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なぜエンジンオイルは減っていく? 継ぎ足しちゃって大丈夫? 残量不足になったときの対処法とは

くるまのニュース / 2022年2月7日 10時10分

エンジンを動かすうえで欠かせないエンジンオイルですが、車種や使用状況によっては残量不足で警告灯が点灯することがあります。オイルが残量不足になった場合、そのまま継ぎ足しても大丈夫なのでしょうか。

■エンジンオイルが減ってしまうのはナゼ?

 エンジンを動かすうえで欠かせないのが「エンジンオイル」で、このエンジンオイルが循環することでエンジンはスムーズに動きます。

 エンジンは精密機械が複雑に組み合わさってできており、燃料を燃やして推進力を得ています。エンジンを始動すると金属パーツ同士が擦れ合い、摩擦熱や摩耗も発生しやすく、さらに燃料を燃やしているため高温にもなります。

 そこでエンジンオイルを内部に循環させることで、金属パーツ同士の摩耗を油膜でカバーしつつエンジンの熱を冷却させる効果も担っています。

 エンジンによってはエンジンオイルを消費しやすかったり、使用状況によっては残量不足となって警告灯が点灯することもあるのですが、なぜエンジンオイルが減ってしまうことがあるのでしょうか。

 神奈川県の整備工場に勤務する整備士のE氏に聞いてみました。

「一般的なレシプロエンジンは燃焼室で燃料を燃やした際の爆発でピストンを上下に動かし、これを推進力にかえています。

 キレイに燃焼させるためにはエンジン内部の燃焼室の機密性を高める必要があり、エンジンオイルも一役買っているわけですが、経年劣化などでピストンリングが摩耗すると燃焼室にオイルが混入し、これが燃料と一緒に燃えてしまうので量が減ることがあるのです」

 燃料と一緒にエンジンオイルが燃えることが原因だといいますが、エンジンオイルが減少する理由はもうひとつあるようです。

「エンジンオイル自体も経年劣化で不純物が多く含まれていき、パーツの接続部分を保護しているシール類やパッキンなども損傷しやすくなって、ここからオイル自体が漏れてしまうこともあります。

 また事故や走行中に、障害物に下回りをヒットしてオイルパンを破損してしまうと、エンジンオイルが漏れ減りも早くなってしまうのです」(E整備士)

 エンジンオイルが循環することでエンジンがスムーズに動くわけですが、使用する過程でパーツから出るわずかな金属カスや燃焼による汚れ(スラッジ)なども混入し、エンジンオイルの性状が劣化するとパーツ同士の摩擦も増えるうえに放熱効果も下がってしまいます。

 だからこそ、エンジンオイルは定期的な交換が必要な消耗品となっているのです。

※ ※ ※

 エンジンオイルには、大きく分けて3種類のベースオイルがあります。

 もっとも多く使われているのが「鉱物油」で原油を精製して製造され、値段が安いぶん耐熱性や耐酸性などが高くないため、劣化しやすくマメに交換する必要があります。

 一方で「全合成油」と呼ばれるベースオイルは化学合成によって製造され、耐久性、低温始動性などを高める添加剤を配合し、ハイパワーなエンジンや高回転型エンジンでも性能の劣化を最小限に抑える効果のある高性能オイルです。

 その中間に位置するのが「部分合成油」で、ベースは鉱物油ながら全合成油を配合したものです。

 そして、オイルの硬さである「粘度」も重要です。

「〇W-□」という数字がありますが、これは性能を発揮できる温度を表す指標です。

 前半の「〇」は低温時における粘度で、数字が低いほど低温環境下でもエンジンに負荷をかけにくいことを表しており、後半の数字「□」は高温時の粘度を示しており、数値が上がるほどに高音環境下でも硬度を保ち、潤滑作用を発揮しやすいことを表しています。

 一般的には、古いエンジンほど鉱物油ベースで粘度の低いもの、高性能エンジンになるほど粘度の数値が高い全合成油が適しているといわれています。

 難しいのが、すべてのエンジンに高性能オイルが適しているとはいえないことです。

 サラサラで高温でも性能が保てる全合成油を設計の古いエンジンに使用すると、シール類やパッキンが全合成油の性状に対応していないことからオイルが漏れることもあり、そうなるとオイル量不足による潤滑不良や、最悪は引火してしまう危険性があります。

 そのため、クルマの年式によっては、あまり高性能すぎるエンジンオイルを入れてもその効果を体感できないケースだけでなく、エンジンの寿命にも影響が出てくるようです。

 E整備士も、クルマの年式や性能、純正オイルに準じた性能のオイルを使用するのが良いと教えてくれました。

■場合によってはエンジンオイルの継ぎ足しを断られることがある!?

 エンジンオイルは定期的な交換が必要な消耗品ですが、交換時期ではないのにエンジンオイルが残量不足になった場合は、単純に継ぎ足すだけで大丈夫なのでしょうか。

 前出のE整備士は次のようにいいます。

「純正オイルか同程度の粘度のオイルであれば、継ぎ足して大丈夫です。

 ただし、古いクルマのなかには全合成油に耐えられない材質のオイルシールを使用しているものもあり、1980年以前の旧車には全合成油は使用しないほうがいいでしょう」

エンジンオイルの残量はレベルゲージで目視するのが確実エンジンオイルの残量はレベルゲージで目視するのが確実

 取扱説明書などに記載されている純正指定オイルの粘度に準じるエンジンオイルであれば、ほぼ大丈夫だといいます。

 エンジンオイルがどれだけ減っているかは、エンジン本体についているガイドゲージにささっている「レベルゲージ」(ディップスティックともいう)を見て確認します。

 しかし近年では、車載コンピュータが車体の状態を診断する機能を盛り込んだクルマがあり、レベルゲージを省略する傾向にあります。

 そういった場合、車載コンピュータがオイル残量不足を教えてくるのですが、どれくらい減っているのか実際には分かりにくいのです。

 モニターでは「最大1L入ります」などと表示されるのですが、このコンピュータの指示通りにエンジンオイルを入れて良いのでしょうか。

「最近はレベルゲージを装着していないクルマもあります。

 通常のエンジンオイル交換であれば、全部抜いてから入れ直すので、どれだけ入れたら良いか迷うことがないのですが、残量不足の表示が出た場合はコンピュータがモニターに表示する分量が本当に正しいかは難しいところです。

 入れ過ぎてしまっては余計にエンジンを痛める可能性もありますし」(E整備士)

 実際、筆者(金田ケイスケ)が所有するクルマはレベルゲージが省略されているのですが、残量不足の警告灯が点灯したときに近所のガソリンスタンドで補充してもらおうと相談したところ、「レベルゲージなしの目分量で継ぎ足しはエンジンを傷める恐れがある」とのことで継ぎ足しを拒否されたことがあります。

「レベルゲージがない場合は、社外品のレベルゲージを購入するのもひとつの方法です。現在では車種ごとのレベルゲージがインターネットで手軽に購入できます。

 ただし純正部品はかなり高額になるので、まずはクルマの販売店に相談してみてください」(E整備士)

※ ※ ※

 現在主流のハイブリッド車ですが、とくに最近はエンジンで発電してモーターで走行するシリーズ式ハイブリッドが増えています。

 モーター主体で走行するためエンジンオイルはあまり関連性がないように思われますが、じつはその逆。発電用であってもガソリンエンジンであることは変わらず、オイル管理は必須なのです。

「ハイブリッド車の場合、街中で走行するときはモーター主体と思われますが、走行はモーターだとしてもエンジン始動時にもっとも負荷がかかります。

 頻繁にエンジンのスタート&ストップを繰り返すハイブリッド車は『シビアコンディション』だといえますが、ハイブリッド車だからエンジンオイルの減りが早いというような話はあまり聞いたことがありません。

 しかし使用状況によっては、通常のガソリンエンジンよりもエンジンオイルが劣化しやすい傾向もあるようです」(E整備士)

 やはり純正に準じた粘度とグレードのエンジンオイルをこまめに交換するのが、トラブル回避には有効だといえそうです。

 クルマの取扱説明書にエンジンオイルについて記載されているので、エンジンオイル関係でトラブルが発生したときに慌てないように、事前に確認しておくと良いでしょう。

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