なんかスバルっぽくないところがイイ! 異色のスバル車3選
くるまのニュース / 2022年1月4日 6時10分
スバル車に抱くイメージを色濃く反映している現行モデルというと、「XV」「レヴォーグ」「WRX S4」「フォレスター」などが挙げられるのではないでしょうか。しかし、かつてはそうしたモデルとは趣が大きく異なるモデルも存在しました。そこで、異色のスバル車を3車種ピックアップして紹介します。
■スバル車のイメージとは異なるクルマを振り返る
スバルは1972年に、エポックメイキングな4WDバンの「レオーネ エステートバン 4WD」を発売。さらに1975年には「レオーネ セダン 4WD」が登場し、「生活四駆」というジャンルのモデルを世界で初めて確立しました。
そして1989年に「レガシィ」、続いて1992年に「インプレッサ」が誕生すると、高性能な4WDセダン/ステーションワゴンを主力とするメーカーというブランドを確固たるものにしました。
現在、スバルのブランドイメージを「XV」「レヴォーグ」「WRX S4」「フォレスター」などが継承しており、日本のみならずグローバルでもスバルを代表するモデルとして浸透しています。
しかし、過去にはかなり趣が異なるモデルも存在しました。そこで、異色のスバル車を3車種ピックアップして紹介します。
●ブラット
スタイリッシュなデザインのスポーツトラックとして人気となった初代「ブラット」
現在、アメリカのベストセラーカーといえばピックアップトラックです。日本の軽自動車と同じく税金や保険の面で優遇されているという背景があり、商用だけでなく普段使いのクルマとしても、幅広い層から高く支持されています。
このピックアップトラック人気の歴史は古く、スバルのアメリカ法人は1970年代の初頭に、それまでラインナップしていなかった小型ピックアップトラックの開発を本社に打診しました。
そして1977年に、初代レオーネをベースにしたモノコックボディのピックアップトラック、「ブラット」をアメリカで発売。
フロントセクションはレオーネに準じたデザインですが、2人乗りのキャビンから後ろは荷台とした純粋なトラックで、スポーツトラックといえるスタイリングにデザインされていました。
なお、初期モデルは輸入ピックアップトラックに課せられる高額な関税を回避するために、荷台にプラスチック製のシートが2脚装備され、4名乗車の乗用車として輸入したことから車両価格を抑えたといいます。
駆動方式は全グレードが4WDで、エンジンは当初1.6リッター水平対向4気筒のみでしたが、1981年に2代目が登場すると1.8リッターの自然吸気とターボを設定。
最低地上高が高められて優れた悪路走破性を発揮し、スタイリッシュな外観デザインも評価され、アメリカだけでなく欧州やオーストラリア、ニュージーランドなどでも販売されました。
ブラットは日本では販売されませんでしたが、1983年に田宮模型が電動RCカーとして発売したことから、日本でも知名度は高かったのではないでしょうか。
●トラヴィック
走りの性能が高く評価された稀有なミニバンだった「トラヴィック」
スバルの現行国内ラインナップでは3列シート車は販売されていませんが、かつては後述するワンボックスタイプの「ドミンゴ」や、ステーションワゴンタイプの「エクシーガ」を自社生産していました。
それ以外でも、2001年に7人乗りミニバンである「トラヴィック」が発売されました。
トラヴィックは当時GMの傘下だった(現在はステランティス傘下)オペルの「ザフィーラ」のOEM車で、生産はGMのタイ工場でおこなわれました。
外観は精悍なフロントフェイスに、ボンネット前端を低くしてルーフ後端までラインがつながるワンモーションを採用したスポーティな印象で、サイズは全長4315mm×全幅1740mm×全高1630mmと、日本の道路事情にもマッチしたサイズでした。
室内は3列シート車としては十分な広さで、3列目シートを2列目シートの下に格納してフラットな荷室を可能とするなど、優れたユーティリティを実現。
搭載されたエンジンは最高出力147馬力のGM製2.2リッター直列4気筒DOHCで、後に125馬力の1.8リッターエンジンが追加され、全グレードともトランスミッションは4速AT、駆動方式はFFの2WDのみです。
そして、トラヴィックの最大の特徴として、走りの性能が挙げられます。
欧州で鍛えられたサスペンションはフロントがストラット、リアがトーションビームとオーソドックスな形式ながら、スバルはトラヴィック専用に日本の道路に適したセッティングをおこない、乗車人数や荷物の積載量に関わらず、優れた乗り心地と高い操縦安定性、高速域での良好な直進安定性を実現していました。
トラヴィックは高く評価されましたが、強力なライバルが数多く存在する国内のミニバン市場ではヒットするには至らず、2005年に販売を終了しました。
●ドミンゴ
軽1ボックスバンをベースに3列シート化した斬新なモデルだった「ドミンゴ」
1990年代にミニバンが爆発的に普及する以前は、多人数乗車が可能なクルマというと、キャブオーバータイプの1ボックスバンをベースとした3列シートの1ボックスワゴンが主流でした。
1ボックスワゴンは一定の人気を集め、多くのメーカーから販売されていましたが、ベースとなるミドルサイズの1ボックスバンをラインナップしていないメーカーは市場に参入できませんでした。
そんなメーカーのひとつだったスバルは1983年に、軽1ボックスバンの「サンバートライ」をベースとした3列シートの1ボックスワゴン、初代ドミンゴを発売しました。
4人乗りのサンバートライの荷室部分に3列目シートを設置して7人乗りとし、フロント部分のデザインを変えて全長を伸ばし、1リッター直列3気筒SOHCエンジン(後に1.2リッターエンジンを追加)をリアに搭載。
基本的なコンポーネンツはサンバートライと共通とすることで、価格を安価に設定したことからドミンゴはヒットし、1994年には2代目が発売され海外にも輸出されました。
また、2代目では6人乗りのキャンピングカー仕様もつくられるなど、レジャーカーとしても需要がありましたが、衝突安全基準の強化もあって1998年に生産を終了。
ドミンゴが開拓した小型1ボックスワゴン市場には、後にダイハツ「アトレー7」、スズキ「エブリイランディ」、三菱「タウンボックスワイド」など、同様のコンセプトのモデルが参入するなど、一時はバラエティも豊富でした。
※ ※ ※
スバルは2021年に、新型「BRZ」と新型レガシィ アウトバックを発売し、さらに新型WRX S4を発表するなど、意欲作が続々と登場。
さらにフォレスターのビッグマイナーチェンジをおこない、スバルのラインナップは盤石の体制になったといえるでしょう。
2022年はさらなる躍進の年となるのか、スバルから目が離せません。
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