中古車が新車価格を上回る「プレ値」の元祖だった!? 日産が誇る「名珍」限定車3選
くるまのニュース / 2022年3月4日 16時10分
近年、限定車が発売されると、争奪戦が繰り広げられるなど注目を集めています。そこで、かつて日産が販売した懐かしの限定車を、3車種ピックアップして紹介します。
■日産が誇るユニークな限定車を振り返る
台数限定や期間限定で販売される「限定車」は、近年、大いに注目される存在です。とくに高性能なモデルや、終売直前に販売される「ファイナルエディション」は、争奪戦が繰り広げられるケースも珍しくありません。
一般的に限定車というと既存のモデルをベースにした「特別仕様車」が多いのですが、なかにはカタログモデルには無いエンジンを搭載していたり、まったくの新規で開発されたクルマも限定販売さえることもあります。
クルマに限ったことではありませんが「限定」という言葉には人を惹きつける魅力があり、「買わないと損」というような心理状態になるのではないでしょうか。
そこで、数ある限定車のなかでも日産が誇るモデルを、3車種ピックアップして紹介します。なかでも話題騒然となったモデルや珍しいモデルをチョイスしました。
●日産「Be-1」
あまりの人気ぶりで社会現象にまでなった元祖パイクカーの「Be-1」
すでにバブル景気が始まっていた1987年に、日産はそれまでにないユニークなコンパクトカーの「Be-1」を発売しました。
Be-1は初代「マーチ」のコンポーネンツをベースに開発され、販売台数は1万台限定でした。
既存のモデルをベースにレトロで先鋭化したデザインを落とし込んだ「パイクカー」の先駆けとなったモデルで、動力性能や機能を向上させることでクルマの魅力を高めていくのが主流だった時代に反して、かなり特異なクルマといえました。
実際に、エンジンはベースとなるマーチと同様1リッター直列4気筒SOHCで、最高出力はわずか53馬力でしたが、Be-1は企画力で勝負しました。
バリエーションはルーフによって2タイプに分かれ、ノーマルルーフと当時流行していたキャンバストップが設定され、外観はBMC「ミニ」をオマージュしたような各部がラウンドしたデザインを採用。内装も「丸」を基調としたシンプルかつレトロな雰囲気に仕立てられていました。
Be-1は前述のとおり1万台限定でしたが購入希望車が殺到。最終的には抽選での販売となり、中古車が新車価格以上で販売されるプレミア価格となるほどの人気ぶりで、社会現象にまでなりました。
そしてBe-1の成功を受け、1989年にレトロ調限定車第2弾として「パオ」、1991年には第3弾の「フィガロ」が発売され、どのモデルも高い人気を誇りました。
●日産「ティーノ ハイブリッド」
メカニズム的には「プリウス」を凌駕するほどの意欲作だった「ティーノ ハイブリッド」
トヨタは1997年に、世界初の量産ハイブリッド車の初代「プリウス」を発売。後の自動車市場に与えた影響は計り知れず、まさに自動車史に残る金字塔といえるモデルでした。
その後、各メーカーともハイブリッド車の開発をおこない、プリウス誕生から3年後の2000年に、日産は初の市販ハイブリッド車、「ティーノ ハイブリッド」を100台限定で発売しました。
ティーノ ハイブリッドは1998年に発売されたハイトワゴン「ティーノ」をベースに開発され、1999年には試作車を20台ほど生産し、公道で述べ100万kmの走行テストを実施したうえで満を持してのデビューでした。
燃費を同クラスのガソリン車の2倍以上とする目標を設定し、パワーユニットは新開発の最高出力101馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒ミラーサイクルエンジンと、23馬力の走行用モーター、発電とエンジン始動用を兼務したモーターの2モーターのハイブリッドシステムを採用。
トランスミッションはベルト式のCVTが組み合わされ、走行用モーターはトランスミッションに組み込まれていました。
画期的だったのがバッテリーで、マンガン正極のリチウムイオン電池を搭載しており、量産車では世界初の快挙でした。
ハイブリッドシステムは、発進時や低速走行時はモーターの動力のみで走行するEV走行が可能で、通常走行時はエンジンのみで走行、急加速や登坂時にはモーターがエンジンをアシストする仕組みで、機能的には初代プリウスを凌駕していました。
ティーノハイブリッドは高い完成度を誇っていましたが、燃費は23km/L(10・15モード)とプリウスの28km/Lには及ばず、価格も315万円(消費税含まず)とプリウスよりも100万円高の設定で、あくまでも技術的なスタディモデルだったといえます。
ところが発表から3週間後にインターネットでの購入予約を開始したところ、即日に100台を超える予約を受け付け、キャンセル待ちとなりました。
●MUJIカー1000
まさに「シンプル・イズ・ベスト」をコンセプトにつくられた「MUJIカー1000」
「無印良品」というと、余計な装飾を省いたシンプルなデザインの衣類や生活雑貨、日用品、素材の持ち味を生かした食料品が人気で、このコンセプトは誕生以来ブレがありません。
2004年からは「無印良品の家」を販売するなど話題となりましたが、2001年には無印良品が日産とコラボして、コンパクトカーの「MUJIカー1000」を発売しました。
MUJIカー1000は2代目「マーチ」の3ドアハッチバック/1リッターエンジン車をベースに開発され、外装はマーブルホワイトの専用ボディカラー1色のみで、無塗装の素地のバンパー、専用デザインのフロントグリル、ブラックの電動格納式ドアミラー、スチールホイールを採用するなど、無印良品が販売する商品と同様のシンプルさを全面に押し出していました。
また、装備面ではAM/FMラジオ付きのカセットオーディオ、マニュアルエアコン、パワーウインドウ、パワーステアリング、両席エアバッグなど必要なものはひと通りそろっていながら、価格は93万円(消費税含まず)と非常に安価に設定されました。
MUJIカー1000は1000台の限定販売で、購入希望は無印良品のホームページを通じて受け付けがおこなわれ、通常の日産車と同じく日産ディーラーで納車され保証も日産車に準じていました。
なおMUJIカー1000は安価なだけでなく、売買契約が成立すると無印良品の14型折りたたみ自転車がプレゼントされる特典が用意されるなど、かなりお買い得なモデルでした。
※ ※ ※
冒頭にあるように限定車の争奪戦の背景には、転売目的とする「転売ヤー」の存在も少なからず影響しています。
受注期間を定め、購入希望者分のすべてを生産すれば本当に欲しいという人にも行き渡りますが、ファイナルエディションでは生産期間の関係から台数も限られ、Be-1のような抽選販売も、抜本的な解決策にはなっていないのが現状です。
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