初代の完成度がめちゃくちゃ高い! 昭和にデビューした秀逸なデザインの車3選
くるまのニュース / 2022年1月25日 6時10分
クルマの外観デザインは、その時代の流行やニーズによって変化しています。何代にもわたってモデルチェンジが繰り返されたクルマでは、そんな変化がよくわかります。そして、なかには初代ですでにデザインの完成度が高かったモデルも存在。そこで、昭和の時代にデビューした秀逸なデザインのクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
■昭和デザインの凄さがわかる初代! 秀逸な外観だったクルマを振り返る
クルマを選ぶ際に、多くの人は外観デザインに惹かれて購入に至るのではないでしょうか。それほどクルマのデザインは重要なのです。
また、クルマのデザインは時代によって変化しており、その時の流行であったり、世相やニーズがデザインに反映されていたりします。
なかでも何代にもわたって販売されたクルマでは、フルモデルチェンジで大きく変わるケースもあり、デザインの変遷がよくわかります。
そこで、1960年代から1970年代に誕生し、初代の時点でデザインの完成度が高かったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「シルビア」
まだマイカーを持つことが簡単ではない時代に誕生したスペシャリティカーの初代「シルビア」
日産「シルビア」というと「S13型」から「S15型」に代表されるFRスポーツカーというイメージが先行しますが、初代は高級なスペシャルティカーとして誕生しました。
初代シルビアは1964年の東京モーターショーにダットサン「クーペ1500」という名で展示され、その後1965年に市販化されました。
車名はギリシャ神話の美しい女神である「シルビア」に由来し、その名にふさわしい流麗なスタイリングとなっていました。
シャシは「フェアレディZ」の前身であるオープン2シータースポーツカー「フェアレディ(SP311型)」をベースに、スタイリッシュな2ドアクーペボディを架装。エンジンもフェアレディから流用され、最高出力90馬力(グロス、以下同様)を発揮するSUツインキャブの1.6リッター直列4気筒OHV「R型」が搭載されました。
外観は開口部以外に継ぎ目をつくらないことにこだわり、フロントフェンダーなどもボディと一体となった美しいノッチバッククーペのフォルムを実現。逆スラントノーズのフロントフェイスも斬新でした。
室内は2シーターでレザーシートに5連メーター、ウッドステアリングなどが採用され、当時としては浮世離れした高級スポーツカーをイメージしていました。
また、フロントディスクブレーキや、トランスミッションにシンクロメッシュを採用するなど、最新技術も取り入れられていました。
初代シルビアは生産工程の多くがハンドメイドだったことから大量生産できず、1968年6月までの約3年間の生産台数はわずか554台でした。
そもそも価格も高額で、高級セダンの「セドリック」を上回る120万円に設定され、同時期に発売された初代「サニー」の3倍ほどと、庶民には夢すらも超越した存在だったといえるでしょう。
●トヨタ「セリカ」
スポーティなデザインとエンジンによって若者を中心に人気となった初代「セリカ」
前出のシルビアは超高級なスペシャリティカーでしたが、1970年に登場したトヨタ初代「セリカ」は、ぐっと価格を抑え、若い世代に向けたスペシャリティカーとして開発されました。
ボディは当初2ドアハードトップクーペのみで、後に「リフトバック」と呼称された3ドアハッチバックが追加されます。
シャープなデザインのフロントフェイスに対して、曲面を多用した抑揚のあるボディラインと小ぶりなキャビンによって美しいシルエットが特徴的でした。
エンジンは1.4リッター、1.6リッター、1.6リッターツインキャブの3タイプの直列4気筒OHVに加え、トップモデルの「GT」には、新開発の1.6リッター直列4気筒DOHC「2T-G型」を搭載。最高出力は115馬力を誇り、後に初代「カローラレビン/スプリンタートレノ」にも搭載されました。
また、初代セリカは「フルチョイス・システム」という、量産車としては画期的なセミオーダープランを展開。
具体的には4種類の外装、4種類のエンジン、3種類のトランスミッション、9種類の内装が用意され、ユーザーが好みの1台に仕立てることができる(GTはDOHCエンジンと5速MT、内外装ともに仕様は固定)システムが構築されていました。
ちなみに、オーダー時の選択によって価格は57万円から約100万円まで幅があり、塗装や各種オプション品を合わせると選択肢は数百万通りにもおよび、オーダーから最短で8日、平均10日から11日で納車が可能だったといいます。
フルチョイス・システムは斬新な販売方法でしたが、実際に注文される仕様はある程度限定されたようで、モデルライフの途中で廃止されてしまいました。
●スズキ「ジムニー」
優れた「道具」としてすべてが機能的にデザインされていた初代「ジムニー」
現在、軽自動車のなかで唯一無二のクロスカントリー4WD車であるスズキ「ジムニー」は、1970年に初代が誕生しました。
車体は堅牢なラダーフレームにボディを架装する構造を採用し、すでに三菱「ジープ」やトヨタ「ランドクルーザー」、日産「パトロール」などによって構築された本格的なクロカン車のメカニズムやデザインを、軽自動車規格に収めるかたちで開発されました。
当初、乗車定員は3名、最大積載量250kg(2名乗車時)の商用車登録で、キャビンはソフトトップのオープンモデルのみでしたが、後のマイナーチェンジでメタルトップのバンが追加され、超小型でスクエアなフォルムは機能的でした。
エンジンは同社の軽トラック「キャリイ」のものをベースとした、最高出力25馬力の空冷360cc2サイクル2気筒を搭載。
出力はわずかですが、2サイクルエンジンならではの粘り強い低速トルクと、車重600kgと軽量な車体だったため、街中や山道を走るには十分なパワーでした。
トランスミッションは4速MTのみで、駆動方式は副変速機付きのトランスファーを搭載したパートタイム4WDを採用。
サスペンションは耐久性の高いリーフスプリングによる前後リジッドアクスルで、ロングストロークを実現し、16インチの大径ラグタイヤ(悪路用タイヤ)の組み合わせで悪路走行に特化した仕様となっていました。
さらに、初代ジムニーはオプションで「パワーテイクオフ(PTO)」が設定され、エンジンのパワーを外部に取り出すことができ、ウインチや排水ポンプといった機械も動かせるなど、道具という面でも優れていました。
初代ジムニーの優れたコンセプトは代々受け継がれ、現行モデルの4代目にも息づいています。
※ ※ ※
最後に紹介したジムニーですが、4代目は初代のデザインをオマージュし、クラシカルな印象があります。
このデザインが大いに注目され、スズキによるとこれまで少なかった女性ユーザーが一気に増えたそうです。
ジムニーは軽自動車ですが、つくりは本格的で、軽自動車という枠を超えた存在であり、そうしたことも幅広い人気を獲得した理由ではないでしょうか。
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