もはや伝説的な存在!? ハイパフォーマンスカーシリーズの元祖だった車3選
くるまのニュース / 2022年1月5日 6時10分
近年は数少なくなってしまいましたが、これまで各自動車メーカーとも高性能なモデルをラインナップしてきました。さらに、高性能モデルをシリーズ化しているケースもあります。そこで、高性能車シリーズの元祖だったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
■今に続く高性能車シリーズの始まりだったクルマたち
日本の自動車市場では2000年代以降、排出ガス規制の強化やニーズの変化から高性能なスポーツカーが次々と姿を消してしまいました。その後、現行ラインナップでも高性能車は数少ない状態が続いています。
しかし、高性能車の火が消えたわけではありません。
かつて豊富なラインナップだった頃には及びませんが、現在もまだまだスポーティなクルマは存在し、なかにはシリーズ化して今も続いている高性能モデルもあります。
そこで、高性能車シリーズの初代だったクルマを振り返り、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「NSX タイプR」
ストイックに走りを追求したハイパフォーマンスモデルの「NSX タイプR」
ホンダは1990年に、それまでにない斬新なスポーツカーである初代「NSX」を発売しました。
量産車では世界初のオールアルミモノコックシャシを採用し、最高出力280馬力(MT車)を発揮する3リッターV型6気筒DOHC VTECエンジンをリアミッドシップに搭載。優れた走行性能を実現しながら高い実用性を両立した、次世代のスポーツカーとして開発されました。
そして、標準モデルでも十分な走りのポテンシャルがありながら、1992年に、サーキット走行を視野に入れてモディファイされた「NSX タイプR」が登場しました。
NSX タイプRはパーツの材質変更や、遮音材や制振材、快適装備の一部を省くことで120kgもの軽量化を実現し、専用セッティングのサスペンションやレスポンスを高めたエンジンを搭載。
日常走行での快適さよりも極端に走行性能を重視したコンセプトは、量産車とは思えないほどストイックでした。
その後、1995年にタイプR第2弾となる「DC2型 インテグラ タイプR」、1997年には第3弾の「EK9型 シビック タイプR」が発売され、タイプRはシリーズ化して現在に至ります。
なお、歴代のタイプRは、非日常の走りというコンセプトが受け継がれています。
●レクサス「IS F」
大排気量自然吸気エンジンを搭載してサーキット走行にも対応した「IS F」(画像は英国仕様)
トヨタは1989年に、アメリカで高級車ブランド、レクサスを立ち上げました。その後、2005年に日本でもレクサスブランドが展開され、当初のエントリーモデルだったのが4ドアセダンの「IS」です。
そして2007年には、このISを大幅にチューンナップしたハイパフォーマンスモデルの「IS F」が登場。
IS Fの「F(エフ)」は、今ではレクサスの特別な高性能車に与えられるネーミングで、「Fスポーツ」と「F」の単独があり、後者はサーキット走行に対応した最高峰のモデルです。
レクサス初のFモデルとなったIS Fには、フラッグシップの「LS600h」用5リッターV型8気筒自然吸気をベースにチューニングしたエンジンが搭載され、最高出力は423馬力を発揮。
組み合わされるトランスミッションも「LS460」用の8速ATをベースに、1速以外のギアをほぼ全域でロックアップするプログラムによって、DCTにせまるダイレクト感と変速速度を実現しました。
外観ではフェンダーを拡幅したワイドボディとし、V型8気筒エンジンを収めるためにボンネットを膨らませてエンジンルームのスペースを確保。フロントフェイスもIS F専用のデザインとするなど高性能さを主張していました。
その後、2014年に2ドアクーペの「RC F」、2015年にはアッパーミドルクラスセダンの「GS F」が登場し、どちらもラグジュアリーなモデルながらサーキットでのスポーツ走行を可能にしたモデルでした。
●アウディ「RS2アバント」
ポルシェとアウディがタッグを組んで開発した高性能ステーションワゴンの「RS2アバント」
アウディが誇る高性能モデルといえば「RS」シリーズです。現在は「RS3」から「RS7」に「RS Q3」「RS e-tron GT」など、さまざまなセグメント、さまざまなジャンルに存在します。
そんなRSシリーズの始まりだったのが、1994年に登場した「RS2アバント」です。
欧州では今もステーションワゴンが高い人気となっており、各メーカーからさまざまなカテゴリーのモデルがラインナップされています。
RS2アバントはミドルクラスのステーションワゴン「80アバント」をベースに、アウディとポルシェがタッグを組んで開発した高性能モデルです。
エンジンは最高出力315馬力を誇る2.2リッター直列5気筒ターボを搭載し、トランスミッションは6速MTのみ。駆動方式はフルタイム4WDシステム「クワトロ」を採用していました。
外観ではポルシェ「911」をオマージュしたデザインが散りばめられており、ホイールやドアミラーなどは911(964型)と同一の形状のものを採用。
またブレンボ製ブレーキキャリパーには「PORSCHE」のロゴが刻まれるなど、控えめに高性能さをアピールしていました。
RS2アバントはエンジン、シャシ、サスペンション、ブレーキと、トータルでチューンナップされており、それでいて派手すぎない外観をコンセプトとしており、今に至るRSシリーズも同様です。
なお、RS2アバントは日本に正規輸入されず、わずかな台数が並行輸入のかたちで上陸しただけで、日本では激レアなモデルです。
※ ※ ※
今回、紹介した3車種は、明確なコンセプトによって仕立てられたモデルです。さらに、そのコンセプトは脈々と受け継がれ、今ではブランド化しています。
一般的な高性能車でもクルマ好きを惹きつけますが、この3台のように強いこだわりをもって作り込まれたモデルは、より魅力的な存在ではないでしょうか。
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