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ブリヂストンの最新スタッドレス「ブリザックVRX3」はドライや雪路面でどう? 実際に走ってみた

くるまのニュース / 2021年12月30日 17時10分

今シーズンに登場したブリヂストンの最新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX3(ブリザックVRX3)」。先代のブリザックVRX2と比較して氷上ブレーキ性能が20%も向上したのが話題ですが、その他ドライ性能やスノー性能はどうなのでしょうか。モータージャーナリストこもだきよし氏のレポートです。

■ドライ路面でも快適な乗り心地とスムーズなドライビングを両立

 ブリヂストンの最新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」は、氷上ブレーキ性能が先代比でなんと20%も向上しています。そのアイス性能が素晴らしいことは、すでにスケートリンクでの試乗で確認しました。

 しかしこれまでの筆者の長い経験では、アイス性能が良い冬タイヤは、ドライ性能があまり期待できないことが多かったのです。これは東京や大阪など、1年を通してほとんどが雪が降らない非降雪地域に住むドライバーは大きな問題になります。

 さらに北海道や東北など降雪地域でも、最近では温暖化の影響や除雪の効率化などで、高速道路などでは冬でも完全にドライ路面の場所も増えてきています。

 ブリザックVRX3の総合性能を判断するためには、氷上だけでなく雪や氷のない一般道でも試乗してみたいと思っていました。そして今回、北海道の新千歳空港近隣で試乗することができました。

 まずはブリザックVRX3を装着したトヨタ「クラウン」で試走します。タイヤサイズは215/55R17 94Qで、空気圧は240kPaでした。

 最初に感じたのは、走行音が静かだということ。もともとクラウンの室内は静かなのですが、そこにタイヤノイズが入り込んでこないため快適です。冬用タイヤはトレッドゴムもソフトなので、「ゴー」という低音のロードノイズは発生しにくいのですが、トレッドパターンが細かく刻まれているので、高音域の「シャー」というパターンノイズは出て当然発生します。それでも、車内は非常に静かでした。

 スノータイヤが出始めた40年から50年くらい前は、音が静かなスノータイヤは雪道の性能は低い、などといわれていましたが、コンピュータによるトレッドパターンの解析、シミュレーションが進んだ現代では、そうした考え方は過去の話になりました。

ブリヂストンの新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」を履いたトヨタ「クラウン」でドライ路面を走行ブリヂストンの新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」を履いたトヨタ「クラウン」でドライ路面を走行

 ブリザックVRX3を履いたクラウンの乗り心地は、路面の凹凸を通過したときの当たりもソフトで、上下の揺れも少なく、クラウンらしい快適さでした。

 ハンドリング性能についても文句はありません。これは「スタッドレスタイヤにしては」という言い訳をしなくても済むほどのドライ性能でした。

 腰砕けしないグリップ感によって、加速、カーブ、減速という動きの中で、ドライバーの意志とおりにとてもスムーズに走ることができました。

ハンドル応答性もクセがなく、応答自体のゲインが適度で、応答遅れも感じずに、微小舵からなかなか素直な反応でした。

■スノー路面でも穏やかでコントロールしやすい

 次にトヨタ「ヴェルファイア」に乗りました。タイヤサイズは225/60R17 99Qでした。

 最近では室内が広く、アイポイントが高い位置のSUVやミニバンの需要が多いため、スタッドレスタイヤも重量級のクルマも想定して開発しなければなりません。

ブリヂストンの新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」を履いたトヨタ「ヴェルファイア」でドライ路面を走行ブリヂストンの新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」を履いたトヨタ「ヴェルファイア」でドライ路面を走行

 ヴェルファイアの試乗インプレッションも良好でした。ハンドル応答性はややダル(鈍目)ですが、クセのないハンドリングで安定性が高く、常に安心感がありました。大勢の人数を乗せるミニバンですから、これは大事なことです。

 コンパクトサイズも乗りました。VW「ポロ」で、タイヤサイズは185/65R15 88Qです。

 ポロはボディもサスペンションもしっかりしているため、ハンドルを通じて路面状態もわかりやすいのが良かったです。適度なシャープさのハンドル応答性は速い操舵でも遅れなく気持ちの良いドライビングが体験できます。

 ブリザックVRX3は、楕円形の断面形状を持つ「フレキシブル発泡ゴム」を採用した新しいトレッドコンパウンドによって、先代ブリザックVRX2比で20%向上という優れたアイスブレーキ性能を達成していますが、そのアイス性能に加えて、ドライのハンドリング性能や乗り心地も高いレベルに持っていくというチューニング作業は、きっと大変だったと思います。

 乗り心地を優先するならば、サイドウオールの剛性を落とせばいいのですが、そうするとグリップのしっかり感やハンドリング性能が悪くなってしまいます。乗り心地を犠牲にしないギリギリのところで、ハンドリング性能を高めようとした開発者の努力が実を結んでいると感じました。

※ ※ ※

 12月中旬に開催された今回の試走会では、千歳周辺にはまだ雪が降っていなかった(その3日後には大雪が降ったそう)のですが、新千歳モーターランドのクローズドコースに人工降雪機を使って圧雪路面を作り、ブリザックVRX3のスノー性能も試すことができました。

 これは1周650mほどのコースですが、ここではホンダ「フィット」、トヨタ「プリウス」、メルセデス・ベンツ「E200」、スバル「レヴォーグ」と、用意された多彩な車種に次々に乗ってみました。これらのクルマはすべて4WDということもあり、走る、曲がる、止まるに不足はありませんでした。

 Eクラスやレヴォーグは、VSCをカットし、アクセルオンでタイヤの限界を超えてリアタイヤが滑り出す状態を作っても、その滑り方は穏やかでコントロールしやすいものでした。

 結論をいえば、ブリザックVRX3は氷の路面だけではなく、雪やドライ路面を制覇したスタッドレスタイヤの傑作といえるでしょう。

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