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「実車見てからでは遅い?」 なぜ新型車販売「先行受注」主流に? 発売日に注文で納期数か月待ちも

くるまのニュース / 2021年12月17日 7時10分

最近、新型車の正式発表前(発売日)に「先行受注」を開始する自動車メーカーが多く見受けられます。なぜ発表や発売前に受注を開始するのでしょうか。

■もはや発表日・発売日の意味は無い? 先行受注が当たり前になる現状

 近年の国内新車市場では、正式な発表や発売前に「先行予約受注」や「先行注文」(以下、先行受注)をおこなうことが一般的になっています。
 
 本来であれば新型車の発表日や発売日以降に受注を開始するという印象がありますが、なぜ先行して受注を開始することが当たり前のようになったのでしょうか。

 国内の自動車市場では、毎月のようになんらかの新型車が発売されています。

 新型車といっても現行車を全面刷新する「フルモデルチェンジ」や、ベースはそのままながら大きく改良を加える「マイナーチェンジ(大幅改良)」、そして小規模に仕様変更を実施する「商品改良(一部改良)」と商品価値を高めるためにさまざまな手法が存在します。

 そうしたなか、特にフルモデルチェンジの場合は、正式発表・発売の数か月も前から先行受注を開始する自動車メーカーが最近では比較的多く見受けられます。

 例えば、2021年12月8日にトヨタは新型「ノア」と新型「ヴォクシー」のティザーサイトを公開するとともに、同日から先行受注を開始しました。

 いくつかの販売会社によれば初日だけで250台から300台(1社あたり)を受注したといい、多くのユーザーが関心を持っていることが分かります。

 また、12月16日に三菱はフルモデルチェンジした新型「アウトランダーPHEV」を同日に発売したことを発表しましたが、すでに10月28日から先行受注を開始していると説明。

 さらに受注開始から発売日までの約1か月半で6915台(販売目標の7倍)を受注したことも明らかにしています。

 同様にマツダも12月16日に商品改良をおこなった新型「ロードスター」を2022年1月中旬に発売するとし、同16日より先行受注を開始しました。

 このように最近の国内新車市場では、正式発表や発売に先駆けて受注する動きが定番化しつつあります。

 なぜこのような販売戦略をおこなうようになったのでしょうか。国産メーカー各社ならび販売店では次のように話しています。

「これまで発表・発売以降に受注(オーダー)するという流れが一般的でしたが、この場合だと初期の生産台数をどれほど計画すればいいかの目処が立ちづらい傾向にあります。

 そのため、発表・発売前に先行受注をおこなうことで、ある程度の生産台数の見通しを立てることが可能となるため、先行受注を取る動きになっています」(国産メーカー担当者)

 一方で、既存ユーザーの確保という戦略もあると、国産メーカー販売会社の担当者は説明します。

「フルモデルチェンジやマイナーチェンジなどの場合、既存オーナー様へ乗り換えを提案することもあります。

 そうした場合、少しでも早く欲しいというお客さまへの対応として先行受注という方式を取ることがありました。

 最近では、それが新規のお客さまの確保という意味合いも強くなり、今のようになっているようです」

 また前出とは別の国産メーカー担当者は宣伝としての観点から次のように話しています。

「基本的に発表・発売前の1か月くらい前から先行受注を開始しており、発表のタイミングなどで『受注1か月で販売目標台数の○倍』とアピール出来るとそのクルマが人気という宣伝にもなります」

■先行受注が定番化するイマ、正式発表の意味とは

 このように先行受注が定番化するなかで、その後に控える正式発表や発売をおこなう意味はあるのでしょうか。

 前出の国産メーカー担当者は次のように話しています。

「クルマを販売するには、メーカー、販売会社(販売店)がそれぞれそのクルマをアピールするために準備が必要です。

 その準備を終えるゴールとして正式発表日を設けており先行受注はあくまでもその準備のひとつといえます。

 また、先行受注はあくまで公にやることは少ないため、ユーザーに対して明確にお披露目する場として『正式発表』というものを設けています。

 最近では多くなったティザー告知(画像や動画)もそのひとつで、正式発表に向けて盛り上げるためにそれらをおこなっています」

月販目標の7倍を受注した三菱「アウトランダーPHEV」月販目標の7倍を受注した三菱「アウトランダーPHEV」

 では、正式発表に先駆けてデザインやビジュアルを公開する意味はあるのでしょうか。

 国産メーカーの宣伝担当者は次のように説明しています。

「正式発表前にどの程度の情報を世に明かすかは、メーカーや車種により異なります。

 ただし、最近ではSNSの普及もあり、海外で先行して発表した情報が国内でも気軽に見られるため、グローバルモデルでは『ワールドプレミア』と称してデザインをお披露目することもあります。

 一方で、顧客向けの先行受注情報がSNSで一般の方へ露出してしまうこともあり、それを見越してティザーを公開することもあるため、それぞれの情報公開には意味があるといえます」

 このように最近の新型車では、先行受注で多くの台数を確保している形となりますが、それによる弊害も出ているようです。

 前出とは別の販売店担当者は、次のように話しています。

「先行受注の場合、実車が見られないことがほとんどです。そのため、実車を見てから検討したいという人は発売日以降に店頭に並んだ実車を見ることになります。

 ただしその場合、先行受注開始から短くても1か月近くの差が存在するため、その分納車時期が延びる傾向にあり、実車を見てから決めたいというお客さまには大変ご迷惑をお掛けしています」

※ ※ ※

 さまざまな事情によりおこなわれる先行受注ですが、ユーザーにとっては実車を見ないで購入(受注)するということになります。

 自動車メーカーにとっては戦略的な手法だとしても、ユーザーとしてはもどかしい状況となるようです。

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