ゴツいデザインこそ高級車の証だった!? 重厚な見た目の昭和セダン3選
くるまのニュース / 2022年2月17日 6時10分
クルマのデザインは時代によって変化していますが、近年はセダンも流麗なフォルムというのがトレンドです。一方で昭和の時代では、セダンは直線基調のフォルムで重厚な雰囲気のフロントフェイスが流行りでした。そこで、ゴツいデザインが特徴の昭和セダンを、3車種ピックアップして紹介します。
■イカツいデザインが魅力だった昭和のラグジュアリーセダンを振り返る
クルマのデザインは、その時代のニーズや流行を反映しながら常に変化しています。近年はSUVやセダンにおいて流麗なクーペスタイルがトレンドです。
一方、昭和の時代にはセダンのことを別名「3ボックス」と呼んでいたように、ボンネット/キャビン/トランクと、誰が見ても明確に3つの「箱」を組み合わせているスタイリングが常識でした。
とくに1970年代の後半に発売されたラグジュアリーセダンは、直線基調のスタイリングに重厚な雰囲気のフロントフェイスという組み合わせが流行していました。
高級車とは「かくあるべし」という、ユーザーの願望を反映していたのかもしれません。
そこで、ゴツいデザインが特徴の昭和のラグジュアリーセダンを、3車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「ルーチェレガート」
前期型の縦に並ぶ角目4灯ヘッドライトがとくに印象的だった「ルーチェレガート」
マツダは1966年に、大衆車「ファミリア」の上位車種として「ルーチェ」を発売。初代ルーチェはヨーロピアンテイストあふれるスタイリッシュな外観デザインのセダンでした。
1972年に登場した2代目はデザインの方向性を変え、アメリカ車をモチーフとしたクーペ/セダンへと変貌を遂げました。
そして1977年にデビューした3代目は「ルーチェレガート」の車名となり、クーペを廃止して4ドアピラードハードトップと4ドアセダン(後にバンが追加)のボディを持つ高級車へとイメージチェンジが図られました。
外観で特徴的なのがフロントフェイスで、縦配置の角目4灯ヘッドライトとメッキ加飾された大型のフロントグリルなどによって重厚感を演出しています。
トップグレードには最高出力135馬力の654cc×2ローター「13B型」ロータリーエンジンを搭載し、ほかに573cc×2ローター「12A型」、1.8リッターと2リッター直列4気筒SOHCレシプロエンジンも設定され、燃費の面から販売の中心は2リッターエンジン車でした。
ルーチェレガートはかなり個性的なデザインのラグジュアリーセダンでしたが、1979年のマイナーチェンジでオーソドックスなデザインの角目2灯ヘッドライトに改められ、線が細くなった印象でした。
その後、1981年に4代目へバトンタッチすると、デザインはさらに重厚感を控え、よりモダンなセダンとなりました。
●トヨタ6代目「クラウン」
歴代モデルでも屈指の重厚なデザインを採用していた6代目「クラウン」
トヨタは1955年に、初代「トヨペット・クラウン」を発売。まだ庶民がマイカーを持つことが夢だった時代ながら、クラウンは当初から高級車というコンセプトでした。
その後も高級車として代を重ね1979年には6代目が登場し、歴代のなかでももっとも風格のある外観デザインを採用していました。
ボディバリエーションは4ドアセダン、4ドアハードトップ、2ドアクーペ、ステーションワゴンとバンの5種類が設定され、基本的なコンポーネンツは5代目から継承。
フロントフェイスは4ドアセダンが角目4灯、ハードトップとステーションワゴンが角目2灯、バンとベーシックなセダンは丸目4灯とバラエティ豊かでした。
なかでも4ドアセダンは大型のメッキフロントグリルに、グリルの形状に合わせてプレスラインが入るボンネット、そして角目4灯による重厚なフロントフェイスに、直線基調のボディが見事な調和を見せていました。
エンジンはシリーズ最大となる2.8リッター直列6気筒SOHCに、2リッターが2種類と2.2リッターディーゼルを設定し、1980年のマイナーチェンジではトヨタ初の2リッターターボエンジンが加わりました。
6代目のコンセプトは「1980年代のクラウン」という先進性を強調し、高級車に不可欠な静粛性や乗り心地の良さと走行安定性などの基本性能を向上しつつ、到着推定時刻や平均速度などを演算・記憶する「クルーズコンピュータ」やリアパワーシート、録音可能なオーディオなどの新技術が採用されていました。
その後、クラウンは重厚感のあるフォルムから徐々に流麗なフォルムへと変貌を遂げ、現行モデルの15代目ではシリーズ初の6ライトウインドウを採用したクーペスタイルとなっています。
●日産3代目「ローレル」
2代目から大きく変貌を遂げ、高級車の仲間入りを果たした3代目「ローレル」
1968年に発売された日産初代「ローレル」は、スポーティ路線ではなく、落ち着いた雰囲気のセダン、クーペの「ハイオーナーカー」というジャンルを確立しました。
1972年に発売された2代目は、シャシやパワートレインを4代目スカイライン(ケンメリ)と共有する兄弟車となり、デザインもスカイラインと共通のイメージを採用していましたが、独自に2.6リッターエンジン搭載車を設定して内装も豪華な仕様とするなど、やはりハイオーナーカー路線のモデルでした。
そして、1977年に登場した3代目では「セドリック/グロリア」に匹敵する重厚な外観へ一新。ボディタイプは4ドアセダン、2ドアハードトップに加え、シリーズ初のピラーレス4ドアハードトップが設定されました。
とくにフロントフェイスはそれまでのイメージとまったく異なり、前期型では丸目4灯ヘッドライトに大型のグリル、後期型では角目4灯ヘッドライトが採用されて、さらに重厚感が増しました。
エンジンはトップグレードに2.8リッター直列6気筒SOHCの「L28型」が搭載され、2リッター直列6気筒、1.8リッター直列4気筒をラインナップ。
内装も上位グレードにはまるでソファーのような形状と質感のシートを搭載するなど、ワンクラス上の高級感を演出していました。
その後もローレルは代を重ねましたが、2003年に実質的な後継車の「ティアナ」の登場によって、長い歴史に幕を閉じました。
※ ※ ※
現在、日本の自動車市場ではセダン人気の低迷が続いていますが、高級車の代名詞といえばセダンであり、その地位は揺るぎないものがあります。
一方、静粛性に優れたEVと高級車は親和性が高いことから、高級セダンのEV化も加速。欧州メーカーではEVセダンが次々と発表され、さらにこれから登場するモデルも控えているなど、高級セダンは大きな転機を迎えようとしています。
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