中古車購入の新常識! ハイブリッド車はバッテリーを要チェック!? イマドキ中古車の注意点
くるまのニュース / 2022年5月14日 11時10分
中古車を購入するときは、事故車や過去のメンテナンスナンス歴などを確認するのはもちろんですが、ハイブリッドシステムやコネクテッド機能といった先進的な機能が搭載された中古車は、どのようなところをチェックしたら良いのでしょうか。
■現代のクルマを中古で買うときにチェックする項目は?
現在、半導体不足による新車の納期遅れが深刻化したことで、すぐに乗れる中古車の人気が高まっています。
また、世界的な自動車製造の減産や、原油高、急激な円安などを受けて新車価格も値上がり傾向。そうなると手頃で程度のいい高年式の中古車に人気が集中するのも納得です。
中古車を購入する場合は、事故歴の有無や過去のメンテナンスナンス歴の確認など、今まで通りのチェックをするのはもちろんのこと、比較的新しいモデルになるとハイブリッドシステムやコネクテッド機能の搭載など、これまでのとは違うチェック項目も増えています。
製造年から時間がそれほど経過していない高年式の中古車を購入する場合は、どのようなことに注意したら良いのでしょうか。
高年式の中古車で増えているのが、ハイブリッド車です。
ガソリン価格の高騰が続いているなかで、燃費の良いハイブリッド車を選びたいという人も多いと思いますが、ハイブリッドの中古車選びにおける難点がメインバッテリーの状態が見た目だけでは分かりにくいことでしょう。
都内の中古車販売店のオーナーN氏に話を聞いてみましたが、メインバッテリーの状態は販売店でも把握しきれないようです。
「以前のハイブリッド車はニッケル水素電池を搭載していましたが、現在の主流はリチウムイオン電池です。
しかし、このメインバッテリーの状態は走行距離だけでは把握できないんです。
メーカーの保証期間はだいたい5年または10万kmとなっていますが、前オーナーの走行パターンによってバッテリーの劣化具合が違ってくるので、判断しにくいのです」
スマートフォンもそうですが、バッテリーは放電と充電を繰り返すたびに劣化が進み、蓄電量が減少していきます。ハイブリッド車の場合はガソリンエンジンの駆動力でも走れることから、バッテリーの劣化を体感できても交換まではしないケースが多いそうです。
「バッテリーが劣化するとモーターのアシスト量が減り、燃費は悪化します。
ハイブリッド車を中古で購入したオーナーのほとんどが新車の状態を知らないので、悪化した燃費も『こんなものだろう』と考えてしまいがちなんです」(中古車販売店オーナーN氏)
最近ではハイブリッド車のメインバッテリーもかなり安くなりましたが、少し前のモデルに適合するバッテリーは15万円から40万円程度とかなり高額です。
安く買ったはずの中古車なのに、メインバッテリー交換で高額な費用が発生しては意味がなくなってしまいます。
「当然ながらバッテリーは消耗品ですので、ある程度の年式になれば交換が必要になります。さらに、使われていないメインバッテリーも自然放電で劣化が進む場合もあります。
ハイブリッドの中古車では1年1万kmを目安に、年式と走行距離のバランスが取れた車両を選ぶほうが安全ともいえます」(中古車販売店オーナーN氏)
■メインバッテリーだけじゃない! 中古HV購入時の落とし穴!?
ハイブリッド車の場合、メインバッテリーのほかに補機用バッテリーの状態も確認する必要があります。
ハイブリッド車にはメインバッテリーとは別に、カーナビやパワーウインドウ、ドアロックなど電装品用に一般的な鉛電池の12Vバッテリーも搭載されています。
つまり、バッテリーがふたつ搭載されているのですが、ハイブリッド車の場合は補機用バッテリーの状態も確認する必要があります。
ハイブリッド車「プリウス」のエンジンルーム
「補機用バッテリーには、ハイブリッドシステム自体を稼働させるという大きな役割があります。
いずれかのバッテリーが劣化してしまうと、ハイブリッドシステム自体に不具合が出ることが考えられます」(中古車販売店オーナーN氏)
補機用バッテリーは、リチウムイオンのメインバッテリーよりは状態を確認しやすいので、購入前にお店に確認し、新品に交換してもらえるかを相談してみると良いでしょう。
「購入後に自分で確認することも可能ですが、ハイブリッド車の補機バッテリーはボンネット内には設置されていないことも多いのです。
リアシート下やトランクルームの内側など、直接目視できないところに設置されていることがあります。
後から交換となると工賃がプラスされてしまいますので、購入前にチェックしてもらうのが得策だと思います」(中古車販売店オーナーN氏)
ハイブリッド車のバッテリー類以外にも確認したいのが、最近各メーカーが力を入れている「コネクテッド機能」です。
これはインターネットを介してさまざまな情報サービスを活用できる機能のことで、たとえば車載コンピュータで計測した自車の故障や事故などに遭遇した場合、自動で警察や消防などに緊急通報をかける「緊急通報システム」などがこれに該当します。
各メーカーがコネクテッドサービスを展開していますが、中古車購入後に利用する場合は必ず再登録する必要があります。
ほかにもチェックしたいのがナビゲーション機能です。
最近ではさまざまな情報を表示するインフォメーションディスプレイ機能とモニターを共用することも多いカーナビですが、地図データの古さはともかく、正確な場所が表示されなかったり、動作自体に問題があるなど、修理するとなると高額な費用がかかるとされています。
「とくにハイブリッド車の場合は車載コンピュータとも連動していて非常に複雑なシステムになっているため、専用の設備があるディーラーでないと直せない可能性が高いです。
またコネクテッド機能やマルチインフォメーション機能と連動していなくても、純正ナビの故障は非常に高額になりがちで、新品に交換するほうが安い場合もあります」(中古車販売店オーナーN氏)
現在の半導体不足はクルマ本体だけでなく、カーナビなどにも影響しており、修理部品が不足している状況。修理したくても直せない状況になる可能性もあるので、しっかりチェックしたいところです。
「高年式の中古車は、事故歴のあるクルマでない限りパワーユニットや足回りの不具合以上に、バッテリーの状態と電装品がしっかり機能する状態かの確認は忘れずにチェックしていただきたいです。
また、購入前にそういった疑問や相談に対応できないお店での購入自体やめるという選択肢も持っておいたほうが良いでしょう」(中古車販売店オーナーN氏)
※ ※ ※
低燃費のハイブリッド車を中古で購入する際には、それなりのメンテナンスが必要です。
ハイブリッド車が広く普及したことによって、中古でもハイブリッド車の選択肢がさらに広がることが予想されます。
年式や走行距離、キズの状態といった通常のチェック項目以上に、バッテリーの状態の確認もしっかりおこないましょう。
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