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東京民はなぜ「冬タイヤ」未装着多い? 「雪国マウント」も相次ぐ! 大雪でも装着率低い都市部の事情とは

くるまのニュース / 2022年1月12日 9時10分

2022年1月6日、東京をはじめとする首都圏に約10cmの積雪があり、クルマによる事故や立ち往生が相次ぎました。スタッドレスタイヤを装着していれば問題ないはずのレベルの雪ですが、なぜこれほど大混乱してしまうのでしょうか。

■スタッドレス装着率24%なら当然?積雪10cmで大混乱の東京

 2022年1月6日、昼ごろから降り始めた雪は夕方になるにつれて本格化し、18時ころまでには東京都心部で10cmの積雪が確認されました。
 
 これにより、クルマによる事故や立ち往生が相次ぎましたが、スタッドレスタイヤを装着していれば問題ないはずのレベルの雪です。
 
 なぜこれほど大混乱になったのでしょうか。

 今回、東京での降雪は2018年1月22日以来およそ4年ぶりの水準の大雪です。
 
 2022年1月6日夜には降雪はおさまりましたが、翌日以降も気温の低下が続いたことで、日陰の路面などでは1月10日ころまで凍結状態が続いていたようです。

 この大雪で首都圏の交通網は大きく影響を受けました。クルマに関するものだけでも、1月6日から1月7日にかけて少なくとも70件以上の交通人身事故が発生したといい、翌日以降も含めればその数はさらに多くなります。

 また、首都高をはじめとする都内各所で立ち往生が起こり、直接的・間接的に影響を受けたユーザーは多いと見られます。

 1月から2月にかけて、積雪による首都圏の交通網に混乱が生じることはめずらしくありません。

 そのほとんどは10cm未満の積雪であり、豪雪地帯のユーザーからは「たった数cmの雪でこんなに混乱するなんて」という声も聞かれ、そうした様子を表した「雪国マウント」という言葉も生まれています。

 しかし、毎年のように積雪による交通網の混乱が起こるのであれば、相応の準備や対応をすればよいと考えるのが普通です。

 実際に、日常的に降雪がある地域を走るクルマは、当然のことながら、スタッドレスタイヤ(冬タイヤ)を着用し、各種用品や駐車場なども降雪や寒冷地での使用を前提としたものとなっています。

 一方、NEXCO東日本が2020年に調査した「冬用タイヤ装着状況調査」によると、冬用タイヤの装着率は全車種平均(小型車と大型車の合算)で53.6%でしたが、首都圏での小型車(一般車両)に限ってみれば、装着率はわずか23.8%でした。

 つまり、首都圏を走る一般車のおよそ4台に3台がノーマルタイヤだったことになります。

 1月6日の天気予報を見て、事前にスタッドレスタイヤへと交換したユーザーも多少いるかもしれませんが、今回の大雪に起因する事故を起こしたクルマのほとんどはノーマルタイヤだった可能性が高そうです。

 積雪路面や凍結路面をノーマルタイヤで走行することは非常に危険であり、雪国の人からすれば言語道断といえるかもしれません。

■東京は本当に「大混乱」だった?

 ただ、東京のユーザーがスタッドレスタイヤを装着しない背景には、さまざまな事情があるようです。

 まず、そもそも東京は積雪することが少ないという点が挙げられます。

 気象庁が集計した過去30年のデータを見ると、1cm未満の積雪は1年に1回程度、3cm未満は2年に1回程度。

 5cm未満は3年に1回程度、10cm未満は10年に1回程度という割合です。

 また、東京は全国的に見てもっとも自家用車通勤が少ない地域であり、2010年時点の国勢調査の結果によると、東京で自家用車通勤をしているのはわずか9.6%となっています。

 つまり、日常的にクルマを使用しているユーザーが少なく、雪が積もることも年に1回となると、少なくとも数万円は必要なスタッドレスタイヤを購入するメリットを感じにくいというのが実際のところなのかもしれません。

 さらにいえば、土地の限られている東京では、タイヤの保管場所にも苦労する点も、スタッドレスタイヤの購入を敬遠する要素となっていると見られます。

 また、実際にはそれほど多くの交通事故は発生していないという見方もできます。

 警視庁の発表によると、2021年1月には2095件の交通事故が発生したとされ、1日あたりの平均値は約68件となります。

 前述のとおり、1月6日から7日にかけての交通人身事故が少なくとも70件であることから、交通人身事故の件数自体は爆発的に増えているともいい難いといえます。

「東京が大雪で大混乱」という各マスメディアの報道から、東京のユーザーの多くが積雪路面や凍結路面でもノーマルタイヤで走行しているような印象を受けたかもしれません。

 しかし、これらのデータを見る限り、東京のユーザーの多くは交通事故の危険を事前に察知し、スタッドレスタイヤを装着するか、あるいはクルマの利用を避けていたと推測されます。

 もちろん、雪に起因する人身事故が起きていることは事実なうえ、物損事故も含めればさらに多くの事故が発生していると考えられるため、大雪の影響は少なからずあったといえます。

さまざまな人達のおかげで交通インフラは保たれているさまざまな人達のおかげで交通インフラは保たれている

 クルマ以外の交通手段が豊富な東京では、雪が降った際には別の交通手段に切り替えるという選択肢があります。

 また、リモートワークが浸透しつつある昨今では、そもそも出社をしないという選択肢もあるかもしれません。

 もちろん、スタッドレスタイヤを装着しておくことがベストですが、臨機応変な対応で危険を回避できるのも東京ならではといえそうです。

※ ※ ※

 数年に1度レベルという10cmの積雪で「大混乱」したとされる東京ですが、実際のところ、翌日には都内の主要幹線道路の多くは積雪が解消されたほか、鉄道などの公共交通機関もほぼ通常稼働となりました。

 そういった意味では、東京は決して雪に弱くはないといえそうですが、首都機能を損なうことなくいられたその背景には、夜通し道路や線路の整備をおこなった人達がいたことを忘れてはいけません。

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