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三菱タフ顔SUV「アウトランダーPHEV」が突然変異!? 良い意味で「電動車らしくない」その走りとは?

くるまのニュース / 2022年2月6日 18時10分

「アウトランダーPHEV」を公道やダートコースで試乗したところ、良い意味で「電動車らしくない」走りを見せ、先代から“突然変異”的な進化を遂げているといいます。“新生”三菱のフラッグシップSUVはどのようなクルマなのでしょうか。

■「本当に三菱車?」と思うくらいのノイズレスなデザインとスマートな操作系

 2021年12月16日に発売されたSUV「アウトランダーPHEV」は、“新生”三菱のフラッグシップであると同時に、ルノー・日産・三菱のアライアンス効果を存分に活用して開発された初のモデルです。

 筆者(山本シンヤ)が2021年10月にクローズドコース(袖ヶ浦フォレストレースウェイ、千葉県袖ケ浦市)で試乗した時は、先代モデルに対して「激変」といっても良い進化に驚きました。

 今回は公道での試乗です。あの時の感動のままなのか、それとも“異議”が湧いてくるのか――期待8割・心配2割の気持ちで臨みました。

 エクステリアは、三菱のデザイン言語「ダイナミックシールド」を新世代化させて全面採用。三菱車らしい力強さと三菱車らしからぬスタイリッシュさを兼ね備えたデザインは、街中で見るとプレミアムセグメントのSUVと見間違うレベルに仕上がっています。

 インテリアは、水平基調で力強い造形「ホリゾンタル・アクシス」を継承するも、「本当に三菱車?」と思うくらいのノイズレスなデザインとスマートな操作系に加えて、全面刷新されたシートの掛け心地の良さ、ステアリングのチルト量・テレスコ量の拡大、そしてフットレスト位置の最適化など、正しい運転環境を構築しています。これらは当たり前のことですが、先代はそんな部分にも課題がありました……。

 ボディの拡大は居住性アップにも貢献しており、特にホイールベース拡大(+60mm)は2列目の足元スペース確保に効いています。さらにPHEVでは、待望の3列目はさすがに体育座りですが身長160cmくらいまでで短時間の移動なら苦情は出ないと思います。

 パワートレインは、「2.4リッターエンジン+前後モーターを採用したPHEV」は先代と同じですが、システムは刷新。エンジン、モーターとも高出力化し、駆動用バッテリーの容量もアップされています。

 その印象は良い意味で「電動車らしくない」です。もちろん電動車ならではの応答性の良さや力強さはありますが、ノーマルモードではアクセル操作に対するトルクの立ち上がりが先代よりも滑らかで、例えるならば「+○○○cc」のような余裕を感じました。

 パワーモードを選べばレスポンス重視で加速感も強めの制御。エコモードを選べば穏やかな制御と、パワートレインの性格はモードによって変わるため、走行シーンや好みに合わせて選択してみてください。

 バッテリー残量があると基本はEV走行ですが、アクセルをグッと踏み込むとエンジンが掛かります。先代は明確にそれが分かるどころか、ノイジーな上に加速とリンクしない回転上昇にガッカリでしたが、新型のエンジン始動は何も気にせずに乗っているとホントに分からないレベルです。

 静粛性はプレミアムブランド顔負けのレベルですが、相対的にロードノイズが気になるため(といってもかなり静かですが)、欲をいえばもう少し静かなタイヤ(REGNO?)を履かせたくなりました。

 ちなみに先代と同じくパドルで回生量をコントロールできる機能に加えて、1ペダルドライブを可能にする「イノベーティブペダルオペレーションモード」を用意。ただ個人的には、クルマのキャラクターを考えるとパドルの方が“三菱らしい”ような気がしました。

 ハンドリングはどうでしょうか。先代からの“突然変異”のような走りの進化は一般道でも実感できるレベルです。

 具体的には滑らかで正確な操舵、重量バランスが変わったかのように四輪を上手に使った旋回姿勢、自然でシームレスなコーナリングの一連の流れ、抜群の直進安定性などに加えて、まるで電子制御ダンパーを装着しているかのようなフラットで安定した姿勢と、しなやかな足の動き、そして優しい乗り心地に驚きます。

 おそらくハンドリングと快適性のバランスは、同クラスのクロスオーバーSUVの中ではトップクラスだと思っています。

 ドライブモードによる走りの違いは、常用域でも実感できます。オールラウンドなのは「ノーマル」ですが、「ターマック」は旋回性重視でクルマが小さくなったかのようなキビキビした動き、「グラベル」はスタビリティ重視で重さを活かした安定感が印象的です。

 欲をいえば、現状のタイヤは転がり抵抗重視でウエットグリップが少し頼りないので、その部分がレベルアップすると安心感がより高まるはずです。

■これほどの「劇的進化」なぜ実現? ダートコースも走ってみた

 ではなぜ、これほどの進化が実現したのでしょうか。それは「基本素性の刷新」と「四輪駆動力制御(S-AWC)」の組み合わせによる相乗効果です。

 先代のプラットフォームは、初代アウトランダー用(2005年~)を改良しながら使用しており、S-AWCは基本素性の悪さを補うために活用していました。

 対する新型は、待望の新プラットフォーム採用で基本素性を底上げし、S-AWCはより高みを目指すために活用できるようになり、「1+1=3」のような伸び代が生まれたと筆者は分析しています。

 ただ、良いクルマには欲が出てきます。例えばサスペンション、タイヤ、S-AWC制御などをドライバーファーストな味付けにしたスポーティなトップグレードの追加などはどうでしょうか。東京オートサロン2022に出展されたコンセプトモデル「ヴィジョン・ラリーアートコンセプト」の評判は高いと聞いているので、ぜひとも検討をお願いしたいところです。

三菱SUV「アウトランダーPHEV」三菱SUV「アウトランダーPHEV」

 今回は一般道に加えてフラットなダートコース(オートランド千葉、千葉市若葉区)での試乗もできました。正直にいうと「いくら走れるといっても、20インチのノーマルタイヤで大丈夫?」と思いましたが、スマートな見た目に似合わない骨太な走りを見せてくれました。

 フラットといっても路面の起伏や凹凸はかなり激しいですが、そんな道をガンガン走らせてもボディはミシリともいわないし、サスペンションのストロークはもちろん吸収性も非常に高いため不安定な挙動になることもありません。

 マッド路面をノーマルタイヤで走るのでパターンに泥が目詰まりしてしまい、グリップは雪道以上にツルツルですが、そんな状況でも2トン近いクルマをしっかりとコントロールしながら不安なく走れたのは、ドライバーの腕ではなく、間違いなくS-AWCのおかげです。

 ちなみにドライブモードによる走りの違いは明確で、「ターマック」は旋回性重視でダートでは暴れ馬、「グラベル」は旋回とトラクションのバランス、「スノー」は安定志向で絶対滑らせない、「マッド」はトラクション重視で旋回はドライバーがコントロール――といったように、1台でさまざまな走りが可能です。

 ツルシの状態でもここまで走れてしまうことに驚く一方で、この見た目ではオフロードに行き辛いのも事実です。となると、もう少しオフロードを意識したグレードが欲しいところ。例えばトヨタ「ランドクルーザーGR-S」やレクサス「LXオフロード」のように、オフロードに行きたくなるようなアクティブなモデルはいかがでしょうか。加えてオフロードタイヤや車高アップサスペンションなども設定できたら完璧です。

 そろそろ結論に行きましょう。新型アウトランダーPHEVは、世界中に存在する電動車の中で最もオンロード・オフロードのバランスが優れた一台だと思っています。

 もし筆者がキャッチコピーを付けるならば、「道があればどこへでも行ける電動車」です。そして、三菱の未来を支える重要なクルマだからこそ、先代と同じようにしっかり進化・熟成をさせながら育ててほしいと思います。

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