まさに好景気ならではの名作ぞろい! バブル絶頂期に発売された正統派セダン3選
くるまのニュース / 2022年5月14日 6時10分
日本の自動車市場では1990年代の後半まで、セダンが隆盛を極めていました。とくに平成初期には数多くの優れたセダンが誕生。そこで、バブル期にデビューした優れた正統派のセダンを、3車種ピックアップして紹介します。
■高評価だったバブル期発売の正統派セダンを振り返る
1990年代の半ばから、日本の自動車市場ではミニバンが爆発的に売れました。そのためファミリーカーの座はセダンからミニバンへと急速に移行し、次第にセダンの人気が低迷する結果となりました。
一方、それ以前のセダンはまさに隆盛を極めていた状態で、各メーカーから数多くのモデルが販売され、販売台数のランキングにおいても上位はセダンによって占められていたほどです。
なかでも1990年前後のバブル景気の頃は、潤沢な開発費が投入されたことから名作と評されたセダンが次々と登場しました。
日産初代「シーマ」やトヨタ初代「セルシオ」、三菱「ディアマンテ」などがその代表格でしたが、もっと安価なモデルでも優れたセダンが存在。
そこで、バブル期にデビューした正統派セダンを、3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ4代目「アコード」
シックなデザインに回帰して品質にもこだわって開発された4代目「アコード」
ホンダは1972年に発売した初代「シビック」の大ヒットを受け、さらに新世代モデルの拡大を開始し、1976年には初代「アコード」が誕生しました。
アコードはシビックの上位に位置づけられたモデルで、当初のボディタイプは3ドアハッチバッククーペのみでしたが、後に4ドアセダンが加わると販売の主力となりました。
その後、1985年に登場した3代目では当時の流行であるリトラクタブルヘッドライトを採用し、斬新かつシャープなフォルムのセダンへと変貌を遂げ、同時に2リッターDOHCエンジンを設定するなど、スポーティセダンとしてのイメージが強調されました。
ところが、1989年に登場した4代目では、薄型異形マルチリフレクターヘッドライトを採用したフロントフェイスのシックなデザインへと一新。「90’s アコード」のキャッチコピーどおり、新時代のアコードであることを前面に押し出しました。
外観のスタイリングでは角を丸くすることでボリューム感を持たせるとともに、奇をてらわない比較的シンプルなデザインのフォルムを採用。
エンジンはトップグレードの「Si」に搭載された最高出力150馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCを筆頭に、2リッター直列4気筒SOHCのインジェクション仕様とキャブレター仕様、1.8リッターのキャブレター仕様の4タイプが設定されました。
足まわりは当時のホンダ車では定番の4輪ダブルウイッシュボーンで、3代目「プレリュード」に搭載された舵角応動タイプの4輪操舵システムをメーカーオプションとするなど、優れたハンドリングと走行安定性を両立していました。
4代目アコードは決してハイスペックなモデルではありませんでしたが、バブル景気を背景に内外装と走りの品質にはかなりこだわって開発された、シリーズのなかでも高く評価されたモデルでした。
●日産初代「プリメーラ」
シンプルなスタイルと優れたハンドリング性能が高く評価された初代「プリメーラ」
日産のクルマづくりにおいて、大きな転換期となったのが1980年代の終わり頃で、8代目「スカイライン(R32型)」、4代目「フェアレディZ(Z32型)」、5代目「シルビア(S13型)」、前述の初代シーマなど、名作が次々とデビューしました。
そして1990年には、ユーティリティなどの基本性能とハンドリング性能を追求した新たなFFセダンである初代「プリメーラ」が誕生。
外観はまさに正統派セダンといったスタイリングですが、欧州での販売を重点に置いたことから高速走行を考慮して空力性能が高められていました。
室内は前後長に余裕を持たせて前席、後席とも良好な居住性を確保。トランクはゴルフバッグ4つが格納できるサイズ・容量とするなど、優れたパッケージングを実現していました。
エンジンは1.8リッターと2リッターの直列4気筒DOHCの2タイプで、トップグレードの「2.0Te」には最高出力150馬力を発揮する「SR20DE型」を搭載し、トランスミッションは全車に5速MTと4速ATを設定。
そして、初代プリメーラのハイライトだったのがサスペンションで、フロントに新開発のマルチリンク、リアはパラレルリンクストラットの4輪独立懸架とされ、高い直進安定性と良好なハンドリング性能、乗り心地を高度にバランスしたことで、日本のみならず欧州でも高く評価されました。
初代プリメーラはオーソドクスなミドルクラスセダンでしたが、多角的に優れたモデルとして日本と欧州でヒットを記録しました。
●三菱6代目「ランサー」
基本性能を高め、あらゆるニーズに対応するラインナップを展開した6代目「ランサー」(画像はV6モデル)
かつて、三菱の主力セダンの1台だった「ランサー」といえば、ハイスペックモデルの「ランサーエボリューション」シリーズがイメージリーダーでしたが、その第1弾だった1992年発売の「ランサー GSRエボリューション(ランエボI)」誕生の礎になったのが、6代目ランサーです。
1991年に発売された6代目ランサーは、先代が3代目「ミラージュ」の姉妹車だったのに対し、ミラージュとは共通性のない専用デザインを採用。
基本性能を追求するとともに、機能装備を磨き上げ、環境、安全にも配慮した新時代にふさわしいセダンとして開発されました。
全長と全幅を拡大して広い室内空間を確保し、そのうえでフロントオーバーハングを縮めホイールベースとリアオーバーハングを延長して、荷室容量も増加。
エンジンラインナップは当時量産車では世界最小の1.6リッターV型6気筒に、1.3リッターと1.5リッター直列4気筒SOHC、1.5リッターDOHC、1.6リッターDOHC、1.8リッターディーゼルターボと多彩で、さらにランエボIのベースだった「GSR」には、最高出力195馬力を誇る1.8リッター直列4気筒DOHCターボエンジンが搭載され、ビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDシステムが組み合わされました。
繰り返しになりますが6代目ランサーがランエボIのベースになったことは、優れた基本性能のセダンだったことの証だったといえます。
※ ※ ※
冒頭で紹介した4代目アコードですが、発表日には姉妹車の「アスコット」、アコードの上位モデルである「アコード インスパイア」に「ビガー」と、今では考えらませんが4台ものセダンが同時にデビューしました。
また、最後に紹介した6代目ランサーに搭載された1.6リッターV型6気筒エンジンも、もう二度と出ることがないであろう特異なエンジンです。
まさに、バブル景気のならではといえるクルマたちでした。
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