空気抵抗が増えようが関係ない! まるで「神社仏閣」のようなデザインの車3選
くるまのニュース / 2021年12月21日 16時10分
クルマの外観を見れば、そのクルマのキャラクターをある程度知ることができます。なかでも高級セダンは威厳が感じられるデザインであったり、押し出し感の強いデザインを採用するケースが多いでしょう。そこで、昭和の時代に誕生したゴツい外観の高級セダンを、3車種ピックアップして紹介します。
■超絶ゴツいデザインを採用した昭和の高級セダンを振り返る
クルマのデザインは時代によって変化を繰り返していますが、どの時代のクルマでも、外観を見ればある程度はキャラクターが理解できます。
たとえば高性能なスポーツカーは見るからに速そうなフォルムで、女性ユーザーをターゲットとしたクルマはファンシーなデザイン、SUVやクロスカントリー車ならば力強さを表現しています。
そして、高級セダンの場合は大型のボディは必須で、押し出し感が強く威厳のあるフロントフェイスに、各部にメッキパーツを多用するなどが共通項といえるでしょう。
そこで、まるで「神社仏閣」のような荘厳さで、まさに高級車といえる昭和のセダンを、3車種ピックアップして紹介します。
●三菱初代「デボネア」
このデザインのまま1980年代半ばまで販売されたことが驚異的な初代「デボネア」
現在、三菱はセダンをラインナップしていませんが、かつてはさまざまなセグメントのセダンを販売していました。
なかでもユニークなフラッグシップモデルとして知られているのが、1964年に誕生した初代「デボネア」です。
初代デボネアは、1960年代のアメリカ車を想わせるフォルムに「和」のテイストを融合したデザインを採用していましたが、これは、当時GMに所属していたハンス・ブレッツナー氏を三菱が招聘して、デザインのコンサルティングに加わってもらったことで実現しました。
特徴的なフィンタイプの前後フェンダーや、ボンネットとトランク上面が水平な「フラットデッキスタイル」は、まさに1960年代の米国製高級セダンの流行を取り入れたスタイリングで、これにメッキのフロントグリルとフロントバンパー、ヘッドライトベゼルによる荘厳なフロントフェイスが組み合わされていました。
ボディはかなり大きく見えましたが、サイズは全長4670mm×全幅1690mm×全高1465mmと現在の水準ではコンパクトです。
発売当初のエンジンは高い静粛性と滑らかな加速を実現した2リッター直列6気筒OHVを搭載。1970年のマイナーチェンジで、環境対応から新世代の2.6リッター直列4気筒SOHCエンジンに換装されました。
ほかにも1973年のマイナーチェンジでテールランプまわりやサイドマーカーなども手が入れられましたが、それ以外は大きな変更はおこなわれず、1964年当時の基本設計のまま1986年までの22年間も生産が続けられました。
1960年代のデザインをまとうデボネアが昭和の終わり頃まで生き残っていたことから、「走るシーラカンス」と呼ばれたのは有名な話ですが、絶版になった後に旧車ファンやオールディーズなアメリカ車好きから人気となりました。
●トヨタ5代目「クラウン」
先代のアグレッシブなデザインから重厚なデザインへと変貌を遂げた5代目「クラウン」
トヨタは1955年に、初代「トヨペット クラウン」を発売しました。当時、庶民がマイカーを持つのは夢のような時代でしたが、初代クラウンは高級セダンとして開発されました。
その後もトヨタを代表する高級セダンのまま代を重ねましたが、1971年に登場した4代目は、それまでの国産高級車とは一線を画する外観で、全体的に丸みを帯びたアグレッシブなデザインを採用。
4代目クラウンはユニークな外観と先進的な装備を搭載したエポックメイキングなセダンでしたが、デザインは賛否が分かれ、保守的なユーザーからは敬遠されてしまい、販売は極端に低迷してしまいました。
最大のライバルである日産「セドリック/グロリア」を下まわる販売台数となり、後に「クラウン史上最大の失敗」と評されたほどです。
そこで、4代目の発売からわずか3年後の1974年に、異例ともいえる早さでフルモデルチェンジを敢行。
5代目のボディは直線基調のデザインとなり、大型のグリルを配置したフロントフェイスは押し出し感を強調するなど、高級セダンの見本ともいうべきスタイリングに変貌を遂げ、販売台数はクラストップの座に返り咲きました。
メカニズム面は4代目から踏襲されましたが、4ドアピラードハードトップ車が追加されるなど、新たな試みも採用されました。
一方、不遇な存在となってしまった4代目クラウンですが、後に斬新なデザインが評価され、今ではクラシッククラウンのなかでも高い人気を誇っています。
●日産2代目「プレジデント」
雄大なボディに荘厳なフロントフェイスで押し出し感はシリーズ随一の2代目「プレジデント」
昭和の時代、日産の高級セダンといえば前出のセドリックと、プリンス自動車が開発したグロリア(後にセドリックの姉妹車となる)が、パーソナルカーの最高峰に位置していました。
一方、トヨタは1964年に、乗用車で日本初のV型8気筒エンジンを搭載した「クラウンエイト」を発売。法人による需要を考慮した国産ショーファードリブンカーの草分けでした。
そこで日産も1965年に「50型 セドリックスペシャル」の後継車として、初代「プレジデント」を発売してトヨタに対抗しました。
その後1973年に、2代目へとフルモデルチェンジ。全長5280mm×全幅1830mm×全高1480mmと巨大なボディに、大型のメッキグリルとバンパーを配置したフロントフェイスは、他を圧倒するほどの押し出し感を見せていました。
最上級グレードとして設定された「ソブリン」には、最高出力200馬力を発揮する4.4リッターV型8気筒OHVエンジンを搭載。法人向けの公用車やハイヤーに採用され、多くのVIPを後席へ迎えて快適な移動を提供しました。
2代目プレジデントは1990年に生産を終了して「インフィニティ Q45」をベースとした3代目にスイッチされ、さらに2003年には「シーマ」ベースの4代目が登場しましたが、2010年にプレジデントの歴史は幕を下ろしました。
代を重ねるごとにプレジデントは高級セダンとしての質が向上しましたが、2代目のデザインはシリーズでも随一といえる荘厳さを誇っていたといえるでしょう。
※ ※ ※
日産は今もシーマを販売しており、トヨタは2018年に21年ぶりのフルモデルチェンジを果たした「センチュリー」と、レクサス「LS」など、高級セダンをラインナップしています。
現在、ニーズの変化からセダンの人気は低迷していますが、高級セダンは一定の需要があり、今後も生き残るでしょう。
また、EVと高級車は静粛なパワーユニットという点から親和性が高く、すでにメルセデス・ベンツなどが展開しており、将来的には国産高級車もEVにスイッチすると予想されます。
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