アクセルを踏む心地よさを満喫! SUBARU新型「WRX S4」の「走らせてみてわかること」
くるまのニュース / 2022年5月20日 18時10分
2021年11月25日に発表されたSUBARUの新型「WRX S4」は、どのような走りを楽しませてくれるのでしょうか。数字からは読み取れない、その「乗り味」の部分を中心に見ていきます。
■アクセルが心地よい! 新型WRX S4の走りを堪能しよう
スバルのスポーツセダン「WRX S4」がフルモデルチェンジし、2021年11月に新型モデルが発表されました。
新型WRX S4のエンジンは、従来型の2リッターターボから2.4リッターターボへと拡大しましたが、最高出力は221kW(300PS)/5600rpmから202kW(275PS)/5600rpmへとダウン。最大トルクについても400Nm(40.7kgf・m)/2000-4800rpmから375Nm(38.2kgf・m)/2000-4800rpmへと減少しています。
新型WRX S4の燃費は約8%向上したといい、ターボはウエストゲートバルブ、そして吸気側圧力をコントロールするエアバイパスバルブを電子制御化したことで、緻密な過給圧制御をおこなえるようになったとのことですが、果たしてどうでしょうか。
ちなみに、筆者(橋本洋平)はステーションワゴン「レヴォーグ」(1.8リッターターボ)を所有しており、事実上レヴォーグのセダン版である新型WRX S4は個人的にかなり気になる存在でした。
スバルグローバルプラットフォーム(SGP)+フルインナーフレーム構造はレヴォーグと変わらずの手法ですが、リアはセダンボディならではのバルク構造を採用することで取り付け部剛性がさらに向上しています。
構造用接着剤も従来型が7mだったのに対し、新型は26mまで引き伸ばしたのだというから興味深いところです。結果、従来型比で静剛性は+28%、動剛性は+11%も引き上げることに成功したとのことですから、期待が高まります。
そのような新型WRX S4のステアリングを託されたのは、東京湾アクアラインの海ほたるパーキングエリアでした。ドライバーズシートに収まってみると、インテリアはレヴォーグと似て非なるものといった感覚です。
オプションのレカロシートは電動で、ポジションをセットすることが可能なところは相変わらずなものの、包み込まれるようなホールド感と滑りにくさは別物です。スピードメーターは280km/hスケールとなり、左下にはブースト計まで映し出されていました。座った時点でかなりスポーティ、走りを意識したクルマであることがヒシヒシと伝わってきます。
タウンスピードでパーキング内から走り始めると、シャシはかなり引き締められたことが伝わってきます。ピッチもロールもかなり少なそうな、引き締められた感が満載な足回り、そしてレヴォーグよりも野太いエキゾーストノートが走りを期待させてくれます。
本線へ向けた合流路でフル加速を試みます。豪快な加速とピッチングをほとんどしない、フラットな姿勢で突き進む感覚は、レヴォーグとは明らかに別物。小舵角でレーンチェンジをこなし、あっという間に制限速度まで達します。
カメラカーと共に移動しながら、追い越しのシーンを撮影するなどさまざまな走り方を試みます。そこで常にリニアに反応してくれるアクセルがとにかく心地よく、右足の要求に即座に応答し、タイムラグを一切感じることはありません。ステアリングもまた同様の感覚があり、切りはじめからインターチェンジの切り込みまで一定したリニアさが光っていました。
いつでもどこでも臨戦態勢に移行することが可能な仕上がりは、スペックよりも実を取った感覚があり、一発の針の穴を通すような速さではなく、いつでもどこでも、そして誰もがパワーを引き出しやすいように調教された感覚にあふれています。
■「Sport+モード」でワインディングへ 気になるWRX S4の電子制御ダンパーは…?
走行モードのひとつ「Sport+モード」でワインディングを走ってみても同じ感覚があり、一体感溢れる走り味はさすが。リアの追従性がとことん優れており、全幅が拡大しているにも関わらずボディが小さくなったかのような錯覚に陥ります。それほど思い通りにクルマが反応するということでしょう。
SUBARU「WRX S4」はワインディングを走らせても思い通りに反応してくれる
VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)は、イニシャルトルクがフロント45%、リア55%で、それもあってか、アクセルオンでリアから蹴り出してくる感覚が得られるところも一体感に繋がっています。また、パドルシフトを繰り返せば、従来比でアップ側30%、ダウン側50%も高速化されたギアチェンジが愉しめます。
その爽快感は格別で、ブレーキング時はグリッピングを従えながら爽快に駆け抜けてくれるのです。
一方で「ノーマルモード」や「コンフォートモード」にしてDレンジを選択すれば、CVTならではのシームレスな加減速も可能。このキャラ変ぶりはレヴォーグ以上の振り幅に感じます。
とはいえ、決してピーキーには仕上がっていません。4輪の接地性はきちんと確保され、タイヤがいまどのような状況にあるのかを正確無比に伝えてくるのです。
従来型比でフロント+5%、リア+20%もストロークアップしたという足回り、そして2ピニオンのパワーステアリングがインフォメーション性能を飛躍的にアップさせていたことは間違いありません。
また、電子制御ダンパーを「コンフォートモード」にすれば快適性も確保されており、決して乗り味が荒いわけではありませんでした。
質感が高く、そして速い、それが新型WRX S4の良さといっていいでしょう。
ここまで走りに徹した感覚がありながら、その一方で「アイサイトX」を装備してイージードライブも可能にしたことは好感触です。
高速道路で高度な運転支援をおこなうアイサイトXは、渋滞にハマれば50km/hまでハンズオフも可能にしてくれ、ウインカーレバーを弾けば車線変更だって自動でやってくれます。
本格スポーツAWDとしての走行性能を確保しながら、コンフォートセダンとしても振舞える、新型WRX S4は家族も納得の大人のスポーツセダンといっていいでしょう。
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