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なぜ? 日産が新型「エクストレイル」発売後に旧型を発表 他車種と異なる事情とは

くるまのニュース / 2021年12月24日 7時10分

中国日産は新型「4代目エクストレイル」と旧型「3代目エクストレイル」を併売しています。中国では新旧併売は珍しくないようですが、エクストレイルに関しては他車種と異なっているようです。

■新型エクストレイル発売後にあえて旧型エクストレイルを導入するワケとは

 2021年12月1日、日産の中国における合弁会社の一つ、鄭州(ていしゅう)日産は旧モデルとなる3代目「エクストレイル(T32)」を新たに「エクストレイル オナー」(中国名:奇駿 栄曜)として販売することを発表しました。

 同じ中国では2021年4月に4代目エクストレイル(T33)の販売を開始していますが、なぜ新型モデルを発売した後に旧型モデルを再度投入するのでしょうか。

 4代目は、2020年6月に北米向け「ローグ」の中国版です。

 中国では新旧モデルを併売することはそこまで珍しいことではありませんが、なぜ、エクストレイルも新旧併売の手法を採用したのでしょうか。

 4代目は3代目と同じルノー・日産・三菱アライアンス共用のCMF-C/Dプラットフォームを4代目用に改良されたものだとされています。

 中国仕様のエンジンは新開発KR15DDT型1.5リッター直列3気筒ターボエンジンのみの設定。

 北米向けの新型ローグは2021年モデルまでPR25DD型2.5リッター直立4気筒エンジンがラインナップされていましたが、2022年モデルでは廃止され、中国向けモデルも元々KR15DDT搭載モデルしか設定されていません。

 ボディサイズに関してホイールベースは3代目と同じ2705mm、全長もさほど変わっていません(4641mm→4648mm)が、全幅に関しては3代目が1821mmであったのに対して1839mmと、18mmもワイドなボディとなっています。全高は1699mmと10mm低い数値です。

 満を持して中国市場に投入された4代目ですが、売れ行きは好調ではないようです。

 販売台数を見比べてみると、3代目の販売台数が2020年10月に1万5721台だったのに対し、同じく4代目の2021年10月は2942台。前年同月比で65.62%の減少となっています。

 4代目発売直後の2021年4月は13068台を販売して中国で販売される全SUVのなかで13位に位置していましたが、それも2021年10月は86位に落ち込んでいます。

 なぜ、それほどまでに販売が不調なのでしょうか。

 さまざまな要因があるようですが、もっとも可能性の高い理由はパワートレインの設定です。

 先代モデルはMR20DD型2.0リッター直列4気筒エンジンと、QR25DE型2.5リッター直列4気筒エンジンの2種類が用意されていました。

 もちろん、新エンジンも出力が特段低いというわけではありませんが、「3気筒」であることにネガティブな感情を持つ消費者は少なくないようです。

 また、中国のインターネット上ではちょっとした事件も起こりました。

 4代目に搭載するエンジンは通常のアイドリングが約900回転で保持されるものの、ボンネットを開けると突然約1200回転まで上がることが発見されたのです。

 インターネット上では「回転数を上げることで、ボンネットを開けたときに3気筒特有の振動をわかりにくくするためではないか」とウワサされるようになりました。

 これに対し東風日産は「ボンネットを開閉することでECUがメンテナンス時と判断、バッテリーの補助を行うために回転数を上げている」と釈明しています。

 ですが、このような現象はほかのモデルでは聞かれないものであるとし、この「不自然」な理由は簡単には受け入れられませんでした。

 このようなウワサも広まり、ネガティブなイメージがついたのかもしれません。

※ ※ ※

 加えて、旧モデルの販売継続は日産の中国における合弁会社の特殊な事情も関係していると考えられます。

 日産は鄭州日産のほからにもうひとつ、東風汽車との合弁会社「東風日産」を中国で展開しています。

 規模としては東風日産のほうが比べ物にならないほど大きく、ピックアップトラック「ナバラ(納瓦拉)」と、ナバラがベースのフルサイズSUV「テラ(途達)」以外の日産車はすべて東風日産が製造し、販売しています。

 ちなみに、日産車以外はナバラのプラットフォームを使用したピックアップトラック「鋭騏」を東風汽車向けに鄭州日産が製造しています。

 エクストレイルの製造・販売はずっと東風日産がおこなってきました。

 今回発売された3代目も製造は東風日産がおこないますが、販売は鄭州日産がおこなう形となります。

 現時点で2種類の日産車しか製造・販売していない、風前の灯となりつつある鄭州日産から、人気のある3代目のエクストレイルをあえて販売させることで、鄭州日産を救済したいという思惑があるのかもしれません。

■新旧併売は中国ならではだが…エクストレイルは特殊?

 今回新たに「エクストレイル オナー」として復活した3代目は後ろに「HONOR」のエンブレムがつく以外は、外装はまったく変わっていません。

 ただ、パワートレインは2.5リッターが廃止され、2リッターのみの設定となりました。

 ちなみに販売価格は4代目より劇的に安いというわけではありません。

 東風日産が販売している4代目は18万1900元(邦貨換算:約325万7000円)から26万2900元(約470万4000円)となっています。

 対して、鄭州日産が販売する3代目は18万9300元(約338万9000円)から19万2800元(約345万2000円)と、単に最上級グレードで比較すれば安いですが、ベースグレードは4代目が若干安くなっています。

 中国では新型モデルと並行して旧型モデルの販売をおこなうのは普通のことですが、今回のエクストレイルの件に関しては他と比べ、少し異質です。

鄭州(ていしゅう)日産が発表した「エクストレイル オーナー」(3代目エクストレイルに相当するモデル)鄭州(ていしゅう)日産が発表した「エクストレイル オーナー」(3代目エクストレイルに相当するモデル)

 例えば、トヨタは2018年11月に一汽トヨタ(第一汽車との合弁)の「カローラ」、広汽トヨタ(広州汽車との合弁)の「レビン」をフルモデルチェンジさせましたが、それに先駆け、2018年4月に発表した先代「カロー//レビン」となる「双チン E+(中国市場におけるトヨタのPHEV商標)」モデルも2019年に販売を開始し、現在でも併売しています。

 日産も新型モデルの「シルフィ」を2019年4月に発表する1年前、旧型モデルのシルフィをベースにした「シルフィEV」を発表し、現在まで両モデルの販売をおこなっています。

 また、フォルクスワーゲンに関していえば、上汽フォルクスワーゲン(上海汽車との合弁)は2018年登場の3代目「ラヴィダ(朗逸)」を11万2900元(約202万1500円)から販売していますが、先代モデルを廉価モデルとして9万9900元(約178万9000円)から販売しています。

※ ※ ※

 このように、ほかのモデルを見れば、どれも「新能源車(新エネルギー車)」として生まれ変わらせて併売するか、現行モデルよりも大幅に安い廉価モデルとして併売するかがほとんどです。

 しかし新たに販売が始まった3代目エクストレイルはそのどちらも該当しないため、そういった点ではかなり異質であると考えられます。

 4代目エクストレイルに関して、日産はe-POWERを搭載したモデルの投入をすでに予告しています。

 そのため、現状の3気筒エンジンしか選べない状況は、この新エネルギー車の登場によって確実に変わり、人気もまた復活することになるのではないかと考えられます。

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