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「タイヤが取れそう」 ハの字カスタムは車検OK? 迫力ある見た目もメリット・デメリットはいかに

くるまのニュース / 2022年1月30日 11時50分

クルマのカスタムでタイヤが取れそうなほど角度がついていることがあります。こうした「ハの字」のカスタムにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

■ボディからはみ出るタイヤ!「ハの字」のクルマは速い!?

 カスタムカーの展示イベントでは、タイヤが大きく「ハの字」に傾いているクルマを見かけることがあります。
 
 基本的には、乗り心地は悪くなる印象を受けますが、ハの字のタイヤにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 カーカスタムの業界では、タイヤのセッティングに角度をつけることを「キャンバーをつける」と表現されることがあります。

 キャンバーとは、クルマを真正面から見たときのタイヤの傾きを表しており、フェンダーから外側に向かって「ハの字」になっている場合は「ネガティブ・キャンバー」、その逆で「V字」になっている場合は「ポジティブ・キャンバー」となります。

 これらは「ネガキャン」「ポジキャン」と呼ばれており、極端なネガキャンの場合には「鬼キャン」と呼ばれることもあります。 

 とくにネガキャンは、前述したようにカスタムカーに多く見られるため、ドレスアップの手法のひとつとして認識している人も少なくないかもしれません。

 しかしネガキャンは、もともとモータースポーツで用いられたことがはじまりで、れっきとした「走るためのセッティング」のひとつです。

 速度にかかわらず、クルマは曲がるとき、遠心力でタイヤの一部に荷重が集中する状態となります。

 例えば、右に曲がる場合には、左側のタイヤの外側と右側のタイヤの内側に荷重がかかる構造です。

 荷重のかかり方は、速度が速ければ速いほど大きくなるため、サーキットなどの高速走行時では、かなり大きな荷重がタイヤの一部にかかっていることになります。

 そうすると、タイヤと地面の接地面も実質小さいことになり、得られるグリップ力も低下。コーナーの旋回スピードが落ち、ラップタイムは必然的に遅くなってしまいます。

 その状態のままで走行を続けても、コーナリングの度にタイヤは最大のパフォーマンスを発揮できていないことになるため、コーナリングの際に荷重がかかることを前提に、あらかじめタイヤに角度をつけはじめたのがキャンバーの角度を調整する起源とされています。

 さらに、ネガキャンのメリットについて自動車整備士のA氏は「直進安定性やハンドリングの良さにも影響もあります」と話し、走りに特化するためには、ネガキャンもひとつの重要なセッティングであることがうかがえます。
 
 このように、主にモータースポーツを楽しむ人の間で広まったキャンバーですが、いつしか「キャンバー=速い=カッコいい」という風潮になり、一般のクルマ好きの間にもドレスアップ手法として浸透していきました。

 なお、そうしたドレスアップとしてキャンバーがつけられる場合には、見た目のカッコ良さが重視され、よりワイド&ローを強調できる、鬼キャンにする人が多く見られます。

■ネガキャンの入庫はお断り? デメリットとは

 荷重のかかり方などを適切に計測したうえで、計算されてつけられたキャンバーは、前述のようにサーキットなどの走行において、旋回スピードを向上させるといった効果が得られます。

 一方で、ドレスアップの一種として角度などを計算せずにキャンバーをつけた場合には、あらゆるデメリットも考えられます。

 国産メーカー販売店の整備士は、キャンバー角度のついたクルマについて「基本的にキャンバーのついたクルマの多くは違法改造車とみなされ、販売店では入庫を断られる可能性があります」と話します。

 車検では、真正面からクルマを見たときにタイヤがフェンダーからはみ出している、いわゆる「はみ出しタイヤ」が認められていません。

 また、はみ出しタイヤになっていなかったとしても、車輪の中心からフロント側は30度、リア側は50度までの範囲はフェンダー内に収まっていなければならないという規定があるため、その範囲を超えると違法改造車とみなされます。
 
 さらに、そのほかのデメリットについて整備士は「街乗りをするとタイヤが偏摩耗し、交換頻度が高くなります」といいます。

 当然といえば当然ですが、タイヤは地面に接地している部分から摩耗していくため、ネガキャンの場合には、タイヤの内側だけが減っていきます。

 そのうえ、クルマの荷重をその部分だけで支えていることになるため、減り方も激しく、タイヤの交換頻度が高くなります。

 このようなことを考慮すると、タイヤにはキャンバーをつけず、0度(ニュートラル)の状態が最適だと感じる人も多いかもしれません。

 ところが、前出の整備士は「モデルによっては純正の時点でキャンバーがつけられていることもある」といいます。

 ほかにも、極端なキャンバー角は駆動輪に取り付けられるドライブシャフトの「等速ジョイント」にも負荷がかかり、突然の破損につながる危険性もあります。

ネガティブキャンバーは迫力のあるカスタムだが車検範囲に注意が必要ネガティブキャンバーは迫力のあるカスタムだが車検範囲に注意が必要

 純正仕様でキャンバーがつけられているのには、どのような意義があるのでしょうか。

 実は、純正でキャンバーがつけられているモデルはいくつかありますが、その多くが見た目ではわからない程度のゆるいキャンバー角度になっているそうです。

 ただ、モデルによっては若干の傾きを感じるようなものもあり、スポーツカーは高速走行に備えてネガキャンにされていたり、人がたくさん乗るミニバンなどは、車重が重くなってタイヤに負荷がかかることを予想して、あえてポジキャンにされていたりします。
 
 もちろん、どれも車検適合の範囲内であり、あくまでもナチュラルなキャンバーですが、こうしたモデルごとの特性を踏まえたうえでのセッティングがされています。

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