外したスタッドレスタイヤは保管方法で寿命が変わる!? 冬用タイヤの正しい保存術とは?
くるまのニュース / 2022年3月5日 9時10分
雪の季節が過ぎると、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤに履き替えるタイミングとなり、取り外したスタッドレスタイヤは次のシーズンまで保管されることになります。スタッドレスタイヤはどのように保管するのが良いのでしょうか。
■スタッドレスタイヤの寿命は4年程度と短い理由
雪道やアイスバーンで必要不可欠なスタッドレスタイヤ。春の気配がしはじめ、そろそろノーマルタイヤに履き替えても良い時期になりました。
次の冬まで保管しておく人も多いと思いますが、保管するときの状態や方法によってはスタッドレスタイヤが劣化してしまったり、変形を引き起こす可能性があるといわれています。
埼玉県のタイヤ専門店で働くスタッフのKさんに、スタッドレスタイヤの特性について聞いてみました。
ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの大きな違いは、使用しているゴム素材(コンパウンド)の特徴です。
「ノーマルタイヤもグリップ力や耐摩耗性、静粛性や燃費性能など求められる性能によってコンパウンドが違いますが、スタッドレスタイヤは低温下でも硬化しないようにオイルを多めに配合した素材を使用しています。
これによって冬道でのグリップ力を生み出しているのですが、通常の舗装路ではノーマルタイヤより摩耗しやすく、熱にも弱いという特徴があります」
クルマにもゴム素材が使われていますが、タイヤのゴムは想像以上に劣化しやすいデリケートな素材です。
当然ながらタイヤメーカーはそれを考慮して長期間でも使えるようにさまざまな工夫を施しているわけですが、その状況によっては劣化を早めてしまうこともあるのだそうです。
「タイヤは使用していなくても経年で劣化していきます。とくに高い速度域でも高いグリップ力を求められるハイグリップタイヤや、雪や氷などでもグリップ力を確保するスタッドレスタイヤなど柔らかい材質のものは、寿命はあまり長くありません。
スタッドレスタイヤはノーマルタイヤより多くのオイルを配合しているため、時間の経過とともに少しずつ出てきて硬化が進み、十分な性能を発揮できなくなってしまうことがあります」(タイヤ専門店のスタッフ Kさん)
※ ※ ※
スタッドレスタイヤはノーマルタイヤと比べて使用期限が短いといわれており、一般的に性能が発揮できる期間の目安は製造から約4年とされています。
たとえば夏に前年に製造されたスタッドレスタイヤを購入した場合、3シーズン程度を目安に新たに買い直すのが良いそうです。
また、通販サイトで安く売られているスタッドレスタイヤのなかには、新品でも製造年が1、2年前というものもあり、注意が必要です。
■外したタイヤは横積みで保管するのが良いってホント?
雪上や氷上でもグリップ力を確保するために開発されているスタッドレスタイヤだけに、その使用期限が短いのは仕方ないともいえます。
しかし使用期限が短く、デリケートなスタッドレスタイヤだからこそ、次シーズンまでできる限り良い状態で保管しておきたいものです。前出のタイヤ専門店のKさんに、スタッドレスタイヤの保管の注意点を聞いてみました。
外したスタッドレスタイヤの正しい保管方法とは?
「柔らかいゴムを使用しているので、使わないときはできる限りトレッド面を接地させることは避けて、横積みにしておくのがいいと思います。その際、ホイールは組み込んだままの状態が理想です」
タイヤショップなどではよく見かける、縦置きで横に並べるラックはあまりおすすめできないといいます。
「縦置きのラックはタイヤのトレッドを見せるための陳列で、見栄え重視です。実際はラックのフレーム部分に長期間トレッド面が接触していると、ホイールの重さが接触部分にかかって変形してしまうこともあります。
その点サイドウオール部は(トレッド面より)強度があるので変形しづらく、横置きで積み上げて保管するのが良いと思います」(タイヤ専門店のスタッフ Kさん)
また一部では空気圧を抜いての保管をすすめられることもありますが、Kさんいわく、適正数値内であれば空気を抜かなくて良く、逆にパンパンに入れる必要もないそうです。
もうひとつ保管前にやっておきたいのが、取り外したスタッドレスタイヤをキレイにすることです。
とくにタイヤの内側やトレッド面、ホイールの内側などは取り外した状態でしか洗えず、融雪剤が撒かれた雪道を走行したスタッドレスタイヤをそのまま放置しておくと、劣化を早めるだけでなくホイールの腐食も進めてしまうことになります。
「ホイールごと取り外したら、まずはしっかり洗ってください。そのときにトレッドなどに挟まっている大きな石なども取り除くと良いでしょう。
そして洗ったあとはしっかり水気を切って乾燥させてから保管してください」(タイヤ専門店のスタッフ Kさん)
また保管する場所は、直射日光が当たらず、できれば風通しのいいところで、いわゆる「冷暗所」での保管が望ましいそうです。
「直射日光に含まれる紫外線はタイヤもホイールも劣化を進めてしまうんです。またタイヤに含まれるオイルを早く蒸発させてしまい硬化も早めてしまいます。
マンションなどに住んでいる人は日当たりのいいベランダなどに保管することもあるかと思いますが、その場合はカバーなどをかけて直射日光が当たらないように工夫してください」
タイヤのツヤを保つために、洗浄後にタイヤワックスを使用する人もいますが、実はタイヤワックスは劣化を促進させる働きがあることから、使用しないほうが良いようです。
「冬服を保管するときもキレイに洗濯やクリーニングに出してからタンスなどの暗所に仕舞いますが、スタッドレスタイヤも一緒で、使わないときはキレイに洗って乾燥させてから暗所に横積みで保管します。
また、1輪ずつ袋詰めする人もいますが、紫外線を避けるためであれば必要なのですが、季節によっては湿気を溜め込んで劣化の原因にもなりやすいので、袋詰めでも閉め切らないほうがタイヤにとっては優しいと思います」(タイヤ専門店のスタッフ Kさん)
※ ※ ※
スタッドレスタイヤの保管は場所も必要なので、置ける場所に保管しがちですが、タイヤは「生モノ」なだけに多少は気を遣って保管するのが良さそうです。
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