「怖すぎるからやめて」 歩行者の信号無視横断にドライバーは戦々恐々 警察も対策強化 歩行者が加害者になるケースも?
くるまのニュース / 2022年2月20日 9時10分
ドライバーは安全運転を心がける必要がありますが、最近では歩行者の交通違反が目立ってきているといいます。具体的にどういった違反が多いのでしょうか。
■歩行者の法令違反が増加傾向に!?
クルマを運転する際は、事故を起こさないように交通ルールを守り安全運転を心がける必要があります。
これは歩行者にも同じことがいえますが、 最近は歩行者の交通違反が問題となってきているといいます。具体的にどういった違反が多いのでしょうか。
交通事故が発生しやすい場所のひとつに、横断歩道が挙げられます。
横断歩道では、とくにクルマと歩行者が衝突する事故が多く、警察庁の資料によると2016年から2020年までの5年間で5451件発生しており、そのうち約7割の3911件が、歩行者が道路を横断しているときに発生しています。
横断歩道は「歩行者優先」であり、車両等は、横断歩道や自転車横断帯に近づいたときは、横断する人や自転車がいないことが明らかな場合のほかは、その手前で停止できるように速度を落として進まなければならないと道路交通法第38条で定められています。
また、歩行者や自転車が横断しているときや横断しようとしているときは、横断歩道や自転車横断帯の手前(停止線があるときは、その手前)で一時停止をして歩行者や自転車に道を譲らなければならないとの規定もあります。
しかし事故が起こりやすい場所は、横断歩道だけではありません。
前述の警察庁の資料では、横断歩道以外の場所でも事故が発生しており、さらに横断歩道外横断や、走行車両の直前・直後の横断など、歩行者の7割以上に法令違反があることが分かっています。
実際にSNSでは、たびたび歩行者の赤信号無視など法令違反を伴う横断についての投稿が見られます。
あるユーザーは交通量の多い道路で歩行者が車両の合間を縫って横断する様子の動画を投稿。
これについて、「これでぶつかればクルマの過失になるなんて」「信号無視してるのに、万が一ぶつかったらクルマが悪くなるって理不尽だな」「こういうのこわすぎるやめてほしい」「事故がなかったのが幸い」などの声が多数寄せられています。
各都道府県の警察は、歩行者の法令違反が増加傾向にあることから、SNSを活用して歩行者に向けて交通ルールを守るよう呼びかけています。
例えば奈良県警では、以下のように投稿しています。
「歩行者の道路横断中の交通事故が多発しています。
歩行者の皆さん、停止車両の間から横断していませんか?
車両の直前または直後の横断はしてはいけません。
歩行者の皆さんも交通ルールを守りましょう。」
これについて、奈良県警の担当者は以下のように話します。
「奈良県では2022年1月に歩行者が道路を横断中にクルマにはねられた事故が発生しているほか、歩行者が赤信号を無視して横断し事故になったというケースも発生しています。
このため歩行者に対し、道路を横断するときは左右の安全を確認したり、手を上げたりするなど自らの安全を守るための交通行動を取ってもらうための広報啓発をおこなっています。
また歩行者は、信号は灯火の色に従うなど基本的な交通ルールや、車両の運転手に渡る意思を伝える、視線を送るなども行動も大切です」
奈良県警は、歩行者への交通安全対策を多数おこなっているといい、これについて前出の担当者は以下のように説明しています。
「奈良県警では、歩行する際の安全を守るための標語を設けたり、小学校などでの交通安全教育などをおこなっています。
また事業者に対しては、『横断歩行者保護宣言事業所プラス』を設けています。
これは加盟事業者の従業員が、運転者として横断歩道で歩行者優先とするのに加えて、歩行者として道路を横断する際に積極的に手を上げるなど、安全を守るための交通行動に取り組む事業所をいいます。
歩行者が交通事故の当事者にならないように、さまざまな交通マナーの向上を図っています」
※ ※ ※
交通ルールを守る意識は、ドライバーはもちろん歩行者であっても心がける必要があります。
道路交通法第7条では、「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等に従わなければならない」と定められており、仮に違反した場合、歩行者であっても「2万円以下の罰金又は科料に処する」とされています。
歩行者であっても、自ら安全を守る意識が大切です。
■歩行者が加害者になるケースも!?
2021年には歩行者側が加害者として摘発されるケースもあったといいます。
高知県警によると、高知県内の国道で、男性が赤信号の横断歩道を横断していたところ、バイクに接触。
これによりバイクは転倒し、運転していた男性は左手を骨折するなどの重傷を負いました。歩行していた男性は、けがはなかったといいます。
この事故では、歩行者の男性を重過失傷害の疑いで書類送検したといいます。
このほか、静岡市と北九州市で信号無視をした歩行者とバイクが衝突する事故が発生し、歩行者が書類送検されるケースも。
歩行者が加害者として摘発されるケースについて、SNSでは「ようやくかあ」「やっとだ」「もっと取り締まり強化して普及してほしい」「歩行者でも危険なことしてたら加害者として罰則を受けるべき」「交通弱者を盾にクルマが悪者なのはおかしい」といったドライバー側からの視点として肯定する声が多く上がっています。
歩行者が加害者として摘発されるケースも。(画像はイメージ)
こうした歩行者の交通ルールの周知徹底について、各都道府県の警察はそれぞれ取り組みを実施。
兵庫県警は、歩行者の事故背景に歩行者自身の交通違反もあるとして、独自の「歩行者指導警告書」を導入。
これは、法令違反を犯した歩行者に対して交付されるもので、警告書には氏名、違反事項、警告を受けた年月日などの項目が記載されます。
こうした歩行者への警告書の交付は、兵庫県以外では実施されていないようですが、宮崎県や岐阜県では「歩行者用イエローカード」などといった名称で交付を開始しているようです。
歩行者の法令違反が増加傾向にあるため、今後全国的に歩行者への取り締まりが強化されるかもしれません。
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