もう二度と発売されることはない!? 1.6リッターエンジンの2ドアクーペ3選
くるまのニュース / 2021年12月11日 6時10分
現在、コンパクトなサイズの2ドアクーペは、世界的にも希少種です。さらに高性能な1.6リッターNAエンジンを搭載したモデルも、ほとんど残っていません。しかし、かつてはこれらを組み合わせたモデルが存在。そこで、往年の1.6リッターエンジンを搭載した2ドアクーペを、3車種ピックアップして紹介します。
■かつて走り好きに人気のモデルだった「テンロク2ドアクーペ」を振り返る
昭和から平成にかけて、若者が乗るクルマとして定番だったのが小型の2ドアクーペです。ラインナップも豊富で、ベーシックなモデルから高性能なモデルまでありましたが、今では世界的にも絶滅危惧種となってしまいました。
また、走り好きの定番のクルマといえば、高性能な1.6リッター自然吸気エンジンを搭載したモデルですが、こちらも昭和から平成にかけて各メーカーから販売されていたものの、もはやほとんど残っていません。
これはニーズの変化によるもので、より使い勝手の良いクルマや、経済性に優れたクルマが求められるようになったからです。
しかし、かつては高性能な1.6リッターエンジンと2ドアクーペを組み合わせたモデルが存在。
そこで、往年の1.6リッターエンジンを搭載した2ドアクーペを、3車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「カローラレビン」
長い歴史の最後を締めくくる集大成だった「AE111型 カローラレビン」
かつてトヨタを代表する小型2ドアクーペといえば「カローラレビン(スプリンタートレノ)」です。
初代カローラレビンは1972年に誕生。トップグレードには高性能な1.6リッター直列4気筒DOHC「2T-G型」エンジンを搭載し、しかも手頃な価格だったことから若者を中心に絶大な人気を獲得しました。
その後も同様なコンセプトで代を重ね、1987年に登場した5代目からは駆動方式をFFへスイッチ。そして、1995年には最終モデルとなる7代目がデビューしました。
外観は、先代が全体的に丸みを帯びたフォルムだったのに対し、エッジの効いたシャープなデザインへと一新されました。
上位グレードの「BZ系」には、最高出力165馬力を誇る1.6リッター直列4気筒5バルブDOHCエンジンを搭載。ほかにも、115馬力の1.6リッターと100馬力の1.5リッターの2種類の「ハイメカツインカム」エンジンも設定され、シリーズ共通である廉価グレードも展開していました。
また、足まわりには直進安定性と運動性能を高次元で両立する「スーパーストラットサスペンション」搭載車を設定。
さらにスーパーストラット車のMTモデルには、国産FF車として初となるヘリカルLSDを標準装備し、優れた旋回性能を発揮しました。
まさにシリーズの集大成というべき仕様だった7代目カローラレビンは、クーペ人気の低迷から2000年に生産を終了し、長い歴史に幕を下ろしました。
●三菱「ミラージュ アスティ」
パワフルな高回転型1.6リッター自然吸気エンジンを搭載した「ミラージュ アスティ RX」
三菱初のFF車として開発された初代「ミラージュ」は1978年に誕生。ヨーロピアンな雰囲気が漂うスタイリッシュな3ドア/5ドアハッチバックに、同クラスのコンパクトカーでは初となるターボエンジン車をラインナップするなど、高い人気を誇りました。
その後、ミラージュは三菱のエントリーカーの主力モデルとなり、1991年にデビューした4代目ではシリーズ初の2ドアクーペ「ミラージュ アスティ」が設定され、1995年に登場した5代目にも継承されました。
ボディは3ドアハッチバックと同様なフロントセクションに、比較的大きなキャビンとすることによって、2ドアクーペながら十分な室内空間を確保。
上位グレードには最高出力175馬力を誇る1.6リッター直列4気筒MIVECエンジンを搭載し、内外装もスポーティに演出されていました。
そして、1998年にはさらに高性能な特別なモデルとして「RX バージョンR」が加わりました。
エンジンは1.6リッターで最高出力は175馬力と標準仕様と同じですが、チタン合金製吸気バルブの採用や、低速と高速のカムプロフィールの切り換えタイミングの変更などのチューニングが施され、水冷式エンジンオイルクーラーを装備。トランスミッションは5速MTのみです。
さらに、専用チューニングの前後サスペンションと、クイックステアリングシステムを採用するなど、ストリートでのドライビングプレジャーを追求していました。
また、「ランサーエボリューション」を彷彿とさせる大型リアスポイラーや、OZ製15インチアルミホイール、MOMO製ステアリングホイールが装着されるなど、内外装もスポーティに演出。
RX バージョンRはかなりの意欲作でしたが、登場から2年後の2000年にミラージュ アスティは生産を終了し、2ドアクーペはラインナップから消滅しました。
●マツダ「ロードスタークーペ」
今では考えられないほど大規模なボディ改修によって誕生した「ロードスタークーペ」
最後に紹介する2ドアクーペは、ほかの2台とは大きく異なるプロセスで誕生したマツダ「ロードスタークーペ」です。
ロードスタークーペは、1998年登場の2代目ロードスターをベースにクローズドボディに仕立てられた限定モデルの特別仕様車です。生産はエンジニアリング事業とカスタマイズ事業を展開しているマツダの関連会社「マツダE&T」が担当しました。
ボディはロードスターのシャシに、専用のプレス型で製作されたスチール製のルーフやリアフェンダーなどを手作業で溶接し、ベースのデザインを生かしたスタイリッシュなクーペフォルムを実現。
また、クローズドボディ化に伴う重量増も10kgほどに抑えられており、ロードスターならではの「人馬一体」の走りは継承されました。
ラインナップは4タイプ用意され、標準仕様で最高出力125馬力の1.6リッターエンジンと5速MTを搭載した「ロードスタークーペ」に、1.8リッターエンジンの「タイプA」「タイプE」「タイプS」を設定。
それぞれ内外装の意匠とトランスミッションが異なり、タイプSとタイプAにはビルシュタイン製ショックアブソーバーが装着されるなど、各部がチューニングされていました。
ロードスタークーペは2003年から2005年まで生産され、価格は1.6リッターモデルが235万円(消費税抜、初期型)と、大規模な改修の割にはかなり安価な設定だったといえるでしょう。
※ ※ ※
2ドアクーペといえば、やはりスタイリングです。2ドアクーペはどれもスタイリッシュで、セダンやハッチバックには無い魅力があります。
しかし、使い勝手の点で、SUVやミニバン、軽ハイトワゴンには到底かないません。
たとえ、3人以上が乗ることや荷物を満載する機会がほとんどなくても、「大は小を兼ねる」のとおり、より室内や荷室が広いモデルを求めるのは自然なことでしょう。
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