トヨタ「アルファード」顔の「新型ミニバン」発表! ド迫力グリルの高級志向「iMAX8 EV」を元ローバーから中国に投入!
くるまのニュース / 2022年5月12日 10時10分
2022年5月5日に中国市場で発売されたロエウェの高級EVミニバン「iMAX8 EV」。迫力のあるグリルからトヨタ「アルファード」のような印象を受けますが、実際にはどのようなモデルなのでしょうか。
■もろにアルファード顔ミニバン! ロエウェの高級EVミニバン「iMAX8 EV」発表!
中国の自動車メーカー「上海汽車(SAIC)」は、自社の展開するブランド「ロエウェ」から高級EVミニバン「iMAX8 EV」を発表し、2022年5月5日から現地で販売されているようです。
中国では近年、高級ミニバン市場の競争が激化していますが、トヨタ「アルファード」のような迫力のあるフェイスデザインを特徴するiMAX8 EVですが、実際にはどのようなモデルなのでしょうか。
上海汽車は上海市に本拠地を置く中国国営自動車メーカービッグ4のひとつで、中華人民共和国成立以前より存在した自動車修理工場に端を発します。
その後、ベストセラーとなった「上海 SH760」などを世に送り出したり、1984年にはフォルクスワーゲンとの合弁会社「上海フォルクスワーゲン」を設立したりと、上海における自動車産業の象徴的存在となっています。
とくにフォルクスワーゲンとの提携は上海のみならず、中国全体において歴史的な転換点の一つといえます。
時のトウ小平国家主席は1980年代、これまでの中国経済を大胆に変革させるために外資を積極的に導入する「改革開放」へと舵を切りました。
そのようななかで、フォルクスワーゲンの中国上陸は欧州メーカーでは初めてのことであり、これを機に上海からフォルクスワーゲンの車は中国全土へ広まっていきました。
最初に生産された車種はフォルクスワーゲン「サンタナ」でしたが、今でも上海の街中ではそのサンタナたちを含む多くのフォルクスワーゲン車がタクシー、警察車両、救急車、そして人民の足などとして活躍しています。
一方で、合弁会社以外でも上海汽車はここ十数年で大きく発展しました。もっとも記憶に新しいのは、2000年代初頭に行った大規模な買収劇でしょう。
2005年に倒産したイギリスの名門自動車会社「MGローバー」は、ブランドの使用権や生産設備、設計図などが複数の自動車会社によって獲得されましたが、なかでもローバー「75」や「25」の生産設備と技術は上海汽車の所有になりました。
上海汽車はブランド使用権の買収も目論んでいましたが、MGブランドとその生産設備は南京汽車が、ローバーブランドはフォードへと売却され、そのふたつの獲得に失敗します。
その後、上海汽車は新生MGを展開していた南京汽車ごと買収、MGを傘下に収めます。そして、ローバーに関しては新ブランド「ロエウェ」を立ち上げ、旧ローバー車種がベースとなる新モデルの生産から始めることになりました。
今回、紹介する「ロエウェ」とは、元々は「ローバー」の名前で知られていた自動車ブランドになるのです。
ロエウェの始まりはそれまでのローバー車種を継続して生産していたものですが、2010年代の始まりからロエウェ独自車種の販売を始めます。
現在ではセダンのみならずステーションワゴン、SUVなどのボディタイプに、ガソリンやハイブリッド、純電動などのさまざまなパワートレインを用意。
そのなかで、iMAX8は、2019年の広州モーターショーで公開された「Vision-iM コンセプト」の市販モデルで、ロエウェ初のミニバンとなります。
奇しくも、同じ2019年の上海モーターショーではレクサス初のミニバン「LM」や、ビュイックの中国専売ミニバン「GL8」の高級コンセプトモデルが発表されるなど各社ともミニバンの話題で持ちきりでした。
iMAX8の市販モデルは2020年の北京モーターショーで発表されてすぐに販売が始まりましたが、当初はガソリンモデルのみのラインナップでした。それがこの度、ようやく純電動モデルが選択可能になった形になります。
■アルファード風EVともいえる「iMAX8 EV」の特徴とは
スペックを見ていきましょう。
純電動モデルでは20A4E型2リッター直列4気筒ターボエンジンと8速オートマチックトランスミッションが、容量90kWhのバッテリーと出力180 kWのモーターを組み合わせたパワートレインに置き換えられ、中国独自のCLTC基準では550 kmの航続距離を誇ります。
ボディサイズは全長5016mm×全幅1909mm×全高1782mmと、トヨタ「アルファード」とほぼ同一、もしくはほんの僅かに大きいという印象です。ちなみにホイールベースはアルファードの3000 mmと同一です。
非常に洗練されたボディに存在感のあるフロントマスクが組み合わさった特徴的な外装デザインは、ロエウェデザインの近年の流れを踏襲しています。
グレードは3つ用意され、それぞれ27万9800元(邦貨換算:約540万5700円)、29万6800元(約573万4400円)、32万9800元(約637万2000円)。
高級感のある内装を持つ新型ミニバン「Roewei MAX8 EV」(画像:SAICの公式Weiboより)
中国では近年、ミニバン市場が加熱の一途をたどっており、各社とも高級ミニバンをラインナップに取り揃えています。
今回のiMAX8 EVは珍しく純電動のミニバンとなっており、その点でもライバル車種たちに対して一定のアドバンテージを有しているというえるでしょう。
とはいえ、アルファード一強となっているこの中国ミニバン市場に参入するにはかなりの覚悟が必要です。
アルファードを求める層はいくら価格が関税などの影響で2000万円近くになろうと、「アルファード自体のイメージ」に憧れて購入しています。
ライバルたちはいかに「アルファードまでは求めない層」に、純電動パワートレインや価格面での優位性をアピールできるかが課題となりそうです。
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