なぜホンダ「ステップワゴン」がバイク乗りから支持される? ファミリーカーじゃないミニバンの使い方
くるまのニュース / 2021年12月25日 18時10分
新型が登場間近のホンダ「ステップワゴン」。現行モデルではその傾向が減ったものの、一時はバイクを趣味とする人がホンダ「ステップワゴン」を選んでいたのですが、それはなぜなのでしょうか。
■ミニバン市場がアツい! 2022年に新型車が続々登場!
最近のSUV人気で隠れがちですが、相変わらずミニバンの人気も続いています。
とくにミドルクラスのミニバンは実用性と維持費と広さのバランスが絶妙で、ファミリーユースはもちろん、発想次第では自由にその広さを生かすことができます。
そんななか、ホンダ「ステップワゴン」を選ぶバイク好きが多いというのですが、それはなぜなのでしょうか。
実際、バイクでオフロードを走ることを趣味とする人などがステップワゴンの室内を改造し、「トランスポーター(トランポ)」として活用しているといいます。
2022年春に新型ステップワゴンが登場することがアナウンスされており、さらにはトヨタ「ノア/ヴォクシー」も2022年1月に新型へとフルモデルチェンジします。
ミドルサイズミニバンが注目される今、バイク乗りをも惹きつけるステップワゴンの魅力について検証してみます。
現在のステップワゴンは「フリード」の兄貴分のような立ち位置ですが、ホンダのラージサイズミニバン「オデッセイ」が2021年12月に生産終了することを受けて、今後はより幅広い層にアピールする必要がありそうです。
過去を振り返ると、1990年代後半からはじまったミニバンブームにおいて、当時はキャブオーバー(1BOX)を改良したモデルが多かったなか、乗用車と同じコンポーネンツを活用し「クリエイティブ・ムーバー」の第3弾として1996年に初代ステップワゴンが登場しました。
今ではFFレイアウトとボンネットがあるハコ型ボディは一般的ですが、当時のミニバンとしては少数派だったFFレイアウトを採用したことで低床化をいち早く実現。
さらにバックドアの開口部も広く、スクエアな形状のボディの恩恵もあって、ラゲッジスペース内の出っ張りも小さいのが特徴でした。
ほかのミニバンがファミリーユースを念頭にした展開に対し、ステップワゴンは自由に遊べる雰囲気を演出したのも功を奏してヒットモデルとなったのですが、これに目をつけたのがバイク愛好家です。
しかもナンバーのつかない競技用バイクなどをオフロードで走らせる人がステップワゴンに着目し、バイクを積載して運搬するトランポとして活用するようになりました。
トランポはバイクを積載できるクルマなら何でも構わないのですが、たとえば軽トラの場合は荷台に積めても雨風はしのげません。
トヨタ「ハイエース」を活用する人も多く人気がありますが、価格が高いというのが少々ネックとなります。
また、ほかのミドルサイズミニバンはキャブオーバーのFRベースのため床が高くて積載しにくいという物理的な部分と、ホンダは世界的に二輪メーカーとしても知られており、心理的な側面においてもステップワゴンがバイク好きに刺さるポイントだったのでしょう。
※ ※ ※
2022年春にフルモデルチェンジして登場する6代目では、初代や2代目のようなスクエアなスタイルとなることがわかっています。
カスタム仕様のスパーダは継続採用される予定で、新たに「AIR」という仕様を展開。ガソリン車とハイブリッド車(e:HEV)が用意されるようです。
内装の質感もアップし、クリーンで上質感のある室内を実現。2列目のキャプテンシートにはオットマンが装備され、運転席まわりはボタン式のシフトやメッシュタイプのエアコン吹き出し口など、ホンダの最新デザインが取り入れられます。
■ステップワゴンがバイク乗りに選ばれるのには理由がある
3代目ステップワゴンをバイク用のトランポとして活用しているTさん(40代・男性)に話を聞いてみました。
「自分の趣味であるダートトラック(未舗装のオーバルコースを周回する競技)では、保安部品を取り外した競技用バイクをコースまで運搬する必要があります。そのため軽トラックかミニバンを改良したトランポがあると便利なんです。
競技用バイクがホンダ製ということもあって、ステップワゴンをトランポ仕様にカスタマイズして乗っています」
ホンダ3代目「ステップワゴン」
実際に、2008年にホンダアクセスから「ミニバイクトランスポーターキット」が販売されたこともあり(現在は生産終了)、ホンダとしてもファミリーユース以上の使い方をすでに想定していたということでしょう。
では、なぜステップワゴンが良くて、同じミドルサイズミニバンのトヨタ「ノアヴォク」や日産「セレナ」ではダメなのでしょうか。
「積み込みに関して、床が低くてフラットというのは重要なポイントなんです。またラゲッジスペース内のサスペンション用の出っ張りが小さいほうが積載しやすく、そういった細かい部分で選別していくと、ステップワゴンはトランポとして最適なんです」(Tさん)
またバイクを車内に積載する場合、走行によって動いたり倒れたりしないようにラチェット式のタイダウンベルトでしっかり固定する必要があるのですが、サードシート用フックなどが流用できるのもトランポとしての実力に影響する部分だといいます。
「ただ、いくら車内が広いとはいっても、サードシートを跳ね上げセカンドシートを限界まで前に出したシートアレンジだけでは大型バイクを乗せるのは厳しいです。
そこで私は、7人乗りのセカンドシートの片側(助手席後ろ)を取り外してしまいました。こうすれば若干斜めにバイクを積載でき、大型バイクも積載可能です」(Tさん)
ちなみにシートを取り付けたままの荷室長は最大で1760mm。250ccクラスのオフロードバイクでも全長2.2m前後あるので、やはりセカンドシートを取り外す必要がありそうです。
「高級バイクとして有名なハーレーなんか2.5m前後までありますから。セカンドシートは取り外す必要がありますが、片側だけならバイク未積載の状態でも5人は乗れ、普段使いできます。慣れればリムジン感覚で楽しいです」
一見難しそうに思えるセカンドシートの取り外しですが、実は根本の固定ボルトを外すだけ。バイクを積載しない場合はボルトを締め直せばシートが取り付けられるというかんたんな作業で済むそうです。
「ツーリングでも、とくに帰りの高速道路では楽をしたいのが本音なんです。その点、クルマをトランポにしておけば、景色のいいところまでクルマで移動して、走ると楽しそうな山道やワインディングはバイクで走り、帰りはまたクルマに積んで帰ることができます」(Tさん)
※ ※ ※
ちなみに、ノア/ヴォクシーやセレナを同じようにトランポ仕様にすることも可能ですが、それでもステップワゴンの低床フラットフロアは積み下ろししやすいため、多くのバイク乗りが選ぶのだそうです。
ミニバンは多人数乗車でき、ファミリーユースにも最適なジャンルではありますが、アイデア次第でマルチパーパス(多目的)に使えるジャンルであることが分かりました。
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