18年の歴史に幕を下ろす!? 「セドグロ」の後継車という重責を担った日産初代「フーガ」とは
くるまのニュース / 2022年5月22日 18時10分
かつて、日産の高級パーソナルセダンとして一時代を築いた「セドリック/グロリア」は、2004年に10代目をもって生産終了となりました。そして、後継車として同年に誕生したのが初代「フーガ」です。この初代フーガはどんなクルマだったのか、振り返ります。
■高級スポーツセダンをコンセプトに開発された初代「フーガ」とは
日産の販売会社のひとつである日産東京は2022年5月16日に、日産モータースポーツ&カスタマイズ(旧オーテックジャパン)とコラボレーションし、高級セダン「フーガ」の特別仕様車「プレミアム セレクト エディション」を100台限定で発売すると発表しました。
さらに、このプレミアム セレクト エディションが、フーガのファイナル・バージョンとなることも明らかになっています。
日産は正式にアナウンスしていませんが、フーガは事実上生産終了となるということです。
かつて、日産を代表するラグジュアリーセダンだった「セドリック/グロリア」は、2004年に両モデルを統合した新世代セダン、初代フーガへと生まれ変わりました。
現行モデルのフーガは2009年に登場した2代目で、2019年には安全運転支援システムのさらなるアップデートが図られるなど改良されてきましたが、18年の歴史に幕を下ろすことになります。
そこで、日産の伝統的なラグジュアリーセダンの後継車という重責を担った初代フーガとは、どんなクルマだったのか振り返ります。
※ ※ ※
2004年10月に発売された初代フーガのネーミングは、音楽の形式「フーガ(イタリア語でFuga)」に由来。複数の旋律を積み重ねた楽曲構成が、「優美さ」と「ダイナミックさ」を調和した高級セダンにふさわしいという発想から名付けられました。
また、上品で優美さを意味する日本語の「風雅」からも触発されたネーミングでした。
外観は抑揚のあるボディパネルで構成されボリューム感を演出し、ラウンドしたルーフラインによる流麗なシルエットが特徴となっていました。
ボディサイズは全長4840mm×全幅1795mm×全高1510mmの堂々とした体躯で、とくにワイド感が強調されていました。
内装は当時のセダントップレベルの有効室内長(1880mm)を確保し、前後席のヘッドルームと後席ニールーム/レッグルームなどに、よりゆとりのある室内空間を実現。
また、やわらかなカーブを描くインパネまわりとセンターコンソールを採用して重厚感を演出するとともに、ダッシュボード上面に専用吹き出し口を設け、風を直接体に当てない優しい空調とするなど、おもてなしの心も忘れていませんでした。
ほかにもインテリジェントキーのIDにより、ドライバーを認識して自動的にドライビングポジションをセットする「パーソナルドライビングポジションメモリーシステム」や、専用に音場設計された「BOSEサラウンド・サウンドシステム」を設定するなど、高級セダンにふさわしい装備が搭載されました。
搭載されたエンジンは、最高出力210馬力の2.5リッターと、280馬力の3.5リッターV型6気筒「VQ型」で、グレードはスポーティかつラグジュアリーな「GT」シリーズと、より落ち着きとラグジュアリーさを加えた「XV」シリーズの2ライン構成となっていました。
剛性を高めたシャシに新開発のダブルウイッシュボーンフロントサスペンションとマルチリンクリアサスペンションを採用し、高いステアリングレスポンスと優れた操縦安定性と乗り心地を高次元でバランス。
さらに上位グレードには国産量産車としては初採用となった245/40R19の大径ハイグリップタイヤが装着され、リアアクティブステアと相まって、大柄なボディながら中低速域のワインディングではキビキビとした走りが可能でした。
高級スポーツセダンというコンセプトを明確にした初代フーガは、3.5リッター車でも十分にパワフルでしたが、2005年には「プレジデント」や「シーマ」に搭載されていた4.5リッターV型8気筒の「VK45DE型」を搭載した「450GT/450GTスポーツパッケージ」が加わり、日本車最高レベルの動力性能を達成。
最高出力333馬力の大パワーによって、低回転から高回転の全域における圧倒的な加速性能を誇りました。
また、外観ではV型8気筒エンジンを誇示するかのように左右4本出しのマフラーが装着され、迫力あるリアビューを演出。
初代フーガは長い歴史を刻んできたセドリック/グロリアの伝統を受け継ぎながら、さらに一段上の高級パーソナルセダンとして一定の人気を獲得しました。
※ ※ ※
初代フーガが誕生したタイミングは日産が「V字回復」した後、さらなる成長に勢いをつけた頃で、まさに新時代を象徴するセダンだったといえます。
しかし、近年はセダン人気の低迷が大きく影響して2代目フーガの販売台数は極端に低迷しており、再び時代が変わったことを象徴する結果となってしまいました。
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