ハイエースが欲しい? でもちょっと待って! 商用車オーナーになる前に注意するポイントとは
くるまのニュース / 2022年5月28日 14時10分
コロナ禍が続いているなか、アウトドアレジャーや車中泊をしながらの旅がブームとなっています。そうした用途にマッチしたクルマがワンボックスバンやライトバンで、自転車やオフロードバイクを積んで走りにいくトランポ(トランスポーター)としての用途や、内外装のカスタマイズによって車中泊仕様にも最適ということから、人気上昇中です。しかし、商用車を購入する際には、知っておかなければならないポイントがいくつかあるようです。
■商用車を購入して普段使いする際に知っておかなければならないポイントとは
近年、クルマを使って出かけるキャンプなどのアウトドアレジャーや、車中泊をしながら各地を巡る旅がブームとなっています。その大きな理由のひとつが新型コロナウイルス感染拡大によるもので、密を避けながらも外出を楽しみたいという、まさに「ウィズコロナ」時代におけるライフスタイルの象徴といえます。
そうしたアウトドアレジャーや車中泊に最適なクルマとして人気上昇中なのが商用バンで、トヨタ「ハイエース」や日産「キャラバン」などのワンボックスバン、トヨタ「プロボックス」に代表されるライトバン、またホンダ「N-VAN」や、2021年12月に発売されたダイハツ新型「アトレー」も新世代の軽バンとして人気です。
しかし、商用車をマイカーとして使うには、一般的な乗用車とは異なる、いくつか注意しなければならないことがあります。
そこで、商用車ユーザーになる前に知っておきたいポイントを紹介します。
●ポイントその1:毎年車検を覚悟!
先に紹介したハイエースやプロボックスでは、初年度登録から最初の車検は2年後で、2回目以降は毎年車検を受ける必要があります。
乗用車では初回は3年後、以降は2年ごとなので、商用車は面倒と感じる人も多いのではないでしょうか。
同クラスで比較すると車検でおこなう整備やチェックするポイントは、乗用車でも商用車でも大きく変わらず、工賃や代行にかかる費用はほぼ同じです。
また車検時に支払う重量税は、乗用車の場合、車両重量で決まります。商用車の場合は車両重量と乗車定員分の重量(1人55kgとして計算)、さらに最大積載量を合算した車両総重量で決まり、商用車の方が安くなります。しかし反対に自賠責保険は商用車の方が高くなります。
総合して車検にかかるコストを2年分で比較すると、商用車の方が高くなるケースが多いのです。とはいえ、商用車の車検にかかるコストは自動車税の安さで相殺されるので、大きな問題ではありません。
最終的には毎年車検を面倒と捉えるか、ちゃんと整備して安心と捉えられるかで、検討してみることをおすすめします。
ちなみに軽商用車では、初回も2回目以降も2年ごとの車検となります。
●ポイントその2:タイヤやアルミホイールの選び方に注意!
ハイエースは商用車のなかでも高い人気を誇っており、カスタムパーツが豊富に揃います。キャンピングカーへの改造や車中泊仕様に仕立てるノウハウも充実して、さらに人気の要素になっています。
こうしたカスタマイズでは、当然ながら保安基準に適合することが条件ですが、意外と知られていないのが「タイヤとホイールの交換には注意が必要」ということです。
まず、ハイエース「ロング 標準ボディ 4ナンバー スーパーGL」を例に純正タイヤサイズを見ると「195/80R15 107/105 L LT」となっており、「195」はタイヤ幅(トレッド幅)、「80」が扁平率、「R」がラジアルタイヤ、「15」が内径(ホイール外径)、「107/105」が耐荷重を示すロードインデックス、「L」が許容する速度レンジ、「LT」がライトトラック用(小型商用車用)を表しますが、ここで重要なのがロードインデックスです。
タイヤを交換してもボディからのはみ出しがない、外径の差を同等にすれば大きな問題はありませんが、商用車の場合は耐荷重の数値が車両総重量に適していなければなりません。
仮に商用車に乗用車用の大径低扁平タイヤを装着してしまうと、耐荷重が足りず車検に受からないケースだけでなく、バーストに及ぶ危険な状態になりかねません。
今ではライトトラック用の大径低扁平タイヤが販売されているので、ロードインデックスが高いタイヤの選択肢が増えていますが、乗用車用よりも種類が少なく、高額なのは認識しましょう。
もちろん、乗用車でも耐荷重の数値が車両重量に対応していなければなりません。
さらに、アルミホイールに交換した場合、車両総重量が3.5トンを超え、最大積載量が500kgを超えるクルマの場合は「JWL-T」の刻印があるアルミホイールでなければありません。
これは国内で強度など技術的な基準に適合している証で、見た目を重視して乗用車用ホイールを装着したり、海外から取り寄せたホイールなどでは車検に合格できません(一部、海外の規格でも適合)。
なお、プロボックスなど車両総重量3.5トン以下、最大積載量500kg以下の車両では、法改正によって乗用車用の「JWL」が刻印されたアルミホイールでも適合しますが、ディーラーや整備工場では整備を受け付けないケースもあるようなので、注意が必要です。
●ポイントその3:有料道路・高速道路は割高になることもあり!
個人が所有する商用車の多くは4ナンバー車もしくは1ナンバー車で、「分類番号」が4から始まる3桁、1から始まる3桁によって見分けられます。
ボディサイズとエンジンの排気量によって決まり、再びハイエースを例に挙げるとグレードが同じでも4ナンバー車と1ナンバー車が存在します。なお、ディーゼルエンジン車は排気量ではなくボディサイズのみで4ナンバー車か1ナンバー車に分類されます。
4ナンバー車は「小型貨物車」、1ナンバー車は「普通貨物車」と呼称しますが、1ナンバー車で注意が必要なのが、高速道路などの有料道路の通行料金です。
NEXCO各社の高速道路では4ナンバー車は「小型自動車」、1ナンバー車の通行料金はさらに3つに分かれ、ハイエースの1ナンバー車では「中型車」の料金区分で、1ナンバー車の方が割高になります。
たとえば東名高速道路を東京インターから御殿場まで、ETC利用で休日の日中に移動した場合、5ナンバー/3ナンバー/4ナンバーでは2620円、中型車料金の1ナンバー車では3110円と、490円の差があります。
さらに名古屋まで足を伸ばすと小型自動車が5400円、中型車は8750円と、3350円も高くなります。
時間帯や曜日によっても異なりますが、1ナンバー車は有料道路での通行料金が高くなるケースが多いのは否めません。
一方で、東京オリンピック開催時に実施された首都高速の1000円上乗せが対象外だったなど、お得になることもあります。
※ ※ ※
商用車のオーナーになって普段使いするにはメリットとデメリットが存在しますが、メリットとしてはランニングコストの安さだけでなく、リセールバリューの高さが挙げられます。
とくにハイエースは人気の高さから、10万km以上の過走行車でも比較的高値で取引されるため、査定も高額が期待できます。
一方、デメリットのひとつに乗り心地の悪さや騒音が挙げられますが、こちらはサスペンションのダンパー交換や遮音材の追加などで対策も可能なので、DIYでやってみるのも楽しみ方のひとつでしょう。
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