今年も「税金払え!!」の封書がやってきた! 家計にも負担大の自動車税 いったい何に使われる?
くるまのニュース / 2022年5月17日 11時10分
ゴールデンウイークが過ぎた時期から、クルマのオーナーには一通の封書がやってきます。これは各都道府県の自動車税事務所から来る納税通知書で、5月31日までに納付しないといけません。そもそも自動車税とはどんな税金なのでしょうか。それにはどんな問題があるのでしょうか。
■そもそも自動車税ってどんな税金?
毎年、ゴールデンウィークが終わったこの時期に、クルマのオーナーの元には封書が送られてきます。そう、自動車税の納付用紙です。
その税額は初度登録(新車としての登録)の時期とエンジンの大きさ(総排気量)によって異なります。
2019年9月30日以前に初度登録されたクルマの場合、排気量1リッター超から1.5リッター以下は3万4500円、1.5リッター超から2リッター以下は3万9500円、2リッター超から2.5リッター以下は4万5000円です。
一方、2019年10月1日以降に初度登録されたクルマは、1リッター超から1.5リッター以下は3万500円、1.5リッター超から2リッター以下は3万6000円、2リッター超から2.5リッター以下は4万3500円です。
そのルーツは古く、1879年に創設された道府県税「自動車税」を直接の起源とします。
その後、数度にわたる税額の引き上げ、ホイールベースによる税率区分から排気量による税率区分への変更、小型車と普通車との格差の縮小、グリーン化特例の導入などがおこなわれ、現在に至っています。
この毎年送られてくる納付書を見て、その重税感にため息をつく人も少なくないでしょう。そして気になるのは、いったいどれくらいの自動車税が集められ、それが何に使われているのかということです。
じつは、自動車税は普通税に区分される地方税(都道府県税)で、その使い道は特定されていません。つまり都道府県が自らの財源として自由に使える税金なのです。
そして世の中の1台1台のクルマのオーナーがすべて納める税金なので、その総額は膨大なものとなります。
たとえば群馬県の令和2年度予算(一般会計・当初予算)を見てみると、自動車税の税収として359億9992万円が計上されています。これは同県の歳入の約4.8%にあたります。
この数字を見て「5%弱なら、それほどでも」と思う人もいるかもしれません。しかし歳入の約半分は国からの地方交付税や国庫支出金などによる依存財源で、県そのものの自主財源で考えると、自動車税の占める割合は約9.1%に、さらに県税というくくりで考えると、じつに約14.6%が自動車税によりまかなわれているのです。
ここでは例として群馬県を挙げましたが、このように「都道府県の歳入のかなりの部分がクルマのオーナーからの徴税でまかなわれている」というのは、全国に共通する構図です。
もちろん「県の歳出に道路整備も含まれているのだから、クルマのオーナーが相応の負担をするのは当然だ」という意見もあるでしょう。
しかし群馬県の同年度予算では「自動車交通網の整備」に約230億円、「歩行者・自転車の安全な移動空間の確保」に約17億円と、県民が納めた自動車税よりも(相対的に)少ない金額となっているのです。
■13年超のガソリン車は15%重課するのはSDGs時代に逆行している!?
また自動車税は、その仕組みそのものにも疑問が沸く部分が少なくありません。
初代ユーノス「ロードスター」。新車新規登録から13年を経過するガソリン車は、税額が通常より約15%高くなる
たとえば自動車税の税額が、初度登録2019年9月と10月を境に異なるのは、消費税増税がクルマ販売に与える影響を少なくするためにおこなわれたものとされています。
つまり同じクルマであっても、購入時期により税金が異なるという不合理が生まれているのです。もし1.5リッター超から2リッター以下のクルマを10年間乗るとすると、納税の差額は5万円にまで広がります。
この制度について、JAFがおこなった「2021年JAF自動車税制に関するアンケート調査」では「減税措置を評価しており、内容も十分である」と答えたドライバーはわずか1%で、逆に89%の人が「減税措置の対象は、現在保有している自家用乗用車も対象とするべき」と答えていることからも、多くの人が疑問に思っていると考えていいでしょう。
さらに自動車税は、初度登録からの経過年数で重課(増税)となる措置も導入されています。
これは平成13年度税制改正で創設された「自動車税のグリーン化特例」により減税となる負担を車齢の大きなクルマに“ツケ回す”制度で、現在は初度登録からガソリン車は13年超、ディーゼル車は11年超のクルマにおおむね15%重課するというものです。
もちろん政治の役割として、環境の保護は大きなテーマです。しかし新しくクルマを買うだけの経済的余裕のある人を優遇し、その負担を古いクルマを大切に乗っている人に押しつけるというのは、道理にかなっているとは思えません。
日本の自動車税制は、国税(自動車重量税、ガソリン税など)と地方税(自動車税、軽自動車税、環境性能割)などが入り交じり、自動車の取得、保有、利用のあらゆる場面で課税される複雑で、かつ納税者に高負担を強いる制度になっています。
昭和から続く“しがらみ”を打ち捨て、単純でわかりやすい自動車税制の実現を目指す時期に来ているのではないでしょうか。
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