なぜ「平成のワゴンブーム」が勃発? 快速ワゴンが火付け役!? 全盛期のヒット車を振り返る
くるまのニュース / 2021年12月31日 10時10分
現代ではSUVがブームになっていますが、1990年代はステーションワゴンが大人気でした。スバル「レガシィ」の大ヒットで、後を追うように各社ワゴンを投入し、一大ブームを巻き起こしたものでした。そんなワゴン全盛期のブームを振り返ります。
■1990年代のアウトドアブームを支えたワゴン
自動車のジャンルにも流行り廃りがあり、いま現在はSUVが流行していますが、その前の1990年代後半から2000年代まではミニバンが人気でした。
さらにさかのぼるとステーションワゴンが空前の大ブームで、1990年代は大型の高級車から実用的なコンパクトなモデルやスポーティなモデルまで、多くのメーカーが複数のワゴンをラインナップするほどだったのです。
バブル前夜の1987年に公開された映画「私をスキーに連れてって」のヒットもあり、当時はスキーやアウトドアレジャーに注目が集まっていました。
あわせてクルマもRV(レクリエーショナル・ビークル)が人気となり、ワゴンは「クロカン四駆」「ワンボックスカー」と並び、そのRVブームを構成する一角だったのです。
そんなワゴン人気の火付け役となったモデルが、1989年に発売されたスバル「レガシィツーリングワゴン」です。
それまでワゴンといえば商用車「ライトバン(以下、バン)」と同じボディで内装を豪華に仕立て乗用車登録にしたクルマがほとんどでしたが、レガシィはバン仕様を持たない乗用車専用設計で登場。
バン兼用ワゴンにどことなく漂う所帯じみた雰囲気がなく、フォーマルなシーンにも似合うとデビュー早々から支持されました。
以降、ライバル各社が続々とレガシィに続くワゴン車を登場させ、日本はワゴン全盛期を迎えるのです。
数多く発売されたワゴンも、じつは4つの系統に分類することができます。それぞれどのような車種があるのか、日本のワゴン史を振り返ってみます。
●スポーツワゴン系
RVブームという追い風もあり、スバルが培ってきた4WD技術を採用したレガシィ ツーリングワゴンは瞬く間に人気車種となりました。その人気を不動のものにしたのが、約8カ月遅れで追加されたターボ+4WDの「GT」グレードです。
1989年は日産「スカイラインGT-R(R32)」や「フェアレディZ(Z32)」などが登場し、ハイパワー競争の激化が始まった年でもあります。
そんななか、世界でもあまり例のない快速ワゴンがデビューしたのですから人気にならないわけがありません。
レガシィ ツーリングワゴン GTの大ヒットに刺激を受けて誕生したのが、日産初代「アベニール」やトヨタ2代目「カルディナ」のターボ仕様です。
それぞれ日産「シルビア」、トヨタ「セリカ」の心臓が与えられたホットモデルで、レガシィツーリングワゴン GTが200馬力だったのに対し、アベニールは210馬力、カルディナは260馬力もの最高出力を誇りました。
圧巻だったのは、1997年に日産「ステージア」に追加された「260RS」グレードです。
オーテックジャパンが手掛けたモデルで、「スカイラインGT-R(R33)」のエンジンやドライブトレーン、リアサスを流用したモンスターマシンでした。
■ワゴンブームの輸入車代表は四角くも新しいボルボ
●輸入ワゴン系
ワゴンブーム以前から輸入ワゴンはいくつか日本で販売されていましたが、本格的に人気に火がついたのは1993年に登場したボルボ「850エステート」からでしょう。
同社のロングセラーだった「240」の後継として開発されたモデルで、FRの240とは対照的に、850エステート直列5気筒エンジンを横向きに搭載するFFレイアウトを採用。
ボルボらしいスクエアさと新しさを両立したスタイリングは、ちょっと余裕のある生活をイメージさせると好評でした。
角ばったボディがカッコ良かったボルボ「850エステート」
当時の輸入ワゴンはこの「余裕」がキーワード。裕福さの象徴ともいえるメルセデス・ベンツ「ミディアムクラス」のワゴンモデルは、850エステートと双璧をなす人気車でした。
また、ロングバケーションをイメージさせるフランスのプジョー「405ブレーク」や、アメリカのスケール感を味わえるフォード「トーラス」も、違った意味での余裕を感じさせると人気だったクルマです。
なお、前出のステージアは、850エステートの影響を受けて開発されたモデルといえました。
●逆輸入ワゴン系
日米で「レガシィ」のライバルとなるホンダ「アコード」も、レガシィから遅れることおよそ2年、1991年にワゴンモデルを発売。
車名が「U.S.アコードワゴン」とされたことからもわかるようにアメリカ工場で生産された逆輸入車で、その特別感とシンプルで綺麗なスタイリングを武器に好調なセールスを記録しました。
セダンは5ナンバーに収まるクルマでしたが、ワゴンのボディはバンパーやモールで拡大され、エンジンも2.2リッターに排気量アップ。5ナンバー枠を超える贅沢なクルマという位置付けでした。
このような逆輸入ワゴンは、同じくアメリカ生産のトヨタ「セプターワゴン」や、オーストラリア生産の三菱「ディアマンテワゴン」がありましたが、アコードほどのヒットには至りませんでした。
●ハッチバックワゴン系
ワゴンの魅力はたくさんの荷物を積めることですが、スポーティさを追い求めた結果か、あるいはブームに便乗するために名乗っただけなのか、ワゴンというにはラゲッジスペースが心許ないクルマも登場しました。
代表的なのが「レガシィ」の弟分であるスバル「インプレッサ」です。
インプレッサは「スポーツワゴン」を名乗っていましたが、そのラゲッジルームは同クラスのハッチバック車と同等。
サスペンションやホイールハウスの室内への張り出しが大きくお世辞にも使いやすいとはいえませんでしたが、それは圧倒的な運動性能を誇る「WRX」グレードを設定するなど高性能な足回りを収めるために仕方がなかったのでしょう。
同様に、マツダ「ファミリアSワゴン」やフォード「フェスティバミニワゴン」もハッチバックの域を出ないショートワゴンです。
逆にワゴンを名乗らなかったのに狭いワゴン扱いされていたのがトヨタ「アルテッツァジータ」でした。
※ ※ ※
現在、日本で販売されている国産メーカーのワゴンは、トヨタ「カローラツーリング/カローラフィールダー」とスバル「レヴォーグ」、マツダ「マツダ6ワゴン」、ホンダ「シャトル」など、全盛期と比べるとずいぶん寂しい状況です。
とはいえ、当時のRVブームを担ったワンボックスカーはミニバンに、クロカン四駆はSUVへと進化し、再び日の目を見ています。
ワゴンもまた違った形で人気が再燃するかもしれません。
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