「くうねるあそぶ」を覚えてる? 日産の新感覚セダン初代「セフィーロ」を振り返る
くるまのニュース / 2022年1月10日 10時10分
現在、SUVがブームとなっており、前輪駆動の都市型モデルやクーペスタイルなど多様化が進んでいますが、1980年代まで遡ってみると、今では少数派となったセダンが大きな存在感を発揮していました。そんな時代に登場した日産のニュージェネレーションセダン、初代「セフィーロ(A31型)」を振り返ります。
■「スカイライン」や「ローレル」とは異なる先進性やスタイリッシュさを強調
日産は1988年に、それまでの「スカイライン」と「ローレル」というミドルクラスセダンの二枚看板に加え、新たに初代「セフィーロ」を発売しましまた。
日産がメインターゲット層にしたのは30代前半。「33歳のセダン」というキャッチフレーズで、カッコいい大人に憧れた若者を中心に訴求されました。
ちなみに初代セフィーロが発売された1988年は、バブルによる好景気で経済が大きく拡大した頃で、青函トンネルが開通したり、東京ドームが完成。巷ではカラオケボックスが人気となり、ファミコン用RPG『ドラゴンクエスト(現スクエア・エニックス)』の3作目が発売され“ドラクエ”が社会現象に。
初代セフィーロはスカイラインやローレルとは異なり、先進性やスタイリッシュさを打ち出したモデルでした。
登場時は「くうねるあそぶ。」という糸井重里氏によるキャッチコピーや、ミュージシャンの井上陽水氏が出演したTVCMが大いに話題を呼びました。
スカイラインのBピラー付き4ドアハードトップ、ローレルのBピラーレスハードトップとは異なり、初代セフィーロはオーソドックスな4ドアセダンのボディを採用。
一方、最新式のプロジェクターヘッドライトやコンパクトなフロントグリルを採用したシャープなフロントマスクと、スマートにまとめられたリアコンビネーションランプ、そしてAピラーとCピラーを寝かせることで伸びやかなラインを創出したサイドビューにより、クラシックとモダンを見事に融合させたものでした。
また、インテリアのテーマは「くつろぎを感じさせる温かみのある室内」で、インパネやドアトリムなどは滑らかな曲線を多用し、身体にフィットしやすい一体成形によるエルゴノミックシートの採用も特色として挙げられます。
搭載されたエンジンは、3種類の2リッター直列6気筒エンジンが設定されました。
「タウンライド」グレードには125馬力を発揮するSOHCユニット「RB20E型」、「ツーリング」グレードには155馬力のDOHCユニット「RB20DE型」、そして「クルージング」グレードには最高出力205馬力を誇るインタークーラー付きDOHCターボ「RB20DET型」を搭載。トランスミッションは5速MTと4速ATから選択できました(ツーリングは4速ATのみ)。
サスペンション形式はフロントがストラット、リアがマルチリンクで、3機種のエンジンにそれぞれ「標準」のほか、スーパーソニックサスペンションと電子制御パワーステアリングを組み合わせた「DUET-SS」、四輪操舵システムの「HICAS-II」の3タイプからサスペンションを組み合わせることができました。
グレード名には、DUET-SS搭載車にコンフォート、HICAS-II搭載車にスポーツの名が添えられ、例えばコンフォートツーリングやスポーツクルージングなど、エンジンとサスペンションの組み合わせだけで9種類から選択可能でした。
さらに初代セフィーロでは、複数設定されたエンジンやトランスミッション、サスペンション、ボディカラー、内装の素材やカラーが、好きなようにカスタマイズして購入できる「セフィーロ・コーディネーション」という画期的なセミオーダーメイド方式を採用。
合計810通りの組み合わせから好みの1台を作り上げることができ、これも登場時のインパクトを高めることとなり、スカイラインやローレルにはない新しい価値を創出しました。
※ ※ ※
初代セフィーロは1988年から1994年までのおよそ6年間にわたって販売されました。その間、1990年8月のマイナーチェンジでは4WD仕様が設定されたり、1992年5月のマイナーチェンジでは、RB25DE型2.5リッターエンジン搭載車や5速AT仕様が追加されるなどの改良が実施されました。
一方、セフィーロ・コーディネーションは1990年のマイナーチェンジで廃止されてしまいました。
そして1994年8月の2代目の登場を機に販売を終了。2代目は「マキシマ」との統合により前輪駆動モデルに変更され、後輪駆動は初代が最初で最後となりました。
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