もうすぐロータリーエンジンが復活する!? マツダの異色のロータリーエンジン車3選
くるまのニュース / 2022年1月3日 6時10分
マツダは2012年に「RX-8」の生産を終えて以来、ロータリーエンジン車は途絶えたままです。しかし、近い将来にはロータリーエンジン車が復活すると宣言。そこで、マツダの異色のロータリーエンジン車を、3車種ピックアップして紹介します。
■マツダが誇るロータリーエンジンの珍車を振り返る
マツダは1967年に、世界初の量産ロータリーエンジン搭載車の「コスモスポーツ」を発売しました。まさに世界の自動車史に残る快挙だったのです。
小型で高性能なロータリーエンジンは汎用性も高く、コスモスポーツの誕生以降、マツダはさまざまな車種にロータリーエンジンを搭載する「ロータリー・フルラインナップ化」を進めました。
その後、ロータリーエンジンを搭載する名車も数多く登場しましたが、2012年に「RX-8」の生産終了をもって、現在までロータリーエンジン車はラインナップされていません。
しかし、マツダは近い将来に、ロータリーエンジン車の復活を宣言しました。
そこで、マツダのロータリーエンジン車のなかでも異色のモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●ルーチェ ロータリークーペ
美しいボディかつ唯一無二のFFロータリーエンジン車だった「ルーチェ ロータリークーペ」
前出のコスモスポーツの発売から2年後、1969年に美しいロータリーエンジン車である「ルーチェ ロータリークーペ」が誕生しました。
ボディはマツダ自身が「ハイウェイの貴公子」と標榜したほどスタイリッシュな2ドアクーペで、フロントからボンネット、ルーフ、トランクへとすべてが流れるようなラインが印象的です。
また、丸目4灯のヘッドライトをレイアウトしたフロントフェイスは、斬新かつ精悍な逆スラントノーズを採用していました。
搭載されたエンジンは最高出力126馬力(グロス、以下同様)を発揮する、パワフルな655cc×2ローターの「13A型」ロータリー。後に登場した「13B型」と異なる形式でルーチェ ロータリークーペのためだけに設計されました。
さらにルーチェ ロータリークーペは前輪を駆動するFFで、歴代のロータリーエンジン車のなかでも唯一無二の存在でした。
走行性能は公称最高速度190km/hを誇り、まさにハイウェイの貴公子にふさわしい性能ですが、その分価格も高額で、庶民が購入できるレベルのクルマではありませんでした。
そのため、ルーチェ ロータリークーペは発売からわずか3年後の1972年に生産を終了。現存数も少なく、今では滅多にお目にかかれない幻のクルマといえます。
●パークウェイロータリー26
快挙ともいえるロータリーエンジンを搭載したマイクロバスの「パークウェイロータリー26」
前述にあるとおり、マツダのロータリー・フルラインナップ化によって誕生したクルマは多岐にわたり、そのなかでも稀代の珍車といえるのが、1974年に登場した「パークウェイロータリー26」です。
マツダは1972年に、豪華なマイクロバスを求めるニーズに対応した「パークウェイ26」を発売。
ベースは中型トラックの「タイタン」で、外観は当時としてはモダンなスタイルを採用し、室内も快適なシートを配した26人乗り(13人乗りもあり)で、ソフトな質感の天井トリムを採用するなど、他社のモデルとは差別化を図っていました。
エンジンは最高出力92馬力の2リッターガソリンと、81馬力(グロス)の2.7リッターディーゼルをラインナップし、パークウェイロータリー26ではその名のとおりロータリーエンジンが搭載されました。
このロータリーエンジンは「ルーチェAP グランツーリスモ」と共通の654cc×2ローター「13B型」で、最高出力135馬力を発揮。
ロータリーエンジンならではの静粛性と低振動は好評で、さらに当時の排出ガス規制値を大幅に下まわる優れた環境性能を誇りました。
しかし、ディーゼルエンジンに比べ著しく燃費が悪いことは明白で、法人ユーザーからすると経済性では大きなマイナスポイントであり、販売は低迷。
そのため、パークウェイロータリー26は発売からわずか2年後の1976年に、生産を終了して短命に終わりました。
ロータリー・フルラインナップ化の一貫とはいえ、かなり斬新なマイクロバスだったといえるでしょう。
●ロードペーサー
巨大なボディのラグジュアリーサルーンにロータリーエンジンを搭載した「ロードペーサー」
最後に紹介するのは、同じくマツダのロータリー・フルラインナップ化によって1975年に登場した、異色のセダンである「ロードペーサー」です。
ロードペーサーは、オーストラリアのメーカーであるホールデンの「プレミアー」のボディをベースとした高級セダンで、当時のアメリカ車に通じる重厚なフロントフェイスに、スタイリッシュなボディは日本車と一線を画するものでした。
そして、プレミアーはもともと5リッター超のV型8気筒エンジンを搭載したモデルでしたが、マツダはV型8気筒エンジンから最高出力135馬力を発揮する654cc×2ローター「13B型」ロータリーエンジンに換装。
騒音と振動が少ないロータリーエンジンならではの静粛性による上質な室内空間は好評だったようですが、巨大で重い車体によって、ロータリーエンジンの燃費の悪さに拍車がかかったといいます。
そして、発売からわずか2年後の1977年にロードペーサーは生産を終了。今やパークウェイロータリー26に続く稀代の珍車です。
※ ※ ※
冒頭にあるとおりマツダは2020年11月に、ロータリーエンジン搭載車の復活を正式に発表しました。
しかし、これまでのモデルとは大きく異なり、EVに搭載するレンジエクステンダーとしての復活といわれています。
ロータリーエンジンは低振動ということからレンジエクステンダーの用途にマッチしており、まさに新時代のロータリーエンジンの幕開けを象徴する存在となるでしょう。
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