた路肩退避)です。
大きな右カーブの手前の直線路で緊急ボタンを押すと、減速しながらカーブを曲がり、さらに側道へ車線変更し、10km/h程度でゆっくり進みながら安全な路肩を探して停止しました。
東京・お台場の道路
このような一般路での路肩退避機能は、2025年以降に量産されるマツダ車にCO-PILOT2.0として搭載される予定です。
また、ドライバー状態検知技術を用いた異常予兆や異常検知についても、CO-PILOT2.0から導入を予定しています。
※ ※ ※
ドライバーが運転中に体調異常で事故を起こす内因性事故の原因の約90%が、低血糖、心疾患、脳血管疾患、てんかんなどによるいう学術的な研究結果があります。
そしてこれらの疾患により脳の機能が低下し、運転操作においてさまざまことが起こる可能性があります。システムはそれらを基にしてドライバーの異常予兆を検知します。
例えば、ハンドルやペダル操作が通常の場合から乖離している度合いを計測します。または、頭部の動き(顔の向き)が車両の挙動に対して上下方向や傾き方でどう動くかを計測します。
さらには、マツダが重要視しているのは視線挙動で、特定箇所への偏りが生じていないかを計測します。
まず、2022年から量産予定のCO-PILOT1.0では、ドライバーの体調異常や居眠りを検知した場合、高速道路での路肩退避と、一般道での交差点内を避けた同一車線での停止を実現します。
今回、公道で体験したCO-PILOTコンセプトは、「もしもの場合に頼れるパートナーである」という実感が湧きました。
今回はマツダのシステムを体験しましたが、同社以外の各メーカーも、ドライバー異常時での高度運転支援システムを拡充することが期待されます。
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