17年ぶり刷新も「なぜ4ナンバー化?」 新型「アトレー」乗用から貨物区分を選択した理由とは
くるまのニュース / 2021年12月25日 10時10分
ダイハツは、新型「アトレー」を17年ぶりにフルモデルチェンジして発売しました。先代までは乗用登録でしたが、新型では貨物登録となる4ナンバー化されています。なぜ、あえて4ナンバーになったのでしょうか。
■新型アトレーなぜ4ナンバー化? 軽乗用ではなくなった訳とは
軽ワンボックスのダイハツ「アトレー」が17年ぶりにフルモデルチェンジしました。
驚いたことのひとつが、ナンバーの区分変更です。これまで5ナンバーとして軽乗用車登録だったアトレーですが、新型は4ナンバーの軽貨物車(商用車)登録となりました。
どうして新型アトレーは軽貨物車登録の道を選んだのでしょうか。
軽貨物車とは、荷物の運搬を目的とする軽自動車のこと。
その条件としては、荷物を出し入れする開口部の面積(縦600mm×横800mm以上)や、荷室床面のサイズ(0.6平方メートル以上で後席よりも広いこと)といった基準をクリアする必要があります。
一方で、毎年の税金が軽乗用車(1万800円)の半額以下となる5000円で収まるなどのメリットがあります。
後席に人が快適に座ることを考えた場合は、軽貨物ではなく軽乗用車のほうが理想なのはいうまでもありません。
今回の4ナンバー化に関して、ダイハツの関係者に尋ねたところ、次のような答えが返ってきました。
「それは、シート格納時の後席の床をフラットにするためです。
いま、アトレーは2人乗車までのニーズがほとんどです。
そして、以前よりも後席を畳んだ際のフラットな床を求める声が増えているのです。
先代アトレーは厚みのあるシートを備えていたこともあり、後席を畳んでも床とは5センチほどの段差が生じました。
しかし、『車中泊や長尺物積載など趣味で使うからフラットのほうがいい』という声が以前よりも増えています。
そこで新型はフラットな床となる設計としたのです」
低い床をキープしつつシート格納時にフラットな床面とするには、リアシートの座面や背もたれを薄くし、スライド機能なども省く必要があります。
それを盛り込むと、軽貨物車としての登録になるというわけです。
もし従来通りのシートのまま格納時の床をフラットにすると床面が高い設計となります。
しかしそれは「アトレーとしては本意ではない」と判断したという背景もあるようです。
もちろん5ナンバーのままでも簡素なシートの仕様とすることもできます。
しかし、それでは5ナンバー登録のメリットがなく、税制面などでメリットある4ナンバー仕様へ変更するのが合理的という判断なのです。
もちろん、4ナンバー仕様とはいえ装備はこれまでの5ナンバー時代よりも充実。
内外装の仕立ては“本物の商用モデル”である「ハイゼット カーゴ」に比べると上級テイストでまとめられていて、キーフリーシステムは全車採用。
上級グレードの「RS」にはACCや両側パワースライドドアまで標準採用するなど装備レベルは従来モデルを凌ぐ水準となりました。
4ナンバー化された新型アトレーは、後席の居心地を割り切るかわりに、荷室をより有効活用できるようになったといえるでしょう。
そんな変化の背景にあるのは、前回17年前のフルモデルチェンジには考えられなかったスーパーハイトワゴンの躍進。
2003年にデビューしたダイハツ「タント」が後席を重視するユーザーの間で定番となりました。
その経緯によりダイハツは「快適に4人乗車するなら『タント』。2名乗車までがメインで荷室を有効活用するなら『アトレー』」と軽自動車の役割を再定義したようです。
それに従って新型アトレーのリアシート構造に大きな変化が生まれ、結果としてアトレーが4ナンバー化されたというわけです。
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