月々定額ってホントにお得? 新車の「リース」と「サブスク」何が違う? どんな人に最適?
くるまのニュース / 2022年4月13日 17時40分
クルマを購入するより出費が抑えられる方法として「カーリース」と「サブスクリプション」がありますが、それぞれのメリットとデメリットはどのようなところのあるのでしょうか。
■「カーリース」のメリットとデメリットは?
これまでクルマを使うには「現金一括」や「ローン」で購入して所有するのが一般的でしたが、最近は、購入するより出費が抑えられる方法として「カーリース」や「サブスクリプション(サブスク)」を利用する人が増えています。
カーリースとサブスクは似たような仕組みのように思われますが、その違いはどのようなところにあるのでしょうか。
まず、カーリースとは、オフィスで使用するOA機器のリースと共通項が多い「リース契約」の一種で、クルマ購入にかかる全費用(車両本体価格+自動車税や重量税+自賠責保険料)から最初に設定した残価(契約終了時のクルマの価値)を差し引き、月々定額で支払うというものです。
カーリースの最大のメリットは、クルマを手放すときに発生する「下取り(売却時のクルマの資産価値)」が人気や景気によって左右されるのと違い、あらかじめ双方で「残価」が決定しているので、その分は支払わなくても良いことから月々の支払い額が低く抑えられるところにあります。
自分で駐車場を用意する必要はありますが、クルマを購入したのと同じ状態で乗れるというのもメリットとなり、希望ナンバーを取得することも可能です。
なお、書類上ではリース会社がクルマを所有し、契約者に一定期間貸し出しているということになります、車検証の「所有者」はリース会社、「使用者」は契約した人になるということです。
ただし、これはローンで購入したときもほぼ同じで、ローンの支払いが終わるまでは所有者はローン会社、ローンを組んで購入した人は使用者となります。
もうひとつのメリットは、契約当初にまとまったお金(頭金)がいらないということです。
購入の場合は「頭金」を用意して月々の支払い額を抑えることが多いのですが、カーリースの場合は諸経費なども含んだ毎月定額の支払いのみで済みます。
そのため、毎年ゴールデンウイーク頃に届く自動車税の支払いや車検などを気にする必要がありません。
ほかにも、リース契約終了時に設定された残価を支払えば自分のクルマにできるということもメリットでしょう。数年乗ってみて気に入ったら買い取ることもできますし、乗り換えるのであればそのまま返却すれば良いのです。
そんなカーリースにもデメリットはあります。ひとつ目はリース満了までいくつかの制限が設けられていることです。
たとえば年間の走行距離に制限がかけられており(たいていは月1500km程度といわれています)、大幅なカスタムも認められていません。取り付けたエアロパーツやアルミホイールなどは返却時に純正品に戻す必要があります。
また、基本的に契約期間中は内容の変更ができず、解約するときは違約金や追加精算が発生します。つまり、カーリースは満了まで契約を維持し続けることが前提になるということです。
お得なカーリース利用方法としては、3年(初回車検終了時まで)または5年(2回目車検終了時)の契約とし、3年か5年乗ったのちに手放す、またはさらに長く乗りたいのであれば残価を支払って所有することになります。
■「なぜカーリースでクルマに乗ってるの?」利用者に聞いてみた
一方で、新しいクルマの乗り方として、メーカー各社が力を入れているのがサブスクです。
定額制の音楽ストリーミングサービスのように、ある商品やサービスを契約期間中は定額で利用できるサービスのこと。つまりカーリースはサブスクの一種ともいえます。
ホンダのサブスク「ホンダマンスリーオーナー」の概要
カーリースとサブスクの大きな違いは、契約期間の長さです。
もちろんサブスクでも数年単位で契約できますが、多くのカーリースが車検時のタイミングまでの長期契約であるのに対し、サブスクは半年単位での自動更新が多く、ホンダのサブスク「ホンダ マンスリー オーナー」などは最短1か月で違うクルマに乗り換えが可能です。
極端な例ですが、頭金を用意しなくても年間12台もの新車に乗ろうと思えば可能ということになります。
また、トヨタやホンダなどは任意保険料まで入った定額制となっており、損害保険会社が展開しているサブスクの場合も保険料は含まれています。
ただしサービス会社によっては、任意保険は自分で加入するものもあります。
サブスクのデメリットはカーリースとほぼ同じで、「走行距離制限がある」「大幅なカスタムはNG」「契約期間中は解約に違約金がかかる場合がある」といった具合です。
またコミコミのサブスクの場合、頭金が不要である代わりに月々の支払い額はどうしてもローンより割高な印象になりがちです。
それでも初期費用はクルマを購入するよりグッと抑えられるので、まとまった金額を必要としない、ハードルが低い買い方ともいえます。
ちなみに「大幅なカスタムNG」は原則ですが、冬に必要なスタッドレスタイヤはカスタムではなく消耗品となるため、任意で交換が可能です。
また、傷付けた場合は別途費用が発生する場合がありますが、走行上でよくありがちな飛び石などによる1、2cm程度の凹みや傷などの軽微な損傷程度なら修理費を請求されることはほとんどありません。
しかし、バンパーを擦ってしまったなどの軽微な修理も自分で直すことを禁じているサブスクも多く、その場合はサービス会社へ報告し、指定する修理工場でのみ修理可能。この辺りはメリット・デメリットが入り混じっています。
また、サブスクの利用に関しての注意事項のひとつに「車内は禁煙」があります。クルマのなかで喫煙する人は留意したい点です。
※ ※ ※
実際にサービスを利用している人に話を聞いてみました。ホンダのカーリースを利用して「シャトル」に乗っているFさん(会社員・50代)は、初期費用の安さが利用のポイントだったといいます。
「それまで乗っていたクルマが突然壊れてしまって。子どもの学費などもあり、まとまった頭金を用意できなくてもマイカーとして活用できるシャトルを入手しました」
Fさんが契約した期間は5年。つまり2回目の車検までは確実に乗ろうという考えがあってのこと。
長く乗るほどに月々の支払い額は下がり、残価も事前に設定されているので、出費を把握しやすいのがメリットだといいます。
「私みたいに1台のクルマを長期間乗る人にとってカーリースは向いていると思います。
カスタムにも興味がなく、交換するとしたらスタッドレスタイヤくらい。ナンバー取得もお任せでしたし、定期点検や消耗品交換などもコミコミだったので、余計な出費を抑えられたのは助かりました」(カーリース利用者のFさん)
Fさんはマイカー通勤している上に、出張などで長距離のクルマ移動もかなり多く、そのぶんカーリース契約満了時には走行距離に関しては別途精算が必要になるようです。
「5年近く経過しましたが、ハイブリッドなので燃費性能も良く、借りている駐車場にも収まりますし、荷物が大量に積めます。
ラゲッジスペースに細かい傷が付いているので、その辺りも含めて、そのまま残価を支払って購入してしまおうかと考えています」(カーリース利用者のFさん)
一方のサブスクはどのような人にメリットがあるのでしょうか。Fさんを担当するディーラーのスタッフに話を聞いてみました。
「それほど長距離を走る機会がなくても常に最新モデルに乗りたいという人がけっこう多いのですが、そのような人にとって、諸経費の支払いもなく定額で乗れるサブスクは最適だと思います」
近年は、安全装備の運転支援技術などが毎年のように進化しており、最新のモデルに乗り続けたいと考えるのも一理あります。
また、独身→結婚→出産のようにライフステージの変化にも対応しやすい面を考慮すると、サブスクはかなり便利なサービスです。
「ご注意いただきたいのは、故障を未然に防ぐためにも6か月ごとの無料点検は忘れずに受けてほしいことです。
また短期契約の場合はどうしても割高になってしまいますので、長くお付き合いいただけるほうが、結果としてオトクになります」(ディーラースタッフ)
カーリースとサブスクは似ている部分も非常に多いサービスですが、事前に残価を設定するため、クルマを手放すときの下取り査定額の低さにがっかりすることがないのが一番のメリットかもしれません。
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