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ヘッドライトの「くすみ除去」DIYでやるのは至難の業!? 車齢10年超のクルマをプロがガッツリ削ってみた!

くるまのニュース / 2022年2月3日 11時10分

ヘッドライトのくすみや黄ばみは、クルマの経年劣化を感じさせる原因になりますが、キレイにするにはどうしたら良いのでしょうか。黄ばんだヘッドライトを実際に研磨し、リフレッシュさせてみました。

■ヘッドライトはなぜくすむ? その原因は?

 長年乗り続けているクルマは経年劣化が進みますが、とくに劣化を感じさせるのが、ヘッドライト(カバー)のくすみや黄ばみ、クラックなどです。

 いくらボディをキレイにしてもヘッドライトがくすんだ状態では、何となく年季を感じてしまうものです。

 なぜヘッドライトはくすんだり黄ばんだりするのでしょうか。

 これには、素材である「ポリカーボネイト樹脂」の性質が大きく影響しています。軽量で頑丈、成形しやすく、万が一ぶつかっても飛散しにくいとあって、ポリカーボネイト樹脂は現在、大半のクルマのヘッドライトカバーに採用されています。

 しかし、日光に含まれる紫外線に弱く、また、絶対的な強度は高いものの、細かい傷がつきやすいという弱点もあるのです。

 クルマは外気に触れた状態で走行することから、ヘッドライトにも砂やホコリ、飛石などが当たります。屋根のない駐車場に停めている人も多く、直射日光に当たらない状態はほぼ不可能。

 そうなると、紫外線によってヘッドライトのポリカーボネイトは劣化が進み、走行中の飛散物で細かい傷が増え、その傷に塵やホコリなど汚れが入り込んでくすんだ状態になってしまうというわけです。

 一方で、細かい線がびっしり入ってしまうのは「クラック」、いわゆるヒビ割れです。といってもポリカーボネイト本体に入るヒビではなく、表面に塗られたハードコート皮膜が傷ついたり、経年劣化で割れてきてしまったものです。

 クラックは国産車でも起きることがありますが、輸入車、とくに欧州車は経年劣化によってほぼ確実に起きる症状ともいわれています。

※ ※ ※

 経年劣化によるヘッドライトのくすみを解消するにはいくつか対処法があります。

 確実なのはヘッドライトユニットごと新品に交換することですが、最近はヘッドライトカバーの交換ができない構造のクルマも多く、仮に新品に交換できた場合でも、片側で数万円かかることもあります。

 そこでもっともポピュラーな対策法なのが、表面のくすみや黄ばみ、クラックを除去する方法です。

 除去とはいうものの、傷が判別しづらくなるまで表面を削って整えるということです。

 そしてさまざまなメーカーから、この「くすみ・黄ばみ」専用のクリーナーやコート剤が販売されています。

 しかし、この除去作業がじつは非常に難しいといわれています。筆者(金田ケイスケ)も何度かトライしたことがありますが、軽度のくすみならまだしも、クラックなどは市販のクリーナーで対処するのはかなり難しいのです。

 かなり強力な研磨が必要になるのですが、慣れない人がDIYで作業すると失敗することが多々といわれています。

■中古アウディのくすんだヘッドライトはプロの技でどうなる?

 素人では難しいヘッドライトのくすみ除去ですが、プロはどのように作業するのでしょうか。栃木県の整備工場の代表 T整備士に、ヘッドライトカバーのクラック除去と再コーティングを依頼してみました。

 今回ヘッドライトのくすみ除去をおこなった車両は、2011年式のアウディ「A4オールロードクワトロ」です。

 筆者が中古車で購入した際、走行距離が少なく、ボディの程度はまあまあという個体でしたが、よく見るとヘッドライトカバーを磨いても取れないクラックがびっしりついており、これがヘッドライト点灯時にくすみとなって見た目の劣化を感じさせていました。

クラックが発生した2011年式のアウディ「A4オールロードクワトロ」クラックが発生した2011年式のアウディ「A4オールロードクワトロ」

 T整備士いわく、クラックやくすみ、黄ばみなど傷の深さを読み、削り過ぎないように加減しながら研磨するのがかなり難しい作業だといいます。

 慎重に作業しすぎては傷の深さまで削れず、かといって力任せに削ってしまうと樹脂が薄くなり衝撃にも弱くなってしまうという事態に陥りやすいそうです。

 また研磨用の紙やすりや耐水ペーパー、コンパウンドも、できればかなり幅広い番手を用意しておくことで、傷の深さや広さなどにも対応できるのだとか。

 市販されているコンパウンド3種類セットなどでは、軽度なくすみ程度しか対処できない可能性が高そうです。

 T整備士によって手際よくヘッドライトユニットが取り外され、まずは傷の深さを検証。数種類のコンパウンドを試しましたが表面のハードコートを除去できず、もっとも粗い240番から1500番まで数種類のサンドペーパーを使用することに。今回は電動サンダーを使用しています。

「今回はクラックがかなり深いところまで来ているので、240番から使用して削ります。しかしDIYで作業する場合は削りすぎを抑制するために、いきなり粗い番手を使用せずに中間ぐらいのサンドペーパーから試してください。

 また耐熱性にも優れるポリカーボネイトですが、研磨作業の摩擦熱でヘッドライトカバー本体を傷めないように、慎重かつ均一に研磨します」(T整備士)

 T整備士も、とにかく削り過ぎてカバー本体が薄くなって走行中の強度が保てなくなるような事態だけは注意してほしいとのことでした。

 ヘッドライト本体にマスキング処理を施したあとは、傷が目立たない(傷と同等の深さまで)ようにひたすら研磨。電動サンダーでも240番のサンドペーパーを複数枚使用し、研磨していきます。

 粗い番手のため、表面は研磨で真っ白になっており、気持ち的には「もう後戻りできないな」状態でしたが、傷が消えたら徐々に細かい番手に切り替えて仕上げていきます。

 この作業の繰り返しが当分続くため、DIYでは雑になりやすいのだそうです。

「研磨中はどれくらい傷が目立たなくなったのかが判断しにくいので、途中で水に濡らして表面の状態を確認しながら作業する必要もあるのでかなり根気がいります」(T整備士)

 ちなみに今回使用したサンドペーパーは240番、320番、600番、800番、1000番、1200番、1500番の7種類。DIYの場合は、このあと2000番台までの耐水ペーパーで仕上げる必要があります。

 T整備士は1500番まではペーパーで、そのあとに数種類のコンパウンドできれいな下地を作っていました。なお、1500番台ではまだ薄く白っぽさ(傷)が残っている状態でした。

 次はハードコートの塗布作業へと移ります。

「磨くだけで終了ではなく、最終的には必ずコーティング作業が必要です。ハードコートが剥がれた状態はもっとも傷つきやすく、コーティングでカバーしてないと新たなくすみや黄ばみが発生しやすくなってしまいます」(T整備士)

 今回使用したのは、3Mの「ヘッドライト・クリア・コート」と名付けられた専用コーティング剤。市販されており、プロも使用しているものです。

「通常は2000番台から3000番台で少し表面に白さ(細かい傷)が残っていたほうが、コーティング剤がとどまっていいのかもしれませんが、今回はコンパウンドで下地までかなりキレイにしてみました。

 使用したコーティング剤は溶剤を含んだ濡れティッシュのような状態ですが、塗り残しやムラがないように丁寧に仕上げることが重要になります」(T整備士)

 今回は下処理をきれいに作り込んだ部分もあり、見た目は美しいのですが、表面を整えすぎるとコーティングの耐用年数が少し短くなる可能性もあるそうです。このあたりのさじ加減がかなり難しいといいます。

※ ※ ※

 仕上がりの感想は「大満足!」で、新品のような美しいヘッドライトに復活しました。

 作業工程を見て思ったのは、「自分でやっていたら心折れていた」ということでした。

 サンドペーパーを複数種、仕上げにコンパウンド、最後にコーティングと続くわけで、根気と労力と時間をどれだけ使えるかで仕上がりがかなり違ってくることを考慮すると、技術力があるプロにお願いしたほうが確実だと思えたのも事実です。

 ちなみに、カー用品店でグッズを揃えると5000円程度ですが、今回の費用は左右合わせて2万円程度でした。

 純正ヘッドライトユニットを新品に交換すると10万円以上(アウディは20万円以上のことも)であることを考慮すれば、安いとすら感じたほどです。

 車検でもヘッドライト検査は必須ですし、クルマの印象もかなり違ってきます。ヘッドライトが暗い、くすんでいると感じたら、ヘッドライト磨きを試してみてはいかがでしょう。

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