新型コロナ禍はカーライフへどう影響? 車の利用目的や保有年数に変化 詳細調査で浮き彫りになった実情とは
くるまのニュース / 2022年4月24日 8時10分
日本自動車工業会が2021年度の「市場動向等調査」の結果を公開しました。これによると、新型コロナ禍とカーライフとの関係性が明らかになりました。
■新型コロナ禍の外出自粛で自家用車の使われ方が変化
2020年1月に新型コロナウイルスの感染者が初めて国内で確認されて以降、在宅勤務でリモートワークになったり、遠出の旅行を控えて自宅の庭でテントを張ってキャンプ体験をしたりと、「新型コロナ禍」において人々のライフスタイルに変化が生じています。
そして今回、新型コロナ禍がカーライフにも影響を及ぼしていることが明らかになりました。
自動車メーカーや二輪メーカーなどでつくる業界団体の日本自動車工業会(自工会)から、新型コロナ禍と新車購入との関係性について、興味深いデータが示されたのです。
日本自動車工業会では、2年に一度「市場動向等調査」をおこなっており、直近の2021年度版を2022年4月20日に公開。
これには、乗用車市場動向調査や、軽自動車使用実態調査、そして二輪車市場動向調査がありますが、そのなかでも乗用車市場の動向にはどのような傾向があったのでしょうか。
調査期間は、2021年10月1日から12月16日おこなわれ、調査方法は訪問による面接、アンケート調査票を留置やウェブでの回答を併用。調査地域は全国の単身世帯を含む一般世帯を対象としています。
サンプル数は、21の大都市で1455世帯、6万世帯以上の市で1410世帯、4万世帯以上の市で405世帯、2万世帯以上の市で555世帯、2万世帯未満の市で330世帯、そして町村で345世帯の合計4500世帯におよびました。
回答者は、自動車保有世帯では、直近で購入したクルマの主な運転者。また、自動車を保有していない世帯では、運転免許の保有者または家計の中心者としています。
調査は、大きくふたつの領域に分かれています。ひとつは、特定の案件について調べるトピック調査と、もうひとつは過去から継続的に実施している時系列調査です。
トピック調査のひとつである、新型コロナウイルス感染症拡大の影響についての調査報告を見ていきます。
最初に、移動手段の変化を四輪自動車保有世帯に聞いたところ、自家用車の利用は増えたと答える人が多い反面、公共交通機関、新幹線、飛行機などの利用が減ったと答える人が多くなりました。3密を避けて自家用車利用が促進されたのだといえるでしょう。
また、感染拡大によって減少した生活変化については、外食の時間や機会、友人や知人との時間や機会、長距離の移動を挙げる人の割合が高くなりました。
外出の頻度で減少した項目としては、宿泊を伴う国内旅行、日帰り国内旅行、アウトドアやレジャー、ドライブの順番で上位の回答です。
自家用車の利用減少で見ると、日帰り国内旅行、宿泊を伴う国内旅行、アウトドア・レジャー、ドライブ、帰省という順番だったので、外出の頻度の減少が自家用車の利用頻度の減少に直接関係していることがよく分かります。
そして、今後1年の行動変化について、宿泊を伴う国内旅行、日帰り国内旅行、アウトドア・レジャー、ドライブという4項目で、外出頻度と自家用車利用での予測を聞いています。
それによると、それぞれ現時点と「変らない」とする人が半数以上を占め、残りの4割程度のうち、「増える」が「減る」を若干上回るという結果になりました。
※ ※ ※
今回の調査をおこった2021年10月上旬から12月中旬は、新型コロナ禍の第5波が終息し始めて世の中全体がいったん落ち着いた雰囲気になったものの、第6波の兆候が徐々に見え始めてきた時期です。
回答者の多くが、「これでなんとか普通の生活の戻れるのかもしれない」という希望を持っており、そうした思いが今後1年の行動変化に対して、やや前向きな姿勢を示したのかもしれません。
■クルマの維持費を負担に感じる人が増加
次に時系列調査の内容を見てみましょう。
乗用車の保有状況ですが、世帯全体に占める保有率は2021年度が78%で、2019年の先回調査の80%から若干ですが減少しています。
クルマの維持費を負担に感じる人が増加
自工会が示した図表では、2003年から2年毎の数値が示されましたが、2003年から2021年まで80%前後をいったりきたりという状況が続いています。
2021年度の保有率78%を属性別で見てみると、地方圏は82%で、年収第5分位(880万円以上)では89%となります。
また、結婚して家族ができる家族形成期の保有率は81%、子どもが育ち始める家族成長前期では91%と高くなり、家族成長後期では86%、そして子どもが巣立っていく家族成熟期でも86%を維持するという推移を示しています。
こうした属性による違いは、2013年、2015年、2017年、2019年という過去データと大きな変化はないようも思えます。
また、車系別の保有割合(購入時期が新しい順1台目+2台目)では、軽自動車の割合が2015年は35%、2017年は37%、2019年は38%、2021年は34%となっています。
主な運転者の性別では、2021年度は男性が53%(うち未婚は9%)で、女性が47%(うち未婚は9%)で、こうした男女比は2015年調査から大きくは変わっていませんでした。
ただし、主な運転者の年齢でみると、2021年度は60歳以上の高齢層が39%となり、2015年の34%、2017年の34%、2019年の32%と比べて伸びているのが特徴です。
主な運転者の主な使用の用途では、の2021年度は買い物・用足しが42%ともっとも多く、ついで通勤通学が31%、仕事・商用が14%、そしてレジャーは14%にとどまります。
そして、クルマの維持費負担については、「負担感が大きい」が12%、また「どちらかといえば大きい」が45%となり、2015年からの過去3回と比べると今回がもっとも高くなりました。
新型コロナ禍で仕事が減ったり、残業代が減るなどして世帯収入が減少した影響が出ているのかもしれません。
購入状況を見ると、直近2年以内の購入者では、概ね同タイプや同クラスから買い替えが多いのですが、特徴的なのは小型で昨今のSUVブームによってSUVの比率が2019年度の22%から一気に50%へ増えています。
保有年数については、2021年度は平均7.1年ですが、10年以上が24%となり、2013年度からの過去データのなかでもっとも高くなりました。
前述のように新型コロナ禍による収入の減少や、昨今の半導体や部品不足による新車の納期遅れにより、新しくクルマを購入するのではなく、いま所有しているクルマを長く乗ろうと考える人が増えたことが考えられます。
※ ※ ※
いずれにしても、今回の調査内容を見る限り、新型コロナ禍の影響によりユーザーの新車購入や自家用車の使い方について、明らかに変化が生じたことは間違いなさそうです。
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