二輪の「100%非ガソリン化」は実現するか 「EVバイク時代」に向けて各メーカーの考えは?
くるまのニュース / 2021年12月12日 10時10分
東京都が目標とする2035年都内二輪車販売100%非ガソリン化は実現するのでしょうか。東京都のEVバイクイベント「EVバイクコレクション」で各メーカーに考えを聞きました。
■小池都知事もイベントに登場
2021年12月4日と5日、東京都が「EVバイクコレクション in TOKYO 2021」を東京フォーラム(東京都千代田区)で開催しました。
開催初日には小池百合子都知事が来場。二輪メーカーのブースを訪問して各社の技術担当者らから説明を受けました。
この後、小池都知事とタレントのフワちゃんがステージでトークショーをおこない、EVバイクの特徴や楽しさ、そして普及の必要性について、詰め掛けた多くの家族連れにも分かりやすく説明しました。
今回の「EVバイクコレクション」の背景にあるのが、東京都環境局が推進している「ゼロエミッション東京戦略2020」です。
これは、政府の「グリーン成長戦略」発表とほぼ同じ時期である2019年12月に、都が独自に公開した2050年CO2(二酸化炭素)排出量実質ゼロを目指す施策です。2050年までの中間目標として、CO2などの温室効果ガス排出量を都内で2000年比50%削減と掲げています。
そしてその達成のために、2030年までに都内で販売する乗用車の新車100%を非ガソリン化します。さらに、二輪車は2035年までに新車100%の非ガソリン化を目指します。
こうした目標を掲げたなかで、都はEVバイクをアピールする場として、今回初めて実際に見て触れて、また乗車できるイベントを開催したのです。
都のEVバイク政策を受けて、二輪メーカー各社はどのような考え方を持っているのでしょうか。各メーカー関係者に会場内で聞きました。
まず、カワサキモータースです。川崎重工から二輪車・オフロード四輪車・芝刈り機などの汎用機器が独立して新たに生まれたメーカーです。2035年までに先進国向けに主要機器の電動化を進め、2025年までに10車種以上を導入予定であることを発表しています。
今回は、スポーツタイプのEVと小型の三輪車を出展しました。
カワサキのエンジニアは「大型のスポーツタイプは、基本的にEVへの転換が基本。肝はエネルギー密度が高いリチウムイオン電池の量産化です」と話します。
■ヤマハ、ホンダの対応は?
次に、ヤマハ発動機に聞きました。
今回は、電動アシスト自転車「YPJ -MT Pro」、量産型EVバイク「E Vino」、そして電動のトライアル競技用マシン「TY-E」を展示しました。
モータスポーツ部門の統括者は、最近目立つ欧州を基点としたEVシフトの流れについて「(日本にとって)かなり厳しいが、対応せざるを得ない状況だ」と市場に対する私見を述べました。
その上で量産車モデルについて「エンジンをモーターでアシストするマイルドハイブリッドなど、さまざまな研究開発を進めているが、重量増や設計要件を考慮すると、やはりどこかのタイミングで一気にEV化することになるだろう」とこれからの方向性についても触れました。
ホンダのEVバイク
ホンダは今回、交換式バッテリーのHonda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)を使った「BENLY e:」「GYRO e:」、そして「GYRO CANOPY e:」の3台を展示しました。
ホンダの二輪車企画担当者は「弊社のEVバイクは、EVだから好評なのではなく、商品そのものがお客さまから支持されているのが特徴です」と話します。
実際、会場に詰め掛けた多くの人が、モバイルパワーパックを実施に手に持つなど、量産モデルに対する強い期待を寄せていることが、筆者(桃田健史)の肌感覚として分かりました。
また今回、ホンダの展示は小型モデルのみにとどめており、将来的に大型バイクをどのようにEV化していくのかについての情報公開はありませんでした。
※ ※ ※
このほか、輸入車メーカーやベンチャー企業の関係者にも話を聞きましたが、皆さんが「二輪車がEV化する時代は近い将来、確実にやってくる」という考え方を持っており「今から着実に準備をする必要がある」という共通認識がありました。
都が進める2035年の都内二輪車新車100%非ガソリン化が、これから全国的にどのような影響を及ぼすのか注意深く見ていく必要があると感じます。
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