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国産旧車、約400台が「破壊」の危機に? GT-Rやスープラが壊される? 米国で「不正輸入」が大問題に! 盗難被害の「車台番号」公開!

くるまのニュース / 2022年3月31日 9時10分

日本の価値ある旧車が400台も米国に不正輸入されたという事件が発覚しました。これはどのような経緯の事件で、今後この400台はどのように扱われるのでしょうか。

■米国フロリダで400台の「不正輸入」が発覚!

 アメリカ・フロリダ州にて日本の旧車が400台も不正に輸入されたという事件がありました。
 
 どのような経緯の事件で、その400台は今後どのように扱われるのでしょうか。

 アメリカでは製造から25年を経過した自動車はアメリカの保安基準FMVSSに適合していなくても、アメリカ国内への輸入が可能となる制度があります。

 俗にいう「25年ルール」と呼ばれる輸入ルールです。このルールは本来、メルセデス・ベンツに代表されるドイツ車が並行輸入(新車)でアメリカに持ち込まれ販売されることを規制するための法律として1988年に成立しました。

 その後、あまりにも厳しすぎるということで1998年に緩和策が講じられ、製造から25年経過していればFMVSSに適合していなくてもアメリカへの輸入をOKとする内容に改訂されました。

 これが現在の「25年ルール」です。ただし、州によっては25年ルールで米国内への輸入は可能でも、一部の車種では販売や登録ができないケースがあります。

 そのルールでアメリカに持ち込まれる少し古い日本車が増え始めたのは2010年前後ですが、とくに爆発的に増えたのが2014年前後で、1989年に発売された日産「スカイラインGT-R(BNR32型)」が製造から25年を迎えるタイミングで、急増しました。

 今回、フロリダで発覚した日本旧車約400台の「不正輸入」もこの「25年ルール」が関係しています。

 簡単にいうと、「フロリダの輸入販売業者が25年ルール適用とならない日本車の書類等を偽造して日本から輸入し、アメリカ在住の一般ユーザーに販売した」ことになります。

 これら400台はタイトルを剥奪(日本でいうところの登録抹消)され、すべてが密輸品(禁制品)
として扱われることになりました。

 これら400台は今後どのような扱いを受けるのでしょうか。過去に発生した同様の事件では、法に反したという理由で没収され、その多くが「破壊」されてきました。

 貴重な日本の旧車が破壊されるなんてことは考えたくもありませんが、実際、この400台はどうなってしまうのでしょうか。

 この事件の取材をしているアメリカの自動車メディア「THE DRIVE」記者のRob・Stumpf氏に聞いてみました。

――400台は今どのような状態にあるのでしょうか?

 フロリダ・ハイウェイ・パトロール(FHP)などが、まだ今のところ報告書に名前のない販売業者を調査していると思われます。

 レポートに名前が挙がっている400台は、すべて登録が抹消され、タイトルも失効しており米国の道路を合法的に走行できない、保険にも加入できない、などの状態にあります。

――破壊の可能性はありますか?

 アメリカではこれまで、この種のクルマを押収し、破壊するなどの措置を講じてきました。

 しかし、今回の400台については、現時点ではどの機関も積極的に押収することを表明していません。

 押収された後、破壊(粉砕)される可能性がゼロとはいえませんが、何ともいえませんね。

――現在もまだ捜査中でしょうか?

 そのようですね。フロリダ・ハイウェイ・パトロール(FHP)は、現在進行中の捜査に関する質問には答えないとのことです。

 しかし、FHPと道路安全自動車局(HSMV)には同じ通信機関があり、ある程度の情報を提供することができます。

■どんな車種がどんな方法で不正輸入された?

 フロリダでとくに不正輸入が多いというウワサは2012年頃から正しい輸入をおこなう業者によって指摘されていました。

 2014年から2021年の間に1台1台の調査がおこなわれ、現在までに約400台が摘発されています。

 不正輸入業者が逮捕され、2022年3月にそのうち約350台の車名、車台番号、購入時期などについてのリスト(わずかにドイツ車もあり)が公開されました。ほかにもフロリダではこれまでかなりの数の不正輸入がおこなわれたという情報もあります。

不正輸入された「車台番号リスト」の一部(画像は加工済み)不正輸入された「車台番号リスト」の一部(画像は加工済み)

 画像のリストにある文字の意味は「VIN(日本でいうところの「車台番号」)」、「SALE DATE(業者がアメリカの一般オーナーに販売した日)」、「TRANSFER DATE(オーナーに名義が移った日)」となっています。

 筆者(加藤久美子)が調べたところ、とくに多い車種は以下のようになっています。

 日産「スカイラインGT-R」(BNR32型/BCNR33型/BNR34型)など合計で88台
 日産「シルビア(S15型)」30台
 トヨタ「スープラ(JZA80型)」28台
 ホンダ「インテグラ(DC2型/DC5型)」23台
 ホンダ「シビックタイプR」14台
 マツダ「RX-7(FD3S型)」7台

 など、アメリカで人気があるスポーツタイプのクルマが多くなっています。なかには大変希少なモデルもあり、価格も1000万円以上という高額なクルマも多数含まれています。

 ではこれら約400台の不正輸入車たちは、どのような方法で輸入されたのでしょうか。その前にアメリカに並行輸入でクルマを持ち込む主な方法をおさらいしておきましょう。

 1.製造から25年以上経過している。(25年ルール)
 2.25年以下であっても、FMVSSの安全基準などを満たしていること。
 3.25年以下であっても「Show or Display」という方法(特定の車種を展示車両として輸入する場合。年間走行距離5000km以下に制限されることをはじめ走行に関する諸々の制限あり)

 この3つ以外にも自動車メーカーや自動車関連産業が研究用や調査、テスト用に入れる方法も認められています。

 これらの方法のなかでもっとも簡単な輸入方法が1.の25年ルール適用で、2.は実際のクルマで破壊試験などをおこなう必要があり、費用もかなり高額になります。

 3.は歴史的、技術的な価値があるもの、生産台数が少ないなど特定の車種に限られます。

 そして今回摘発された400台のクルマは以下の方法で不正に輸入されたことが分かっています。

 ・通関証明書のスタンプを偽造するなど虚偽の申告をして登録をおこなった
 ・虚偽の販売証明を作成(偽の住所や名前など)した
 ・FMVSSの基準に適合しているように見せかけた虚偽の書類を作成した
 ・製造から25年に満たないのに、25年経過しているように書類を偽造した
 ・アメリカ運輸省が発行したように見せかけた虚偽の車検証(のようなもの)を客に見せて安心させて販売した

 このような方法が報告されています。

 リストにある350台のなかには2012年から2020年頃に日本で盗難されたクルマが含まれている可能性もゼロではありません。

 全車種のリストを掲載しているので心当たりのある人は車台番号を確認することをおすすめします。

 車検証がなく車台番号が分からない場合は、当時加入していた自動車保険や自賠責保険、整備記録簿、ディーラなど販売店の記録などで確認することができます。

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