「スピード落とせ!」看板はどのくらい減速すべき? 曖昧な注意喚起でも重要な存在だった
くるまのニュース / 2022年2月18日 9時10分
運転中に見かける「スピード落とせ」の看板。注意喚起のために設置されていますが、実際にどのくらい速度を落として走行するのが望ましいのでしょうか。
■「スピード落とせ」の標識 どのくらい落とすのが正解なの?
道路を走行中によく見かける「スピード落とせ」の看板。
ドライバーや歩行者の安全を守るための注意喚起の看板ですが、実際にどのくらい速度を落として走行するのが正しいのでしょうか。
クルマを運転している際に、「止まれ」や「指定方向外進行禁止」の標識など、さまざまな道路標識を見かけることがあります。
なかには、「スピード落とせ」や「速度落とせ」といった看板も設置されていることがあり、見かけたことがあるという人も多いでしょう。
そんなスピード落とせの看板について、愛知県の警察署の担当者は「スピード落とせの看板は、あくまでも安全に運転してもらうための注意喚起であるため、法定速度や道路によって定められた速度以内であれば取り締まりをおこなうことはありません」と話します。
法定速度について、道路交通法第22条および23条では、最高速度と最低速度のふたつが定められており、それぞれ以下のように定められています。
「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」
「自動車は、道路標識等によりその最低速度が指定されている道路においては、法令の規定により速度を減ずる場合、および危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その最低速度に達しない速度で進行してはならない」
そんな最高速度と最低速度ですが、道路交通法施行令第11条および27条では、具体的な速度の基準が定められています。
まず、一般道路の場合では、普通乗用自動車の最高速度は60km/hとなっており、道路によっては30km/hや50km/hというように、区間ごとに最高速度に最高速度が定められているようです。
また最低速度は、規定されている道路の場合はその速度で、規定されてない道路の場合は、道路状況に合わせた速度で走行することが求められます。
一方で、高速道路における普通乗用自動車の最高速度は基本的に100km/hですが、新東名高速道路の静岡県内や、東北自動車道路の岩手県内の一部の区間では120km/hが最高速度となっており、最低速度はいずれも50km/hです。
しかし、前出の担当者はスピード落とせの看板について「減速に関して数値的な決まりはありませんが、目安としては、例えば60km/hが最高速度であれば、40km/hから50km/hまで落して走行することが好ましいです」といいます。
このように、スピード落とせの看板を見かけた際には、周囲の安全を確認しつつ、速度を落とすのが良さそうです。
■「スピード落とせ」の看板 設置場所は?
スピード落とせの看板は、すべての運転者が安全かつ円滑に運転するために必要不可欠な看板であるといえます。
では、実際にはどのような場所に設置されているのでしょうか。設置場所について、千葉県の警察署の担当者は以下のように話します。
「スピード落とせの看板は、カーブ地点や交通事故が発生しやすい横断歩道、またはスピードが出やすい下り坂などに設置されているのが一般的です」
このように、スピード落とせの看板はカーブや横断歩道、スピードの出やすい下り坂などの地点に設置されていることが多く、「この先急カーブ」「この先事故多し」というような言葉が添えられている看板も見られます。
例えば、カーブ地点では、スピードの出しすぎによって対向車線にはみ出してしまったり、下り坂ではくるまの加速が著しくなったりすることから、ほかの車両との衝突事故のおそれが考えられます。
このことから、スピード落とせの看板は、そうした事故を防ぐためにも、運転者が安全なスピードに留意して走行できるよう、事故の危険性の高い場所に設置されています。
住宅街や学校近くなどでは設置されていることが多い「スピード落とせ」の看板
一方で、住宅街や通学路などにもスピード落とせの看板や標識が見られることも多いようですが、この背景には子供や高齢者の存在が大きく影響しているようです。
住宅街や通学路といった、子供から高齢者まで多くの人が行き交う場所では、突然脇道から子供が飛び出してきたり、高齢者が道の真ん中をゆっくりと横断していたりする可能性があります。
このような事故を避けるためにも、住宅街や通学路に張り出されているスピード落とせの看板により注目して、意識的にスピードを落とすことが必要になります。
※ ※ ※
なお、このスピード落とせの看板は、「標識」ではなく「法定外表示」に分類され、そのほかの法定外表示には、歩行者の安全を確保するための道路のカラー舗装や「追突注意」といった看板などが挙げられます。
滋賀県警は法定外表示について、次のように説明しています。
「標識令等の法令に定めはないが、交通規制の意味を明確にし、運転者に対して道路の状況または交通の特性に関する注意喚起をおこなうなど、交通の安全と円滑に資することを目的とした標識です」
これらのようにスピード落とせの看板は、ドライバーや歩行者が安全に過ごすための大きな役割を果たすものとして設置されているといえます。
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