スバル「レヴォーグ」なら雪上だって大丈夫! 雪道もオンロードも両方イケる最新ワゴンがスゴすぎた!
くるまのニュース / 2022年1月27日 19時40分
スバル「レヴォーグ」は「レガシィツーリングワゴン」のDNAを受け継ぐスポーツワゴンです。オンロードでの走りの良さは折り紙付きですが、雪上ではどうなのでしょうか。雪国へ向かい、その実力を試してみました。
■スポーツワゴン「レヴォーグ」って雪上での走りはどうなの?
これまで何度もスバルのステーションワゴン「レヴォーグ」に試乗してきましたが、今回は雪道で試してみます。
それも整えられたテストコースやクローズドコースではなくリアルワールドのロングツーリングで、「非積雪地域の人が雪道に出かけたら?」というイメージです。
ちなみに筆者(山本シンヤ)は静岡県在住で雪がほとんど降らない地域に住んでいます。
そのため、生活する上でAWDはマストではありませんが、趣味のスキーに行くために活用しています。
普通の人であれば人気のクロスオーバーSUVをおススメしますが、自分はさまざまな制約があるのでそうはいかず。
ひとつは自宅の駐車場の事情により全高に制約(1550mm以下)があることと、もうひとつはクロスオーバーSUVの進化はよく理解しているものの、「スポーツ走行も楽しみたい」という“走り”の部分です。
それを叶えるのは、運動性能とユーティリティを両立させるステーションワゴンです。
最近は減少傾向なのも事実ですが、その代表といえばレヴォーグでしょう。
レヴォーグは、元祖「走れるワゴン」である「レガシィツーリングワゴン」の血統を受け継ぎ、スバルの柱のひとつとなる「走り」を強くアピールしたモデルです。
初代モデルは2014年に登場。そして2020年に2代目モデルへとフルモデルチェンジしました。
今回の試乗車は1.8リッターターボ(CB18)搭載の最上級グレード「STIスポーツEX」にスタッドレスタイヤを装着。
レヴォーグの純正タイヤはヨコハマ・ブルーアースGTなので、スタッドレスタイヤは銘柄を合わせて、最新の「ヨコハマ・アイスガード7(IG7)」をセレクトしました。
自宅から目的地となる志賀高原(長野県)まで約320kmの距離を走行し、ドライ路面と雪道でレヴォーグの実力を試してみます。
高速道路はほぼ舗装路面でしたが、レヴォーグのレベルアップした基本性能の高さはいうまでもなく、プロドライバーがアシストしているような制御の「アイサイトX」のタッグはホントに鉄壁です。
とくに、アイサイトXの機能のひとつとなる「レーンチェンジアシスト」は、ウインカーを操作するだけでクルマが車線変更をおこなってくれるものですが、使う前は「ホントに必要?」と思ったものの、一度使うと便利で手放せなくなるアイテムです。
また、長年スバル車の課題のひとつだったシートは全面的に見直され、ホールド性の高い形状に加えて、柔らかいのにコシのあるクッションや面で支える構造なども相まって、スバル車最良の掛け心地。まさに疲れ知らずです。
一方で、メーカーオプションのナビゲーションにも関わらずプレミアムオーディオの設定がないのは残念なところです。3代目から5代目レガシィには「マッキントッシュ」が奢られていたのに、レヴォーグにも設定されることを期待します。
※ ※ ※
ちなみにアイスガード7のオンロード性能も非常に高く、急な操作さえおこなわなければスタッドレスタイヤとは感じないような走りを実現しています。
しいていえば、若干手ごたえの軽さやダンピングの収まりの悪さは出ますが、そんなときはレヴォーグ STIスポーツEXに備わっている「ドライブモードセレクト」のステアリング/サスペンションの設定を「スポーツ」にするとほぼ解消されます。
■どんな状況でも安定感のある走りを実現
高速道路のインターチェンジを降りてからは山坂道を進みますが、気温がグングン下がり圧雪とアイスバーンが混在する路面に変化していきます。
普通のクルマだったら「ちょっと心配」、「大丈夫かな?」と感じるシーンですが、レヴォーグだとなぜか「絶対に大丈夫!」と感じられる“何か”があるのです。
スバル「レヴォーグ STIスポーツ EX」
レヴォーグはAWDによる絶大なトラクション性能に加えて、ドライバーの操作に対して素早く、自然に、忠実に反応するハンドリング、さらには舗装路よりも希薄となりがちな路面状況でも的確なフィードバックが得られることが大きいでしょう。
それはフルインナーフレーム構造の「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」や、常時四駆にこだわったAWDシステム、しなやかさと強靭さを備えた電子制御可変式のサスペンション、実用トルクと扱いやすさにこだわったCB18エンジン+新CVTなどの基本性能を刷新。
さらに加えて、スバルが長年こだわってきた直接視界、ワイパー払拭面積の広さやワイパーデアイザー(寒冷地でのワイパーの張り付き/ワイパー下に雪が溜まるのを防ぐ)、素早く温まる空調やシートヒーターなどの寒冷地でありがたい工夫など、さまざまな部分が絡み合って実現しています。
もちろん、日本ジャストサイズの取り回しの良いボディサイズは、雪の影響で狭くなった道幅で威力を発揮します。
ちなみに雪道は滑りやすいので低い速度で姿勢変化(アンダーステア/オーバーステア)が起きます。それをコントロールするのがドライバーの腕の見せどころでもあります。
しかしレヴォーグは「あっ!?」と思うような不安定な挙動にならず、雪道なのにピターっと安定した走りです。
今回、広いエリアで横滑り防止装置をOFFにして派手な走行も試してみたのですが、あまりの安定性の高さに断念したくらいです……。
それくらいメカニカルの状態でのスタビリティは非常に高いので、横滑り防止装置はかなりラフな操作をしない限り介入しないし、介入してもそっと背中を支える黒子のような制御なので、まるで自分の運転が上手くなったかと思うくらい。
ただ、タイヤの能力以上のことはできないので、レヴォーグといえども雪上では無理は禁物です。
雪道でもドライブモードセレクトを活用できます。お勧めは、パワートレインは穏やかな「I」、ステアリングは手ごたえ重視で路面の状況がわかりやすい「スポーツ」、サスペンションはより足を動かし、接地性アップと荷重移動がしやすい「コンフォート」、AWDはセンターデフを拘束し安定方向にしてくれる「スポーツ」です。
そう、レヴォーグの安心・安全は「〇〇がいい」という飛び道具によるものではなく、「総合性能」の高さがそうさせています。
もちろん他メーカーも同じことを考えていると思いますが、レヴォーグをはじめとするスバル車のそれは、そこに「季節や気候、走る環境を問わない」という枕言葉が入るのが大きな違いだと思っています。
どんな状況でも常に冷静なドライビングができる、それは結果として安全運転にも繋がるのです。
ちなみにレヴォーグのリアゲートには、最新モデルのトレンド装備のひとつであるハンズフリー式が採用されていますが、他社のそれは足を抜き差しする作動で開閉するのに対して、レヴォーグはリアの六連星オーナメントに肘など体の一部を近づけて作動します。
これは「雪などで道が不安定な状況で片足を上げると、転んでしまう危険性がある」という考えからだそうです。
さらに細かい話になりますが、リアシートの可倒は一般的な6:4ではなく4:2:4です。
これならばセンター部のみ倒せば長いスキー板を車内に積むことができるうえ、左右シートを倒さないので後席に人が座ることもでき、家族や仲間とウインタースポーツに出かけるときに嬉しいポイントといえるでしょう。
※ ※ ※
レヴォーグは絶大な「安全」、「安心」、「安定」は、走行環境が悪くなればなるほど光ります。だからこそ、その先に「愉しさ」が見えてくるのでしょう。
ただ、もう少しだけ燃費が伸びてくれると嬉しいです。
今回、一般道~高速~山坂道、そして雪道の暖気を含めたオーバーオールでの燃費は12km/Lから13km/Lでしたが、欲をいえば15km/Lから16km/Lがコンスタントに実現できると……ね。
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