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まさか日産「シーマ」2度目の生産終了!? かつての「シーマ現象」再来ならず… 「セダンはもう終焉」なのか

くるまのニュース / 2022年4月1日 8時10分

「日産シーマ生産終了」という報道が世の中を駆け巡りました。日産を代表するセダンですが、生産終了が報道される背景にはどのような事情があるのでしょうか。

■栄光と凋落を経験したシーマ、生産終了はやむなしか

 日産のフラッグシップセダンである「シーマ」が、2022年夏にも生産終了される見込みであることが報じられました。
 
 かつては一時代を築いたシーマですが、生産終了に追い込まれるのにはいくつかの事情があるようです。

 今回の報道ではシーマと同じく高級セダンである「フーガ」が、2022年夏ころをめどに生産終了となることが各紙で報道されています。

 3月31日現在、日産からの公式アナウンスはありませんが、昨今の状況を考えると、生産終了は既定路線だったといえます。

 初代シーマは、1988年に登場しました。バブル真っ只中の当時、高級セダンであった「セドリック」や「グロリア」よりもさらに上級モデルが求められていたなかで登場したシーマは、発売直後から圧倒的な売れ行きを見せました。

 そうした様子は後に「シーマ現象」と呼ばれ、当時の世相を象徴するものとして今でも語り継がれています。

 その後、3度のフルモデルチェンジを経たシーマでしたが、景気後退や強力なライバルの登場などによって販売不振に陥り、2010年には一度生産終了となりました。

 しかし、2012年にはフーガをベースとしたハイブリッド専用車として復活し、現在に至ります。

 そして今回、2度目の生産終了となることが濃厚のシーマですが、その背景にはやむを得ない事情があるようです。

 まず、挙げられるのがセダンの不振です。シーマが登場した1980年代ではセダンこそがクルマの基本というべきボディタイプでしたが、最近ではより多人数乗車が可能なミニバンや、よりスタイリッシュでデザイン性に富んだSUVが主流となりつつあります。

 実際に、日産でも「シルフィ」や「ティアナ」、「ティーダ ラティオ」といったコンパクト、ミドルクラスのセダンがこの10年で生産終了となっており、今回シーマとフーガの生産が終了すれば、日産の国内ラインナップにおけるセダンは「スカイライン」のみとなってしまいます。

 北米や欧州、中国など、世界で見ればまだまだセダン人気の高い市場はありますが、現在のシーマとフーガは、基本的には日本国内専用モデルです。

 国産セダンの代表格であったトヨタ「クラウン」さえも販売不振となっている現状を見ると、国内専用の高級セダンというのは、もはやビジネス的には難しいのかもしれません。

 また、バブル期と比べて、プレミアムブランドのクルマが手に入りやすくなったというのも、シーマとフーガの生産終了の遠因となっているといえます。

 シーマの価格(消費税込)は、823万1300円から933万1300円となっていますが、同程度の価格帯でメルセデス・ベンツ「Eクラス」やBMW「5シリーズ」、アウディ「A6」といった海外プレミアムブランドのセダンを購入することができます。

 こうした強力なライバルたちと比べると、価格帯が近いにもかかわらず、ブランド力や機能面で劣るシーマを積極的に選ぶというユーザーは少ないようです。

 そして、日産の目指す今後の方向性も、シーマやフーガにとっては向かい風でした。

 もっとも電動化に熱心な国産自動車メーカーのひとつである日産では、2021年11月、今後5年間で約2兆円の投資をおこない、さらに電動化を加速させていくことを発表しました。

 加えて、2030年度までには15車種の電気自動車(EV)を発売することも明らかにしています。

 そうした方針のなかで、基本設計が古い現状のシーマやフーガが淘汰されていくことは必然だったといえます。

※ ※ ※

 今後、新たに開発されるであろう新型プラットフォームを使用した電動車に、「シーマ」や「フーガ」の名前を冠する可能性は否定できないでしょう。

 ただ、EVをはじめとする電動車にとっては、セダンがもっとも合理的なボディタイプというわけではありません。

 むしろ、居住性が高く、多くのバッテリーを搭載できるSUVなどのほうが適しているということもできます。

 そのように考えると、今回明らかになったシーマとフーガの生産終了は、セダンというボディタイプそのものの終焉が近づいていることを示しているといえるかもしれません。

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