シャープなフォルムがカッコイイ! 昭和の「クサビ型」スポーツカー3選
くるまのニュース / 2021年12月6日 16時10分
クルマのデザインは時代によってトレンドがあり、近年は複雑な曲面を組み合わせたデザインが流行していますが、かつては直線基調のクルマがもてはやされたこともあります。そこで、昭和の時代に誕生したシャープな「クサビ型」フォルムのスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。
■カクカクフォルムがカッコいい昭和のクサビ型スポーツカーを振り返る
クルマのデザインは時代によって変化し、その時々で流行があります。近年はSUVやステーションワゴン、セダンなどは流麗なクーペフォルムがトレンドで、さらに複雑な曲面を組み合わせたボディのクルマが多い印象です。
デザインのプロセスも変化しており、今ではデザインツールとして3DCGが盛んに使われ、1/1モデリングをおこなうだけでなく、さまざまな手法で検証するようになりました。
また、生産技術の進化や新たな素材を用いることで、かつては不可能だった造形が可能となったケースもあります。
一方、1980年代には直線基調のシャープなフォルムのモデルが多く、とくにスポーティなモデルというと「クサビ型」のボディが流行の最先端でした。
そこで、昭和の時代に誕生したウェッジシェイプのスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●スバル「アルシオーネ」
スバル初のスペシャリティカーで唯一無二のリトラクタブルヘッドライトを採用した「アルシオーネ」
1980年代のスバル車というと「レオーネ」に代表される質実剛健なモデルが主流でしたが、1985年に、同社初のスペシャリティカーである「アルシオーネ」が誕生しました。
外観は直線基調のシャープなウェッジシェイプのフォルムで、スバル車では唯一無二のリトラクタブルヘッドライトを採用。
このウェッジシェイプのデザインは空力性能の向上を追求した結果で、リトラクタブルヘッドライトも手段のひとつであり、ほかにもドアノブやウインドウ取り付け部のフラッシュサーフェイス化、空気の乱流を抑えたドアミラー形状、後端をわずかに跳ね上げたダックテール状のトランクリッドなど、さまざまな箇所に空力性能向上策が取り入れられていました。
その効果は絶大で、空気抵抗係数であるCd値は0.29と、日本車で初めて0.3を下回る数値を達成しました。
また、内装では随所に航空機のイメージを取り入れた機能的なデザインを採用し、航空機メーカーを前身とするスバルならではの特徴といえるでしょう。
搭載されたエンジンは当初、最高出力135馬力の1.8リッター水平対向4気筒ターボのみで、駆動方式は2WDのFFとパートタイム4WDを設定。
その後、1987年にスバル初の2.7リッター水平対向6気筒自然吸気「ER27型」を搭載した「アルシオーネ 2.7VX」を追加ラインナップ。最高出力は150馬力を発揮し、駆動方式は前後輪の駆動力配分を可変としたフルタイム4WDである「アクティブトルクスプリット4WD」が組み合わされました。
そして1991年に後継車である「アルシオーネSVX」にバトンタッチされ、アルシオーネは生産を終了。アルシオーネSVXでは曲面を多用したデザインへと移行しました。
●日産「サニー RZ-1」
アダルトな雰囲気も感じさせるスタイリッシュなクーペ「サニー RZ-1」
昭和の時代に、日産の主力車種のひとつだったのが「サニー」です。1966年に初代が誕生し、以来、日産を代表する大衆車として代を重ねました。
そして、1985年発売の6代目では流行をキャッチアップした直線基調のシャープなデザインに一新。
当初、6代目サニーのボディバリエーションは4ドアセダンと2BOXの3ドアハッチバック、ステーションワゴンでしたが、1986年には3ドアハッチバッククーペの派生車「サニー RZ-1(アールズィー・ワン)」が、追加ラインナップされました。
外観はスラントノーズのフロントフェイス特徴的なウェッジシェイプで、ヘッドライトからテールランプまで続く直線で描かれたボディサイドプレスラインが、シャープな印象を高めています。
搭載されたエンジンは、自然吸気とターボの1.5リッター直列4気筒SOHCで、発売から数か月遅れて、最高出力120馬力の1.6リッター直列4気筒DOHC「CA16DE型」エンジンを搭載した「サニー RZ-1 ツインカム」グレードもラインナップされました。
さらに、内外装をドレスアップした「NISMO」バージョンも展開し、若いユーザーへ訴求することでサニーに対するイメージアップに貢献しました。
その後1990年に7代目サニーが登場するとボディバリエーションはセダンのみとなり、サニー RZ-1は一代限りで生産を終えました。
●三菱「スタリオン」
パワフルなターボエンジンを設定し、空気を切り裂くようなフォルムが特徴の「スタリオン」
1980年代はターボエンジンの台頭で、国産車の高性能化が加速。そんななか三菱は1982年に、欧米のスポーツカーに匹敵する性能を目指した次世代スポーツカーとして、「スタリオン」を発売しました。
外観は直線基調のシャープなフォルムの3ドアハッチバッククーペで、流行の最先端だったリトラクタブルヘッドライトを採用し、まさにクサビそのものといったウェッジシェイプのシルエットを実現。
発売当初からターボエンジン車をラインナップし、トップグレードの「GSR-X」では7つのメーターを配置した(デジタルメーター仕様もあり)コクピットに、サポート性の高い本革のバケットシートを採用するなど、豪華かつスポーティな装いとなっていました。
搭載されたエンジンは最高出力145馬力(グロス)を発揮する2リッター直列4気筒SOHCターボと、110馬力(同)の2リッター自然吸気エンジンを設定。
ターボ車では、サスペンションは4輪ストラットの独立懸架に、ブレーキは当時としては先進的な4輪ベンチレーテッドディスクが装備されました。
その後、自然吸気モデルは廃止され、1983年にはターボ車にインタークーラーが装着され最高出力は175馬力(グロス)まで向上。
さらに、1984年には他社に先駆けて可変バルブシステムを採用した「シリウスDASH 3×2」ターボエンジンを搭載した「GSR-V」グレードが追加ラインナップされ、最高出力は200馬力(グロス)を誇り、2リッターエンジン車ではトップクラスへと躍進しました。
モデルライフの終盤だった1987年には2リッターのシリウスDASH 3×2エンジン車に、輸出用の迫力あるブリスターフェンダーを採用したワイドボディの限定車「GSR-VR」が登場。翌1988年には最高出力175馬力(ネット)の2.6リッターターボエンジンを搭載したカタログモデルのGSR-VRに一本化されました。
そして、1990年に実質的な後継車の「GTO」にバトンタッチするかたちで、スタリオンの歴史は幕を下ろしました。
※ ※ ※
前述のとおりデザインには流行があり、とくに近年はつり上がった目のようなヘッドライトのフロントフェイスがトレンドです。
このデザインに大きく影響したといえるのがLEDヘッドライトで、ハロゲン灯やHIDだった頃よりもデザインの自由度が高くなりました。
こうしたパーツ単位の技術革新も、デザインの変化には重要な要素だということでしょう。
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